ふまんだらけの経歴
こんにちは。「ふまんだらけのソーシャルレンディング」というブログの管理人のふまんだらけと申します。現在はどこにでもいる平凡な30代会社員です。
私の不動産業界歴は通算で4年ほどになります。現在は金融・保険業関係の会社に勤務していますが、最初に就職した会社は、不動産鑑定評価業務を中心に事業を展開している不動産会社でした。
この会社では、不動産の物件調査から始まり、価格の決定、売却、登記の一連の流れを1人で担い、月に5~10件前後の売買契約を行なっていました。3年ほどで200件以上は取りまとめていたと思います。
その後、別の不動産会社に転職。契約事務と物件調査が中心の部署でしたが、以前の会社とは異なり、物件調査では、物件のメリット・デメリット、非公開情報の取りまとめや営業担当へのフィードバックなどを複数名のチームを組んで業務を進めました。
不動産業界歴数十年の先輩方からみれば、まだまだヒヨッコです。それでも、当時の4年間は優秀な先輩や同僚の方々に支えられながら、密度の濃い体験をさせてもらいました。
現在のソーシャルレンディング投資状況
2016年2月にソーシャルレンディング投資を始めてから、2年半ほど経過しました。
現在は投資元本2,000万円余り(2018年7月12日現在)で運用しており、毎月10万円を超える元利金の償還があります。
投資しているソーシャルレンディング事業者は以下の10社です。
- maneo(マネオ)
- SBIソーシャルレンディング
- クラウドバンク
- クラウドクレジット
- OwnersBook(オーナーズブック)
- トラストレンディング
- LC レンディング
- グリーンインフラレンディング
- クラウドリース
- ガイアファンディング
ソーシャルレンディング業界はまだ未成熟で、みんなのクレジットのサービサーへの債権売却、ラッキーバンクの貸し倒れ懸念、グリーンインフラレンディング問題など多くの課題を引き起こしています。
その反面、貸付先の匿名化廃止に関するニュース、エクイティ投資による情報公開など投資環境の改善が急速に進んでいます。目まぐるしく変わる投資環境下ではありますが、今後も引き続き情報収集に努めて投資を続けていきたいと考えています。
ソーシャルレンディング投資の不動産案件で見るべきポイント
ソーシャルレンディングの不動産案件において重要なのは、不動産の担保価値を確認することです。
例えば担保物件の評価を「売却予定価格」で8,200万円とし、仕入資金として6,700万円の融資がなされるという案件が、あるソーシャルレンディング事業者で募集されていました。
売却予定価格とは不動産業者の売却希望価格に他なりません。この価格が不動産の担保価値を表しているとすると、LTVは81.7%となります。ただし担保評価が約20%下がっても元本割れが無いと考えるのは早計でしょう。
ここでの注目ポイントは「仕入資金」というのが何を指しているのかということです。土地と建物を購入する資金なのか、又はリノベーション等の付加価値を上げる費用も含まれているかどうかを判断をしなければなりません。
仮に土地付き建物の中古物件を6,200万円で仕入れて、「何もせず」に約20%増しの8,200万円で早急に転売できる可能性があるとすれば、6,200万円の中古物件を正規の不動産価格から約20%値引きした価格で仕入れしていた可能性が高くなります。
なお任意売却などの特殊事案を除いて、そのような物件があるとすれば特定の国有地の払下げくらいしか私は思いつきません。しかしながら、今回見た募集では、資金需要者は定期的に仕入れて売却をしている不動産業者と思われるので、その可能性は低いと考えます。
よって、仕入資金が6200万円なのに売却予定価格が8,200万円であるということは、実際の負担した実費費用がいくらであれ、リノベーションが行われて付加価値を付け加えた可能性が高いと推定できます。
そう考えると、仕入価格に付加価値分の代金が上乗せされていることから、実際の不動産の担保価値は6,200万円を下回る可能性が比較的高いと考えます。
売却予定価格がリノベーション後の不動産価値としているのであれば、不動産案件に投資する「現時点」においては、まだその価値までには引き上げられていないということになり、万一の場合に、担保売却が進んだとしても、満額回収は簡単ではないと思われます。
ちなみにリスク管理が徹底されている不動産業者が土地付き建物の中古物件を仕入れる際には、水回りがリフォームされている物件は購入を控えます。建築後に後付けで施工されたお風呂やキッチンなどは建築業者とは別の施工業者が行っているため、リノベーション業者の施工レベルによっては、柱などの構造躯体に傷を負わせている可能性も十分に考えられるからです。
そのため、私であれば、築20年以下の中古木造一戸建てで、今回水回りをはじめてリノベーションした再販案件であると判断しますが、「売却予定価格」で示された不動産案件で、不動産の正当な担保評価額が判断できない以上「抵当権の順位は1位」でなければ相応のリスクがある案件であると考えます。「売却予定価格」と記された案件に投資する際には十分に注意が必要です。
不動産案件の課題と今後の期待
ソーシャルレンディング事業者の不動産案件における現状の課題は、適切なリスクを把握することが難しいところにあります。
不動産案件の投資を考えた場合、対象となる物件の情報は必要不可欠です。不動産案件が募集される際に、明確な不動産の担保価値などの情報が明示されていれば、そのリスク度合いに応じた投資に挑戦することができます。
しかしながら、現状のソーシャルレンディング事業者が募集をしている不動産案件において、明示されている担保物件の評価の記載方法を見ると、売却予定価格・収益還元評価・TAS評価・業者買い取り価格・業者ヒアリング・販売予定価格・外部専門家による査定額を参考、など各社で異なる基準が記載されています。
また、ソーシャルレンディング事業者が公開している情報以外には、その詳細を確認することができず、物件の使用状況や間取りなどを投資家が知ることはできません。
少なくともソーシャルレンディング事業者で募集される不動産案件で記載されている「担保物件の評価」基準の統一に加え、
- 物件明細書
- 不動産評価書
- 現況調査報告書
の3点は最低限開示していくことが、ソーシャルレンディング業界の健全な発展のためにも必要であると私は考えています。
一部新聞報道では、匿名化廃止の方向になっているとあるため、今後の物件の情報開示には期待したいところです。
終わりに
投資では、どんな状況になろうとも、合理的な判断をして投資を「続ける」ことが成功への道と知られていますが、中には損失に耐えられずにドロップアウトしてしまう方もいます。
万が一、短期間で多額の損失を出してしまっても、これを後ろ向きに捉えるか、前向きに捉えるかで、その後の投資結果も大きく左右されると私は思います。
ソーシャルレンディングは普及してまだ10年余りの新しい投資方法です。投資環境もまだまだ未整備で、今後も思わぬ事故が発生するかもしれません。
それでもリスクを恐れていては何も始まりません。投資に挑戦した上での不成功者と、挑戦を避けたままの不成功者とでは、その先に広がる景色はまったく異なります。
リスク許容度というのは、金額の多寡ではなく、心理的許容度だと思います。色んな立場の様々な意見に振り回されすぎず、個人投資家として本当のリスクについて深く考えた上で投資をしてみてもいいのではないでしょうか。