日本のソーシャルレンディング業界は、不動産案件と共に歩んできた歴史を有しています。
それでも、不動産案件とともに忘れてはならないのが再生可能エネルギー案件。国内ソーシャルレンディングにおける案件の種類には、再生可能エネルギーもみられます。
再生可能エネルギー案件の中には太陽光発電に限らず、バイオマス発電・風力発電・水力発電といった案件も存在しています。
今回は再生可能エネルギー案件に投資できるソーシャルレンディング事業者をまとめました。
目次
日本のソーシャルレンディングを支える再生可能エネルギー案件
石炭・石油といった化石燃料は限りのあるエネルギー資源ですが、太陽光や太陽熱、水力、風力、バイオマス、地熱等のエネルギーは、一度利用しても比較的短期間に再生が可能なため、「再生可能エネルギー」と言われています。
再生可能エネルギーは資源が枯渇せず繰り返し利用できるだけではなく、発電時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出を抑制できる点で優れたエネルギーです。
それらのプロジェクトに融資を行うのが、ソーシャルレンディングの再生可能エネルギー案件です。
フィンテナ掲載企業からピックアップ
フィンテナではソーシャルレンディングの募集中・募集済みの案件の一覧を様々な切り口で閲覧することができます。
今回はフィンテナのファンド検索機能から「テーマ→エネルギー」を選択して、現在及び過去の再生可能エネルギー案件を取り扱いの確認ができたソーシャルレンディング事業者(運営会社)を取り上げています。
取り上げたのは下記5社となります。
- maneo(マネオ)
- SBIソーシャルレンディング
- クラウドバンク
- さくらソーシャルレンディング
- グリーンインフラレンディング
※SAMURAI(旧スマートエクイティ)の掲載もありましたが情報が少ないため割愛しています。サービス開始順。
以降、各ソーシャルレンディング事業者が取扱う再生可能エネルギーの案件、そしてその特徴について説明を記載いたします。
maneo(マネオ)
ソーシャルレンディング業界最大手のmaneoマーケット株式会社(以下、maneo)も再生可能エネルギー案件の取り扱いがあります。
同社は業界最大手として不動産、再生可能エネルギー他、様々な案件の取り扱いがあります。
maneoで取り扱いの再生可能エネルギー案件は下記となります。
- 太陽光発電(メガソーラー)
- 水力発電
maneoの案件は平均的に利回り5~7%前後の案件が多いですが、再生可能エネルギー案件の利回りは約7~13%と、同社の案件の中では高めに設定されています。
・maneo(マネオ)の口座開設はこちら
・maneo(マネオ)の口座開設方法はこちら
SBIソーシャルレンディング
ソーシャルレンディング業界ではmaneoに次ぐ大手で、SBIグループが運営のSBIソーシャルレンディング。
同社でも再生可能エネルギー案件の取り扱いがあります。
SBIソーシャルレンディングの取り扱い案件は下記となります。
- 太陽光発電(メガソーラー)
- バイオマス発電
SBIソーシャルレンディングにおける再生エネルギー案件の利回りはおおむね7~9%。
同社の扱う他の案件と比べると利回りは高めに設定されています。
同社の太陽光発電案件は以前から取り扱いがありますが、バイオマス案件は2017年5月に第1号の募集を開始したばかりです。
牛糞を利用して発電を行う事業者に融資するという、ユニークな内容となっています。
・SBIソーシャルレンディングの口座開設はこちら
・SBIソーシャルレンディングの口座開設方法・流れはこちら
クラウドバンク
日本クラウド証券株式会社が運営しているソーシャルレンディングサービスがクラウドバンクです。
2017年7月13日時点で成立ローン総額150億円を超えるソーシャルレンディング事業者の中では比較的大規模な事業者です。
クラウドバンクは多岐にわたるテーマのソーシャルレンディング案件を取り扱っていますが、再生可能エネルギー案件の取り扱い数はグリーンインフラレンディングに次ぐ存在です。
下記がこれまで同社で取り扱いの再生可能エネルギー案件となります。
- 太陽光発電(メガソーラー)
- 風力発電
- バイオマス発電
取り扱ている再生可能エネルギーの案件数は多いものの、種類は太陽光・風力・バイオマスの3種類に絞られます。
