不動産投資事業を中心に手がけるLCホールディングス株式会社(ジャスダック、証券コード:8938)が2018年3月期第3四半期決算を開示しました。
同社は新しい取り組みとして、REIT市場への上場を目指す、ポリー・プラス投資法人を2017年9月に設立したほか、ソーシャルレンディング事業は累計応募額業界第4位まで成長しています。※1(2018年3月2日時点)
今回は2018年3月期第3四半期(Q3)のLCホールディングスの決算について解説します。
目次
LCホールディングスについて
LCホールディングスは埼玉県に地盤を置く、不動産会社を設立母体としたグループ企業です。
2005年にロジコムとして大阪証券取引所ヘラクレス市場に上場。その後、不動産投資事業に進出し、2016年10月に持株会社、LCホールディングスとして企業再編しました。
現在はLCホールディングスの傘下にロジコム(不動産賃貸事業)、LCパートナーズ(不動産ファンド事業)、LCレンディング(ソーシャルレンディング事業)といった企業を抱え、不動産及び不動産ファンドを中心とするグループ企業となっています。
特に近年は不動産ファンド事業に力を入れており、ファンド事業を中心とした成長戦略を描いています。
LCホールディングスの2018年3月期Q3決算
LCホールディングスが開示した、2018年3月期第3四半期決算は下記の通りです。
(単位:百万円) | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
---|---|---|---|---|
2018年3月期Q3 | 11,517(+125%) | 1,259(+187%) | 701(-0.2%) | 149(黒字化) |
2017年3月期Q3 | 5,116 | 437 | 703 | ▲139 |
2018年3月期Q3(累計)は売上高115億円(前年同期比+125%)、営業利益12億円(同+187%)、経常利益7億円(同▲0.2%)、当期純利益1.5億円(黒字化)となっています。
今期は最終利益(当期純利益)の黒字化を目標としていますが、Q3時点で当期純利益は黒字化しており、通期での当期純利益黒字化に向け、あと一歩といえるでしょう。
不動産ファンド事業が軌道に乗りつつあり、大幅な増収となったようです。当期純利益も黒字化し、通期の最終利益黒字化に期待が持てる状況と言えるのではないでしょうか。
LCホールディングスの2018年3月期通期予想決算
LCホールディングスは2018年3月期通期の業績について、2月9日に下記のような修正を行っています。
(単位:百万円) | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
---|---|---|---|---|
期初予想 | 18,000 | 2,000 | 1,500 | 1,000 |
修正予想 | 15,700 | 3,200 | 2,400 | 1,000 |
金額比較 | ▲2,300 | +1,200 | +900 | – |
%比較 | ▲12.8% | +60.0% | +60.0% | – |
2017年3月期実績 | 6,946 | 625 | 590 | ▲284 |
期初の予想計画について、売上高は下方修正(▲23億円)した一方で、営業利益(+12億円)、経常利益(+9億円)は上方修正となっています。
当期中に見込んでいた物件売却は、来期へのずれ込み発生により減収を予想。ただし、期初の計画にはない病院・医療関連施設物件での利益計上がなされるため増益を予想しています。
それらを合算すると、最終的な当期純利益は当初の予想と変わらない10億円となっています。
LCホールディングスの新しい取り組み
ポリー・プラス投資法人を設立(2017年9月)
同社の通期計画修正の背景の1つに、2017年9月に設立のポリー・プラス投資法人の存在があります。
同法人はREIT市場への上場を目指しており、商業施設・物流施設・病院不動産を投資対象としています。商業施設や物流施設を投資対象とするREITは多く存在しているものの、病院不動産を投資対象とするREITは限られており、上場に至ればユニークな存在となります。
既にLCホールディングスグループとして、同法人に商業施設9施設、病院・医療関連施設9施設を3月までに供給予定で、順調に物件取得は進んでいる状況のようです。
同社グループとしてはポリー・プラス投資法人に対し、物件供給・アセットマネジメント業務の受託などの成長をサポートすることで、グループ全体としての成長を目指す方針となっています。
エクイティ型クラウドファンディングも開始予定(2019年3月期予定)
グループ会社のLCレンディングがソーシャルレンディング事業を展開していますが、同じグループ会社のLCパートナーズがエクイティ型クラウドファンディングを2019年3月期に開始予定としています。
LCレンディングがメザニンローン、LCパートナーズがエクイティをカバーするといった棲み分けで、更なる事業拡大を図っています。
まとめ
埼玉県地盤の不動産会社から不動産ファンド事業の会社にシフトしつつあるLCホールディングス。
2017年9月にはポリー・プラス投資法人を設立し、不動産ファンド事業の成長を加速させる効果が期待されています。
ソーシャルレンディング事業においても、数少ない上場会社が手掛けるソーシャルレンディングサービスとして認知度も上がり、応募金額も着実に積み上げています。
2018年3月期決算が修正通りの着地となるのか、またポリー・プラス投資法人設立を受け、来期の2019年3月期についてどのような数値計画が提示されるのかなど今後も注目といえるでしょう。
※記事内の使用画像は2018年3月期第3四半期決算の決算説明資料より
※1:フィンテナ調べ