マイクロファイナンスとは、開発途上国の貧困層に対して小口融資を提供することで経済的自立をサポートするサービスです。
マイクロファイナンス事業を展開していたグラミン銀行が注目された2006年以降、マイクロファイナンスのサービスを提供する企業は世界中で広がってきました。
今回はマイクロファイナンスの基本的な仕組みやソーシャルレンディングとの関係性について解説します。
マイクロファイナンスとは
マイクロファイナンスとは、貧困層の人々に小口資金の融資を行ない、その資金を活用することで経済的な自立を促す金融サービスです。(広義ではソーシャルファイナンスとも呼ばれています)
貧困層に向けた小口金融サービスは様々な形で各国に存在しており、日本でも頼母子講・無尽と呼ばれる、地域の小口金融組織がありました。
一般的にイメージされるマイクロファイナンスについては、1983年にムハマド・ユヌス氏が創設したバングラディシュのグラミン銀行が、その代表例と言えます。
グラミン銀行のマイクロファイナンス事業が評価され、2006年にムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞を受賞したことで、この事例が世界中に普及していきました。
マイクロファイナンスの仕組み自体は1900年後半からあったものですが、開発途上国の貧困問題の解決のための1つの方法として、グラミン銀行の成功及びムハマド・ユヌス氏のノーベル賞の受賞により、一気に注目が集まったという経緯があります。
マイクロファイナンスの仕組み
マイクロファイナンスの仕組みについて、主に提供組織・資金・金利の3つの視点から解説します。
マイクロファイナンスの提供組織
マイクロファイナンスのサービスを提供する組織はマイクロファイナンス機関(通称:MFI)と呼ばれています。
マイクロファイナンス機関は、NPO・NGOや銀行を始めとする金融機関など様々な組織が行なっています。
マイクロファイナンスの資金について
マイクロファイナンス機関が実際にマイクロファイナンスのサービスを提供するためには、貸付のための資金調達を行なう必要がありますが、主に以下の5つの方法があります。
- 寄付
- 政府からの支援
- 銀行からの借り入れ
- 増資
- ファンドからの資金調達(e.g.日本のマイクロファイナンスファンド)
政府や銀行など比較的大きな組織から資金調達をすることも多くありますが、近年はクラウドファンディングの仕組みを活用して、世界中の人々から資金調達ができるようになりました。
以前から個人がマイクロファイナンスに関われる機会を提供している組織もありましたが、インターネットの発達とクラウドファンディングサービスが成長してきたことで、マイクロファイナンスがより身近になってきています。
近年では日本のソーシャルレンディング事業者が掲載しているマイクロファイナンス案件を通じて、個人が少額から投資を行なえる機会も徐々に増えています。
金利について
マイクロファイナンスの金利は、サービスを提供する国や対象により様々ですが、先進国の金利水準から見ると、高い水準で金利が設定されているケースが多い傾向にあります。
しかしながら、開発途上国では政策金利が高く設定されているケースも多くあります。例えばインフレが継続的に起こっている開発途上国であれば、金利が年21%であっても、インフレが年20%であれば、実質的な金利は年1%となります。
そのため、先進国基準で見れば高い金利設定がされている場合でも、現地の視点ではインフレ率や信用リスクを加味すれば、適正な金利が設定されていると見れるケースも少なくありません。
マイクロファイナンスと寄付の違い
マイクロファイナンスはNPO・NGOが行なっていることもあるため、この事業は寄付であると勘違いされる方もいるのではないでしょうか。
マイクロファイナンスは貸し手に対し資金の提供は行なうものの、その資金は返済の義務を負う資金であり、寄付には当たりません。
マイクロファイナンスの貸し手となるマイクロファイナンス機関には様々な組織がありますが、金融機関の役割を果たすことが前提となります。
そのため、マイクロファイナンス機関は調達した資金を以下のようなサイクルで行ないます。
- 資金ニーズのある先に融資
- 金利を受け取る
- 契約期間が満了したら融資資金の回収を行う
マイクロファインスを支援できるソーシャルレンディング事業者