ただし、グリーンインフラレンディングでも見られない風力発電案件といったユニークなファンドを募集しています。
利回りはファンドにもよりますが6%前後。
同社の再生可能エネルギー案件以外でも、利回り6%前後のものが多いため、同社の取扱い案件の中では平均的な利回りとなっています。
・クラウドバンクの口座開設はこちら
・クラウドバンクの口座開設方法・流れはこちら
さくらソーシャルレンディング
地方創生型ソーシャルレンディングとして2016年9月に設立されたさくらソーシャルレディングでも再生可能エネルギー案件の募集は行われています。
募集案件は下記のみとなります。
- 太陽光発電(メガソーラー)
再生可能エネルギーは太陽光発電のみの募集ですが、地方創生型というキャッチコピーの通り、ファンド名称に近畿・中部・九州という融資先の地名を付している特徴があります。
同社の不動産案件の利回は6%台の案件が多い中、再生可能エネルギー案件の利回りは7~9%と比較的高い水準です。
なお、さくらソーシャルレンディングは福岡県福岡市に本社を置いています。
同社の所在する九州地区は日本屈指の太陽光発電が盛んな地域です。
グリーンインフラレンディング
※グリーンインフラレンディングを営業者とするファンドの取得勧誘に関して、maneoマーケットに対し、金融商品取引法第51条の規定に基づき、2018年7月13日付けで行政処分が行われました。
詳しくはこちらをご覧ください。
グリーンインフラレンディングは再生可能エネルギー案件に限定すれば、ソーシャルレンディング業界最大手の存在。
再生可能エネルギー案件の取扱い数は最大を誇ります。
グリーンインフラレンディングの再生可能エネルギーファンドの種類は下記の通りです。
- 太陽光発電(メガソーラー)
- バイオマス発電
- 水力発電
- 海洋温度発電
グリーンインフラレンディングの最大の特徴は再生可能エネルギー案件に特化していること。
会社は2016年7月に設立し、10月からのファンド募集開始と、ソーシャルレンディング業界への参入は古くありませんが、再生可能エネルギー案件に特化すること、またmanaoと提携することにより、スピーディーな事業展開がなされています。
その勢いからを表すように2017年7月13日時点で成立ローン総額61億円となっており、1年足らずでのローン成立額としては異例の多さとなっています。
また、利回り10%(期待利回り、年利)を超えるファンドも多い点が投資家からの支持を受けているようです。
再生可能エネルギーファンドを扱う事業者の中でも特徴的なのが、海外の再生可能エネルギー事業者に対しても融資を行うこと。また海洋温度発電案件といったユニークな案件の募集も行われています。
日本の太陽光発電市場は不安定な状態という現状認識は必要
再生可能エネルギーは、ソーシャルレンディングにおける他の案件と比べると、若干利回りが高めに設定されている傾向がみられます。
再生可能エネルギー案件に限らず、投資を検討する際は、案件内容の精査は欠かせませんが、日本における太陽光発電市場には独特のリスクがあることも認識しておきましょう。
東日本大震災以降、国の政策もあり、日本は若干太陽光バブル的な状況が発生しましたが、その後太陽光での発電電力の買取価格は段階的に引き下げられています。
太陽光発電事業の景気は電力買取価格に関連性が強いため、国の政策動向には注意が必要です。
当然、ソーシャルレンディング運営会社も上記事情を踏まえた上で、独自の審査をクリアした案件のみを募集しています。
それでも投資家は日本の太陽光発電市場は少なくとも、以前のようなバブル的な状況ではないという認識を持った上で、ファンドをしっかりと精査することが求められます。
市場の状況を踏まえた上で案件の詳細を確認する等して十分ご注意ください。
まとめ
日本のソーシャルレンディングは不動産案件を中心に展開していますが、再生可能エネルギー案件の存在抜きには語れません。
再生可能エネルギーの中でも特に太陽光発電案件が多くなっていますが、バイオマスや水力、風力と言ったユニークな案件の募集も行われています。
利回りが高めの再生可能エネルギー案件は、リスクもありますが不動産案件以上のリターンを得ることもできます。もし不動産案件ばかりに目が行っているようなら、再生可能エネルギー案件にも視野を広げてみてはいかがでしょうか?
【再生可能エネルギーの中でも太陽光発電案件の選び方を知るならこちら】
・ソーシャルレンディングにおける太陽光発電案件選びの考え方