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不動産特定共同事業法を活用して、ソーシャルレンディングに似た仕組みでクラウドファンディング事業を行っているのが東証1部上場のTATERU(旧:インベスターズクラウド)です(以下、便宜的にソーシャルレンディング事業と呼ぶ)。
今回は独特な仕組みを持つ「TATERU Funding(タテルファンディング)」事業を展開するTATERUについて、その事業内容や財務状況などを分析します。
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目次
TATERU(旧:インベスターズクラウド)について
TATERUは2015年12月に株式上場(IPO)をしている東証1部上場企業であり、各種財務数値が開示されています。
同社の本業はアパート関連事業でソーシャルレンディング、クラウドファンディング事業は本業ではないものの、「TATERU Funding」への投資を検討の際には、同社の経営状況や事業の把握は必要不可欠でしょう。
下記に「TATERU Funding」を手がけるTATERUについて、その会社の内容や状況等を順次記しました。
TATERU(旧:インベスターズクラウド)の事業内容
TATERUの基幹事業の内容は、自社開発したアパート経営プラットフォーム「TATERU Apartment」の運営を通じて、土地情報の提供から、デザイナーアパートの企画・施行・賃貸管理までワンストップサービスの提供を行うというもの。
「TATERU Apartment」は具体的には大きく分けると、以下の5つから構成されます。
- 売り手と買い手の土地のマッチング及び販売
- アパートの企画・施行
- アパートの入居者募集(リーシング)
- 賃貸物件の契約、集金、管理
- 自社店舗による物件の仲介
アパート関連の上場会社は他にも存在していますが、同社はアドテクノロジー(主にインターネット広告配信)を駆使したインバウンドセールスが特徴。
「ネット×リアルで新しいサービスを」という経営理念の下、インターネットの時代に相応しく、アパート経営の業界でインターネットを活用したパイオニア的存在となっています。
なお、30~50代の年収700万円以上の会社員が資産形成を目的としてアパート経営を行う、というのがTATERUの顧客モデルとなっており、TATERU Fundingの顧客層と同社の顧客層は重なっているとみられます。
TATERU(旧:インベスターズクラウド)の業績推移
2015年12月に株式上場を行っているTATERU(旧:インベスターズクラウド)<1435>の業績は、下記のように推移しています。
2013/12期 売上高13,862百万円、経常利益898百万円、当期純利益536百万円
2014/12期 売上高14,614百万円、経常利益941百万円、当期純利益554百万円
2015/12期 売上高21,512百万円、経常利益1,884百万円、当期純利益1,127百万円
2016/12期(※)売上高37,915百万円、経常利益3,803百万円、当期純利益2,354百万円
2017/12期(予想)売上高50,540百万円、経常利益5,280百万円、当期純利益3,450百万円
※16/12期より連結決算化
不動産市場の活況を追い風に業績は絶好調。上場2年で売上高・経常利益ともに2倍以上に成長を遂げています。
今期の17/12期は売上高505億円、経常利益52億円と前期に引き続き大幅な業績の伸びを計画。四半期ベースで過去最高の成約数を達成する等、第1四半期から順調な数字推移を見せています。
財務内容について
不動産関連の企業は借入過多等、財務内容が悪化している企業も存在していますが、TATERUの財務状況は健全。
16/12期末時点で純資産60億円に対し負債合計48億円と、自己資本比率は50%を上回っています。
また貸借対照表上、現預金49億円に対し、販売用不動産15億円+仕掛販売用不動産9億円であり、財務的には余裕を持った状態で土地の仕入れを行っていることが分かります。
TATERU(旧:インベスターズクラウド)の株価推移
2015年12月に株式上場(IPO)を行い、1,808円の初値で株式市場へのデビューを飾ったTATERUは上場後に株価が上昇。
2016年4月には8,125円にまで上昇します。初値から最高値まで約4倍以上となっています。
しかしその後に株価は下落。3,000~4,000円付近での取引が2016年夏から続いていましたが、2017年6月23日時点では株価が5,000円を超え、再び上昇に向かいつつある状況です。
「TATERU Funding」事業について
TATERUは2016年4月より不動産特定共同事業法を活用したソーシャルレンディング事業の「TATERU Funding」事業を開始しています。
不動産特定共同事業法とは、多くの投資家から資金を集め、不動産を購入し不動産運営により得られた収益を投資家に分配する事業を行う際に従うべきルールです。主に匿名組合を利用します。
ほとんどのソーシャルレンディング事業者は対象者に融資する形となり貸金業法の下での運営を行いますが、TATERU Fundingは対象者(不動産等)に融資するのではなく匿名組合を通じて物件を取得するため、不動産特定共同事業法の下での運営となります。
貸金業法の制限を受けないため、投資先物件の情報開示が可能であり、案件情報の詳細開示は同社案件の大きな特徴ともなっています。
ただし厳密な意味では、融資を行わない「TATERU Funding」は、融資型クラウドファンディング=ソーシャルレンディングに該当しません。
既存の「TATERU Apartment」事業におけるアパート投資は、一棟が最小投資単位なので、投資家は数千万円の資金を用意する必要があります(ただし融資が付いた場合には自己資金は1割程度)。
ある程度まとまった資金が必要なので、多くの投資家に投資機会を提供できないという問題がありました。
そのような事情を背景に、一棟のアパートを小口化し、匿名組合を通じ共有持ち分としてアパートを販売することにより、会員の資産状況に合わせた投資を可能としたのが「TATERU Funding」です。
これまでに累計5案件の募集を実行(6月23日時点で6号案件を募集中)。予定利回りは全案件5.0%(税引前)で、運用期間は3~12ヶ月となっています。
いずれの案件も早期に募集を完了しており、投資家からの高い人気が窺えます。
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期待する高い保全性
「TATERU Funding」は他社のソーシャルレンディング案件とは異なり、TATERU自身が各案件の出資額の約30%を担い、残りの約70%を投資家が出資します。
同社の出資は投資家の出資に劣後しているため、投資家は市況の悪化により不動産価値が下落しても、約3割の同社の出資金額の範囲内の下落であれば、出資元本毀損のリスクを想定しない仕組みとなっています。
また通常のソーシャルレンディング案件は投資後の途中売却は出来ませんが、「TATERU Funding」は同社の会員同士であれば第三者への譲渡が可能。また途中解約も可能であり、ソーシャルレンディング業界としては画期的な仕組みです。
以上より「TATERU Funding」事業は、TATERUの強固な財務基盤と自社で物件情報を有している強みを発揮できる事業となっています。
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まとめ
TATERU(旧:インベスターズクラウド)のソーシャルレンディング事業「TATERU Funding」は、ソーシャルレンディング業界についてご存知の方でも、まだそれ程知られていない存在となっています。
ソーシャルレンディング専業ではなく、アパート業界からのソーシャルレンディング市場へ参入のTATERUですが、不動産特定共同事業法を利用している点や途中解約が可能という点で、ユニークな事業者といえます。
また会社自体は東証1部上場会社であり、財務基盤も強固な会社です。
同社では今後月1件ペースでの募集に向け体制整備を行っている、とのことです(フィンテナのインタビューより)。
まだ知る人ぞ知る存在の「TATERU Funding」ですが、東証1部上場会社という信用力やユニークな案件の仕組みを背景に、注目を浴びる機会も増えるのではないでしょうか?
「TATERU Funding」及び同事業を運営するTATERUが、どのように事業展開していくのか、今後も注目といえるでしょう。
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