2018年7月24日(火)、関東財務局はJC証券株式会社(以下、JC証券)に対し、法第52条第1項の規定に基づき、関東財務局長(金商)第3026号の登録取消しを行なった。
JC証券は、株式会社グリーンインフラレンディングのグループ会社だ。
行政処分の内容について、関東財務局の発表を元に以下の通り記載する。
JC証券に対する業務運営の調査により認められた問題は以下の通り
(1) 増資に係る不適切な行為
平成29年10月にJC証券は、親会社を割当先として資本金を5億円に増資するために、2億5684万円の払込みを受けたが、会社法上必要とされる取締役会及び株主総会を開催していない。
また、取締役会議事録及び株主総会議事録が適法に開催され、可決されたという虚偽が記載された取締役会議事録及び株主総会議事録を作成している。
加えて、親会社を割当先とした増資のために払込を受けた金額のうち大半を、親会社への貸し付けている。
さらに、平成30年1月に親会社に対して貸し付けた金額の返済を求め、実質的に親会社の担当者より返済期限の延長要請を受けたが、これに関して取締役会を開催しておらず、取締役の間で親会社の与信能力などに関する審査・検討も行われていないまま、要請を受諾している。
(2) 貸付けに係る不適切な行為
JC証券は、平成29年10月に、個人への貸付の名目で金銭の交付を行なっているが、当時の総資産残高の7割が(1)にある親会社への送金額と本件の個人への貸付金額の合計金額が占めているにもかかわらず、取締役会の開催や、取締役間で本件貸付先の与信能力などについて実質的な審査・検討がされていないまま、融資の申込みを受けた取締役の判断に基づいて、貸付けを実行している。
加えてJC証券は、個人への貸付けを行なった際、貸付けに関する条件を定める金銭消費貸借契約書を作成していないことに加え、貸付先である個人が利息支払いを一定期間行なっていないにもかかわらず、支払督促も一定期間行なっていない。
またJC証券は、個人への貸付けにおいても、取締役会が適切に行われ、可決された旨の虚偽が記載された取締役会議事録を作成している。
(3) 当局に対する不適切な報告
JC証券は、当局より、本件増資に関わる経緯についての報告書を求められた際、取締役会及び株主総会が開催されていない件を明らかにせず、増資の事前に取締役会などが行われた旨が記載された報告書を提出している。
またJC証券は、個人への貸付けに関する報告を求められた際、金銭消費貸借契約書が実際には貸付け事後に作成されているにもかかわらず、当局にその事実を伝えず、平成29年10月19日に契約が締結された旨が記載された金銭消費貸借契約書の写しを当局に提出している。
加えて、個人への貸付の事前に取締役会が開催された旨が記載された取締役会議事録を当局に提出している。
(1)~(3)により、JC証券には以下の状況が認められ、経営管理態勢、法令等遵守態勢及び内部管理態勢が全体として機能していないとしている。
- 金融商品取引業者として経営のガバナンスが機能していない
- 関連法令等に従った業務の運営がなされておらず、コンプライアンスが機能していない
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