こんにちは。中田健介です。
昨年から今年にかけて、いくつかの事業者が行政処分を受けたり、大規模な返済遅延やデフォルト(貸し倒れ)が発生したりと、ソーシャルレンディング投資家にとって良くない出来事が続いています。
今回は、私がこうした事態をどのように捉え、今後の投資方針についてどのように考えているかをまとめてみたいと思います。
2017年から2018年にかけてソーシャルレンディング投資のリスクが顕在化している
2016年まで日本のソーシャルレンディングはデフォルト(貸し倒れ)・返済遅延の発生が比較的少ない状況が続いていました。
しかし、2017年から2018年にかけて、いくつかの事業者でリスクが顕在化しています。
2017年3月にみんなのクレジットが金融庁からの行政処分を受け、2017年7月にほぼすべてのファンドで一斉に返済遅延が発生しました。その後、2018年2月にみんなのクレジットは、約31億円の債権を債権回収会社に9,660万円で譲渡しました。
返済比率としてはわずか3%ほどとなり、同年3月にはこの譲渡額に相当する金額が投資家に返金されました。
【みんなのクレジットについては以下の記事をご参照】
【2018年3月更新】みんなのクレジットの状況。債権譲渡による損失確定
また、2018年2月にはラッキーバンクが金融庁からの行政処分を受け、5月には複数のファンドにおいて返済遅延が発生しました。2018年9月現在、返済遅延は続いています。
【ラッキーバンクについては以下の記事をご参照】
ラッキーバンクの複数案件で返済遅延が発生
※ラッキーバンクでは返済遅延していたファンドについて、債権譲渡が決定しました(2018年12月5日時点)。詳細はこちらをご覧ください。
さらに、2018年7月には、maneoマーケット株式会社がグリーンインフラレンディング社を営業者としたファンド取得勧誘行為について、金融庁より行政処分を受けました。
以降、グリーンインフラレンディングの投資家に対して返済が行われていない状況が続いています。
問題のあるファンドや事業者を事前に見極めるのは難しい
こうした一連の事態を受けて改めて思うことは、「問題のあるファンドや事業者を事前に見極めるのは難しい」ということです。
返済遅延やデフォルト(貸し倒れ)の発生しそうなファンドや事業者を事前に見極めることができれば、事前に投資を控えたり資金を引き揚げたりすることができたはずです。
しかし、ソーシャルレンディングでは借り手の詳細な情報がわからないため、投資家からは、借り手の名称や所在地はもちろん、事業者の関連会社であるのかどうかといったことすらわからないこともありました。
いずれのケースにおいても、Webサイト上の説明などから危険の兆候を事前に察知することは、情報が限られていたことから、難しかったと言えます。
私のソーシャルレンディング投資ルール
では、投資家としてはこうした事態にどのように対処したらよいのでしょうか。
私は、やはりソーシャルレンディング投資の基本である「分散投資」を徹底することが重要だと考えています。
私は現在約1,700万円の資産をソーシャルレンディングに投資していますが、分散投資について以下のルールを決めています。
- 1つの事業者に対する投資額の上限は500万円
- 1つのファンドおよび1つの借り手に対する投資額の上限は100万円
(ただし、借り手が識別できない場合は、その事業者に対する投資額の上限は100万円)
昨年から今年にかけて、私もいくつかの事業者でデフォルト(貸し倒れ)や返済遅延に遭っています。特に、みんなのクレジットでは投資したファンドでデフォルト(貸し倒れ)が確定し、多くの損失を被りました。
残念ながら、今年のトータルでの収支はマイナスになる可能性が高いと思われます。
しかし、上記のルールを守っていたおかげで、トータルでの損失額はある程度抑えることができています。
私が2011年から2017年までの7年間でソーシャルレンディング投資で得た利益の合計は約470万円(税引き前)ですが、それよりも損失額が膨らむことは今のところなさそうです。
分散投資はリスクに対する消極的な対策ではありますが、問題のあるファンドや事業者を事前に見極める適切な方法が見つからない現状ではベストな対策ではないでしょうか。
今後も、分散投資のルールを守っていれば、今年のように一時的に収支がマイナスになることはあるかも知れませんが、長期的にはプラスになる可能性が高いと考えています。
おわりに
一連のリスクの顕在化を受けて、ソーシャルレンディングから撤退するという選択をした投資家も少なからずいると思います。ただ、私は現在のところソーシャルレンディング投資自体を辞めようとは考えていません。
今後も引き続き分散を徹底して投資を続けていきたいと考えています。