マイクロファイナンスについて、個人が実際に支援する方法はいくつかありますが、ソーシャルレンディング事業者を通じて、日本からマイクロファインスを支援することも可能です。
国内でマイクロファイナンス案件を取り扱っているソーシャルレンディング事業者は以下の4つです。(過去にマイクロファイナンス案件を掲載していた事業者も含む)
クラウドクレジット
クラウドクレジットは海外特化のソーシャルレンディング事業者です。様々な海外案件がありますが、マイクロファイナンスとしてはペルー向けの案件が募集されています。
ペルー以外にもカメルーンの農業従事者や中小企業支援のファンドなどが掲載されています。
・クラウドクレジットのWebサイト
ネクストシフトファンド
ネクストシフトファンドは2018年3月にリリースされた比較的新しい事業者で、社会的インパクト投資に特化しているのが特徴です。
2018年4月時点ではカンボジア向けのマイクロファイナンスファンドのみで、カンボジアの農業従事者と中小企業が対象となっています。
・ネクストシフトファンドのWebサイト
クラウドバンク
クラウドバンクは証券会社として業界初参入となったソーシャルレンディング事業者です。
再生可能エネルギーや中小企業支援など様々な案件が掲載されており、マイクロファイナンスとしてはカンボジア向けの案件が募集されていました。(マイクロファイナンスの案件は4月現在取り扱われていません)
・クラウドバンクのWebサイト
セキュリテ
セキュリテはインパクト投資プラットフォームを打ち出しており、、経済的な価値と社会的な価値の双方を追求する投資ができるようなサービスです。
国内の様々な案件が掲載されており、マイクロファイナンスとしてはカンボジア向けの案件が募集されていました。(マイクロファイナンスの案件は4月現在取り扱われていません)
・セキュリテのWebサイト
まとめ
マイクロファイナンスは開発途上国の貧困層支援の仕組みとして世界的な広がりを見せていますが、単なる寄付や援助ではなく、貸付という経済行為を背景とする、ユニークな取り組みと言えます。
ソーシャルレンディング投資は利回り重視で選ばられることもありますが、それ相応のリスクもあります。
個人投資家が経済的な利益を得ながら社会貢献も可能な分散投資先として、ソーシャルレンディング事業者のマイクロファイナンス案件が注目を浴びる日もそう遠くはないかもしれません。
マイクロファイナンスとは?その仕組みやソーシャルレンディングとの関係性を解説
マイクロファイナンスとは、開発途上国の貧困層に対して小口融資を提供することで経済的自立をサポートするサービスです。
マイクロファイナンス事業を展開していたグラミン銀行が注目された2006年以降、マイクロファイナンスのサービスを提供する企業は世界中で広がってきました。
今回はマイクロファイナンスの基本的な仕組みやソーシャルレンディングとの関係性について解説します。
目次
マイクロファイナンスとは
マイクロファイナンスとは、貧困層の人々に小口資金の融資を行ない、その資金を活用することで経済的な自立を促す金融サービスです。(広義ではソーシャルファイナンスとも呼ばれています)
貧困層に向けた小口金融サービスは様々な形で各国に存在しており、日本でも頼母子講・無尽と呼ばれる、地域の小口金融組織がありました。
一般的にイメージされるマイクロファイナンスについては、1983年にムハマド・ユヌス氏が創設したバングラディシュのグラミン銀行が、その代表例と言えます。
グラミン銀行のマイクロファイナンス事業が評価され、2006年にムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞を受賞したことで、この事例が世界中に普及していきました。
マイクロファイナンスの仕組み自体は1900年後半からあったものですが、開発途上国の貧困問題の解決のための1つの方法として、グラミン銀行の成功及びムハマド・ユヌス氏のノーベル賞の受賞により、一気に注目が集まったという経緯があります。
マイクロファイナンスの仕組み
マイクロファイナンスの仕組みについて、主に提供組織・資金・金利の3つの視点から解説します。
マイクロファイナンスの提供組織
マイクロファイナンスのサービスを提供する組織はマイクロファイナンス機関(通称:MFI)と呼ばれています。
マイクロファイナンス機関は、NPO・NGOや銀行を始めとする金融機関など様々な組織が行なっています。
マイクロファイナンスの資金について
