
業務提携やキャンペーン施策など様々な取り組みを進めているSAMURAI。
前回のインタビューでは、今後の新しい取り組みなどについて伺いましたが、その一つとして、SAMURAIではセミナーが定期的に実施されています。毎回テーマが異なるSAMURAIのセミナーですが、今回は2018年9月7日に行われたSAMURAIセミナーの様子をレポートいたします。
※以下の文章はSAMURAI証券代表取締役社長 澤田聖陽氏の発言となります。
2018年下期を占う3つのC
本日はお忙しい中、弊社のセミナーに足を運んでいただきましてありがとうございます。
今回は2018年下期の景気及びマーケットの動向予測と旧スマートエクイティの頃から運用しているファンドの状況報告をさせていただきます。
それでは、表題の2018年の下期景気動向予測から始めたいと思います。2018年下期の景気や株式・債券・不動産市場などを占うに当たって、3つのCがポイントになると考えています。
中国
1つ目のCは中国です。(Chinaの頭文字;フィンテナ注)
トランプ政権になってから中国に対する攻撃という形で米中の貿易戦争が始まっており、それに伴って中国の株式市場が今年に入って大きく下落しています。
画像のチャートは上海総合指数という中国の主な指数ですが、2018年1月には3,600ポイントぐらいまでいきました。しかしながら、今はもう2,800ポイントを割るぐらいのところまで来ており、落ちていることがわかります。
2017年時点で、アメリカの対中国の貿易赤字は3,750億ドル、日本円にすると約40兆円ありますが、トランプ政権はその半分に関税をかけて是正しようとしており、そこの落としどころがどうなるかは、現状としてまだ見えていません。(2018年9月時点)
また、もう少し長い期間で見ると、2015年では上海総合指数が5,000ポイントを超えるところで高値を付けていますが、現在は約半値になっています。
株式市場の時価総額では、それまで中国が世界第2位でしたが、2018年8月3日時点では世界3位に転落してしまったという状況です。これが1つ目のCです。
もう1つ中国でSAMURAIの事業にも関わる話としては、ネット金融(P2Pレンディング)の揺らぎがあります。
中国はネット金融が発達しており、市場規模も約15兆円くらいあるのですが、スマートフォンなどを通じて個人の資金を融通するネット金融の企業が、2018年に入って330社が倒産し、債務不履行も約4,900億になっています。
日本の場合だと、中小企業などにお金を貸す企業として銀行や信用金庫があります。当然中国にも国営の中国銀行や中国工商銀行がありますが、これらの銀行は大手の国有企業にしかお金を貸さないため、中小企業に資金供給をするような機能がありません。
そのため、中小企業や個人はネット金融のようなところに頼っていたのですが、足元の景気の悪さも重なって、6月の恐怖とも呼ばれるほど業界が揺れているといった状況です。
中国のネット金融は日本のモデルと異なる部分も多いですが、最近日本のソーシャルレンディング事業者で相次いでる行政処分と同じく、事業者リスクが顕在化した参考事例になるでしょう。
長期金利
2つ目のCは長期金利です。(Chohkikinriの頭文字;フィンテナ注)
長期金利は一般的に長期国債の利回りを指しますが、今回は米国の債券です。
米国債の10年債利回りは直近だと3%を超えたときもあり、特に今年に入って緩やかに金利を政策的に上げてきています。
米国長期金利の上昇は、新興国からのマネーフライトを誘引しています。
弊社ではSAMURAI証券にリニューアルして以降、海外案件を取り扱ってはいませんが、ドル建てなどの外貨建ての案件に投資する場合は、こうした米国長期金利の状況も把握しておいたほうがよいでしょう。
コンプライアンス
3つ目のCはコンプライアンスです。(Complianceの頭文字;フィンテナ注)
最近、企業のコンプライアンスに関わる課題が顕在化しています。
コンプライアンスの遵守は、ベターではなくマストであると捉えるべきですが、まだまだ日本の企業の認識は足りない傾向にあると言えるのではないでしょうか。
しかしながら、コンプライアンスだけに配慮していれば良いという話ではありません。企業としては利益を上げて成長していかなければならないため、コンプライアンスを遵守しながら成長のスピードも失わないような経営が求められます。
このバランスが難しく、まずは成長を優先するあまりコンプライアンスが甘くなってしまうことが無いよう強く意識していく必要があると考えます。
これまでのファンド運用実績
次に、SAMURAIのファンド運用報告です。今まで弊社が提供してきた商品の運用報告は公式には出しておりませんでした。今後は例えばメルマガで掲載したり、セミナーでお話したりといった方法で、情報公開を進めていきたいと思います。
弊社の商品は大きく分けると社債と匿名組合の2つのファンドがあります。今回は償還が完了し、運用成績の数字が固まったファンドについて報告いたします。
社債については利回りを達成できなければデフォルトになりますが、SAMURAIではすべてのファンドを予定どおり償還できています。
匿名組合(ファンド)は9割以上が目標利回りを達成しています。中小企業応援ファンド1号という目標利回りを達成してないファンドが1つありますが、元本割れというわけではありません。
2年の運用期間があったものの、これ以上続けると運用成果が落ちるだろうと考えた結果として、早期償還し、1.1%の利回りとなりました。
SAMURAIとしては、状況に応じて必ずしも満期まで運用しないという判断も大事だなと考えています。反対に、もし惰性でファンドを満期まで運用し、ファンドが元本割れだった場合は、強く責任があると考えているため、柔軟に対応していきたいです。
ただし、中には元本毀損の恐れがあるファンドもあります。やはり、全てのファンドが100%予定通り分配・償還されるわけでは無いという点は認識していただきたいです。
民泊案件など、今後は新商品も展開
セミナー参加者からの質問:今後、取り扱いを検討されている金融商品はありますでしょうか。また、もし今の時点でなければ、今後取り扱いたいというような金融商品があればご紹介ください。
澤田:民泊事業を展開している楽天LIFULL STAY株式会社と業務提携行なっており、宿泊施設の案件を検討しています。
他社も含めて、不動産案件は多くありますが、単純に不動産を転売するようなやり方では、今の時代だとあまり利益を出せません。日本の人口は減少していくので、基本的に通常の用途での不動産の需要も減っていきます。そういった予測がされる中で、民泊やシニア向け不動産などはビジネスチャンスが多くあるので、不動産案件の中での差別化を進めてきたいと考えています。
大事なことは分散投資
もちろん投資なので、場合によっては元本を毀損することもあります。ただ、その時にどういった形で元本割れするかという点は大切だと思います。
例えば、元本割れしたものの、投資元本の80%は守られていた場合は、残りの20%を今後の投資などによりカバーしていくことも可能性としては十分あると思います。
一方で元本の80%やほぼ全損してしまうと、それを挽回できる金額の利益を同様の投資により得るのはかなり大変です。
他社も含めて元本割れするファンドも今後出てくることが予想される中、投資家としてとるべき対策はやはり分散投資です。
仮に担保や保証付きの案件といっても、投資には何があるかわかりません。各案件の投資分析も含め、分散投資を心掛けて投資を行なっていくことが最低限必要な対策だと考えています。
これで今回のセミナーは終了となります。今後も様々なテーマでセミナーを開催していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。ご清聴いただき、ありがとうございました。
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