
マイナス金利時代の比較的安定した金融商品として注目を集める、投資型クラウドファンディング。特徴的な案件を提供するSAMURAIは、2018年、装い新たにサービス展開を見せようとしています。
前回のインタビューでは、SAMURAI証券株式会社(以下、SAMURAI証券)の代表取締役である澤田氏にサービスの展望を伺いました。今回は同社のグループ企業であり、資金需要者に融資を行なうSAMURAI ASSET FINANCE 株式会社(以下、SAF)の村田代表取締役も交え、投資型クラウドファンディングの魅力について語っていただきました。
多様な投資機会を、できる限りわかりやすく
ーー投資信託や株式など、投資には様々な種類があります。最近では仮想通貨も人気となっていますが、投資型クラウドファンディングの魅力を改めて教えてください。
<澤田氏>投資家の出資金を資金需要者に融資するソーシャルレンディングは認知度が高まっていますが、ソーシャルレンディングに限らず、投資型クラウドファンディングの良いところは、「小口から多様なテーマの案件に投資できる点」だと思います。
投資信託ですと、レギュレーションがあるため、国内外の株式・債券・コモディティ投資などと、投資対象は必ずしも幅広くありません。
もちろん現状の投資型クラウドファンディングにおいては、不動産案件が多く、ファンドの種類はまだまだ増えていくと思います。そうした状況の中で、SAMURAIの特徴の一つは多様なファンドテーマです。仮想通貨ファンドのほか、これまでにサプリボンドという社債の商品も募集しています。
また、今後も新興国や訪日外国人など、様々なテーマに沿ってファンドを提供していきたいと考えています。
ーー新しいテーマのファンドは、他の事業者では実績がないだけに、不安に思われる方も多いのではないでしょうか。
<村田氏>たしかに仮想通貨のような新しい案件は不安に思う方もいらっしゃると思います。ただし、SAMURAIは珍しい案件であればなんでも募集するというスタンスではありません。
SAMURAIのポリシーは投資家本位であることです。新規ファンドだからといって、リスクだけが高いファンドを提供することはありません。
むしろ新規だからこそ、投資家への説明をよりわかりやすくするように努めるべきだと考えており、当然ながら審査も厳正に行います。その上で、投資対象として皆様に提供するに足ると判断したものだけを公開しています。
ーー投資型クラウドファンディングには、どのようなリスクがあるのでしょうか。
<澤田氏>まず、資金需要者の信用リスクは当然考慮する必要がありますし、担保が不動産の場合は不動産市況も影響するなど、投資にはあらゆるリスクがあると考えるべきだと思います。その上でSAMURAIが言い切れるのは、当然のことではありますが、悪意を持って何か情報を隠したり、嘘をついていることはないという点ですね。
例えば本当は5のリスクがあるものに関して、2のリスクしかないとは言いませんし、リターンが高いのにリスクが低いとSAMURAIが言うことはありません。また、説明するべき部分は、説明義務の有無にかかわらず、できる限り開示いたします。
これは投資サービスとして基本的なことなのですが、投資型クララウドファンディングの業界としてはまだまだ課題となっているので、SAMURAIが是正できるくらいの姿勢を見せていきたいと考えています。
自分の目でも確認する多角的な審査
ーーソーシャルレンディングでは、資金需要者の審査が必須ですよね。審査を行うにあたり、どのようなポイントに注意しているのでしょうか。
<村田氏>SAMURAIのソーシャルレンディング案件において、SAMURAI証券は投資家の方々からの出資を募る役割を担っており、SAFはその資金を資金需要者に融資する役割を担います。
SAFが実施する借り手に対する審査は、基本的に定量評価と定性評価に分けて考えています。
定量評価は、資産や業績面を数値化しスコアリング(格付け)を行なっています。
また数字だけでは判断できないような部分も審査対象とするべきだと考えており、定性評価では、代表者の経歴や人柄、従業員の働き方、会社の雰囲気、将来性などを含め、できる限り自分の目で見て評価を行うことを心がけています。
<澤田氏>SAFが借り手の審査を行なった後、SAMURAI証券も審査を行います。
両者の審査は別物(SAFは貸金業の観点から審査し、SAMURAI証券は金融商品取引業の観点から審査する)なので、仮にSAFの審査に通ったとしても、SAMURAI証券の審査には通らず、案件として実現しないこともありますが、審査としてはそれが然るべき姿だと思います。
理解を深めた上で、投資の第一歩目を踏むこと
ーー投資に二の足を踏んでいる方は、どうすれば良いと思いますか。