マイクロファイナンス機関が実際にマイクロファイナンスのサービスを提供するためには、貸付のための資金調達を行なう必要がありますが、主に以下の5つの方法があります。
政府や銀行など比較的大きな組織から資金調達をすることも多くありますが、近年はクラウドファンディングの仕組みを活用して、世界中の人々から資金調達ができるようになりました。
以前から個人がマイクロファイナンスに関われる機会を提供している組織もありましたが、インターネットの発達とクラウドファンディングサービスが成長してきたことで、マイクロファイナンスがより身近になってきています。
近年では日本のソーシャルレンディング事業者が掲載しているマイクロファイナンス案件を通じて、個人が少額から投資を行なえる機会も徐々に増えています。
金利について
マイクロファイナンスの金利は、サービスを提供する国や対象により様々ですが、先進国の金利水準から見ると、高い水準で金利が設定されているケースが多い傾向にあります。
しかしながら、開発途上国では政策金利が高く設定されているケースも多くあります。例えばインフレが継続的に起こっている開発途上国であれば、金利が年21%であっても、インフレが年20%であれば、実質的な金利は年1%となります。
そのため、先進国基準で見れば高い金利設定がされている場合でも、現地の視点ではインフレ率や信用リスクを加味すれば、適正な金利が設定されていると見れるケースも少なくありません。
マイクロファイナンスと寄付の違い
マイクロファイナンスはNPO・NGOが行なっていることもあるため、この事業は寄付であると勘違いされる方もいるのではないでしょうか。
マイクロファイナンスは貸し手に対し資金の提供は行なうものの、その資金は返済の義務を負う資金であり、寄付には当たりません。
マイクロファイナンスの貸し手となるマイクロファイナンス機関には様々な組織がありますが、金融機関の役割を果たすことが前提となります。
そのため、マイクロファイナンス機関は調達した資金を以下のようなサイクルで行ないます。
マイクロファインスを支援できるソーシャルレンディング事業者
マイクロファイナンスについて、個人が実際に支援する方法はいくつかありますが、ソーシャルレンディング事業者を通じて、日本からマイクロファインスを支援することも可能です。
国内でマイクロファイナンス案件を取り扱っているソーシャルレンディング事業者は以下の4つです。(過去にマイクロファイナンス案件を掲載していた事業者も含む)
クラウドクレジット
クラウドクレジットは海外特化のソーシャルレンディング事業者です。様々な海外案件がありますが、マイクロファイナンスとしてはペルー向けの案件が募集されています。
ペルー以外にもカメルーンの農業従事者や中小企業支援のファンドなどが掲載されています。
・クラウドクレジットのWebサイト
ネクストシフトファンド
ネクストシフトファンドは2018年3月にリリースされた比較的新しい事業者で、社会的インパクト投資に特化しているのが特徴です。
2018年4月時点ではカンボジア向けのマイクロファイナンスファンドのみで、カンボジアの農業従事者と中小企業が対象となっています。
・ネクストシフトファンドのWebサイト
クラウドバンク
クラウドバンクは証券会社として業界初参入となったソーシャルレンディング事業者です。
再生可能エネルギーや中小企業支援など様々な案件が掲載されており、マイクロファイナンスとしてはカンボジア向けの案件が募集されていました。(マイクロファイナンスの案件は4月現在取り扱われていません)
・クラウドバンクのWebサイト
セキュリテ
セキュリテはインパクト投資プラットフォームを打ち出しており、、経済的な価値と社会的な価値の双方を追求する投資ができるようなサービスです。
国内の様々な案件が掲載されており、マイクロファイナンスとしてはカンボジア向けの案件が募集されていました。(マイクロファイナンスの案件は4月現在取り扱われていません)
・セキュリテのWebサイト
まとめ
マイクロファイナンスは開発途上国の貧困層支援の仕組みとして世界的な広がりを見せていますが、単なる寄付や援助ではなく、貸付という経済行為を背景とする、ユニークな取り組みと言えます。
ソーシャルレンディング投資は利回り重視で選ばられることもありますが、それ相応のリスクもあります。
個人投資家が経済的な利益を得ながら社会貢献も可能な分散投資先として、ソーシャルレンディング事業者のマイクロファイナンス案件が注目を浴びる日もそう遠くはないかもしれません。