<村田氏>やはり投資型クラウドファンディングを始めてみたいけれど、怖いと感じている方はまだまだ多いと感じています。もし商品について理解ができているのであれば、そうした時こそ少額でも良いので、まずは投資してみるのも悪くないと思います。
利回りが5%で1万円の投資を行うと、1年後には500円の利益です。金額としては大きくありませんが、実際に投資することによって、経験と知識を深められます。投資家の方々の中には少額投資から始め、経験や知識を積み重ねながら投資額を増やしていく方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
それでも投資というと、どうしても難しいというイメージが一般的にはあります。その原因は投資商品の構造がわかりづらいことなのではないかと感じています。
SAMURAIのファンドは最低1万円からという小口でスタートできますし、ソーシャルレンディングの場合は、投資家の方々が出資したお金を資金需要者に融資するというシンプルな仕組みで成り立っています。その他の投資型クラウドファンディングについても、十分な情報提供が前提となりますが、実は仕組みを理解することはそれほど難しくなく、比較的始めやすい投資方法なのではないでしょうか。
<澤田氏>投資家の方より、「投資において注意することは何ですか」というご質問をいただくことがありますが、私が常にお答えしているのは、「自分が理解できない商品には投資をするべきではない」ということです。投資する商品について理解できていない限り、仮に損失を被っても、投資の経験には繋がらず、学びとなりません。
内容が理解できていないのに、利回りだけに釣られて投資するという事は絶対にやめたほうが良いです。
金融商品に投資する際、どのようなことがリスクとなるか、どのような理由でリスクが顕在化するか、という部分は最低限理解するべき情報です。
さらにSAMURAIはできる限り積極的に情報開示を行なうので、ファンド単位でもある程度詳細な情報まで知ることができます。投資家の皆様にはこうした情報をしっかり読んだ上で投資をしていただきたいです。
加えて、繰り返しになりますが投資するファンドを選ぶ際は、利回りだけに振り回されないようにしていただきたいですね。
当然、投資するのであれば利益が大きい方が良いでしょう。100万円を投資した場合、利回りが3%の案件よりも8%の案件の方が合計利益は多く期待できるので、表面上は後者の案件が良いと思われがちです。
ただし利回りの高さはファンド選定における指標の1つでしかありません。通常、高い利回りにはそれなりのリスクがあるものです。リターン・リスクを照らし合わせて考えた上で、分散投資を前提とし、取れるリスクに応じて投資対象となるファンドを決めるべきです。
一歩ずつ着実にプラットフォームを作りたい
ーー最後にSAMURAIのビジョンを教えてください。
<澤田氏>まだまだこれからですが、投資型クラウドファンディングはこれまでに無かった新しい金融の仕組みです。事業者が適切な商品を提供し続ければ、少しずつ広がっていくものだと考えています。
基本的に、リターンとリスクは比例しますので、高利回りの商品はデフォルトが起こることも可能性としては十分考えられます。そこで事業者であるSAMURAIが工夫しなければならないのは、「リスクが顕在化した際、いかに損失を小さく抑えるか」という部分です。
デフォルトが起こった時に、取得していた担保が評価額と大きく離れた金額でしか売却できないことや、保証が機能しないことなどは本来であればあってはならないことです。こうした点を事前に評価した上で、資金需要者の選定を意識し、その上で多様なファンドを提供していきます。
ゆくゆくは、多くの属性の方々がSAMURAIで、自身にあったファンドを見つけ、安定的にリターンを得る。そういったプラットフォームに成長させていきたいですね。
<村田氏>私もリスク・リターンが幅広いファンドを、投資家の方々が主体的に選べるサービスにしたいと思いますし、同時に金融商品というものをもっとわかりやすいものにしていきたいと考えています。
そのためには、近視眼的にリターンを向上させることばかりを考えていてはいけないと思います。例えば、利回りを高めるには、資金を投融資する際に高い金利を設定すれば良いのですが、それでは優良な資金需要者に賛同してもらうことが難しいケースも出てきてしまい、結局、投資家にとってみても、質の高い金融商品への投資機会を失うという不都合が生じることになります。
投資家にとっても、資金需要者にとっても、納得できるサービスとするべく、バランスを取りながら長く大きく成長するサービスにしていきたいと思っています。
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