
2017年11月に株式投資型クラウドファンディングのサービスを開始したエメラダ・エクイティ。
まだまだ認知はされていない国内の株式投資型クラウドファンディングであるエメラダ・エクイティについて、そのサービス内容や特徴、評判などを解説します。
目次
エメラダ・エクイティの誕生
エメラダ・エクイティは、株式投資型クラウドファンディングとして2017年11月にサービスを開始しました。
エメラダ・エクイティを運営する「エメラダ株式会社」はゴールドマンサックス出身の澤村帝我氏(共同創業者兼CEO)及び古川直樹氏(共同創業者兼COO)、ソニー出身の五嶋宏通氏(共同創業者兼CTO)の3名を共同創業者として生まれました。
取締役他に多くの金融機関出身者を擁しており、金融のプロ集団が立ちあげた株式投資型クラウドファンディングのサービスと言うことができます。
【エメラダ・エクイティのインタビューはこちら】
・「未上場企業への投資機会を」ーーエメラダ澤村社長インタビュー
エメラダ・エクイティは株式投資型クラウドファンディング
クラウドファンディングには大きく分けて下記のカテゴリーがあります。
- 寄付型クラウドファンディング
- 購入型クラウドファンディング
- 融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
- 株式投資型クラウドファンディング
- ファンド型クラウドファンディング
このうち、エメラダ・エクティは「株式投資型クラウドファンディング」に分類されるサービスです。
インターネットを通じ個人から資金の調達が可能となるクラウドファンディングは、資金の対価として何を提供するかにより、類型が分かれます。
資金の対価として基本的には何も渡さないのが寄付型となり、提供されて資金で生産や開発した成果物を渡すものが購入型となります。
ソーシャルレンディングとも言われる融資型は、資金の対価として金利を渡すとともに期限到来時に融資を受けた資金を返済するという仕組みのクラウドファンディングです。
そして株式投資型は、資金の対価として株式等の有価証券を受け取り、対象先企業が株式上場(IPO)やM&A(企業売却)の際に株式等を売却することで、投資家が利益を得る仕組みです。
融資型及び株式投資型のクラウドファンディングは金融商品として取り扱われており、金融商品取引法が適応され、また取り扱う事業者はライセンスの取得が必須です。
また株式投資型の投資対象のほとんどが未上場企業です。
株式型クラウドファンディングではIPOやM&Aとおった形で株式売却された際に大きなキャピタルゲインを得られる可能性があります。
一方、こうした結果にたどり着ける企業は多くはないでしょう。
IPOやM&Aが無ければ、ば未上場株の現金化の機会は限られます。
こうした観点から、ハイリスク・ハイリターン型の投資商品と位置付けられています。
とはいえ、未上場企業に個人が投資できる機会はこれまで限られていました。
以下のような方には合う金融商品ではないでしょうか。
- こうした機会を通し、未上場企業を応援したい方
- 目利きに自信がある方
- 分散投資をした上で投資した企業のうち数社が上記のような結果にたどり着けば良いと考えている方
エメラダ・エクイティの特徴
国内では数少ない株式投資型クラウドファンディング事業者であるエメラダ・エクイティ。
以降、エメラダ・エクイティの特徴を解説します。
新株予約権への投資であるが、株の売却・上場によるリターンを期待できる

エメラダ・エクイティの投資対象は、未上場企業の「株式」ではなく「新株予約権」となります。
投資家は株式を購入する権利である新株予約権を取得します。
株式の取得は株式が売却される直前のタイミングで行われます。
IPOやM&Aにより収益が期待できるという点ではこの両者に違いはありません。
それではなぜ株式ではなく、新株予約権への投資なのでしょうか。
株式ではなく新株予約権を取得することで、投資家は企業の状況に応じ柔軟な株価での株式取得が可能となります。
エメラダ・エクイティでは株式取得時の株価を、当初設定株価及び最新の増資等の株価の8割の価格のいずれか安い価格での取得が可能となっています。
例えば、1株10,000円の株価で取得した新株予約権が、M&A時に20,000円となった場合に新株予約権を行使すると、10,000円で株を取得することとなるので、10,000円が利益となります。
また、1株10,000円の株価で取得した新株予約権が、M&A時にM&A時に10,000円となった場合は、その8割の価格である8,000円で株を取得できるので、2,000円が利益となります。
ただし新株予約券の取得後10年を経過すると、最終的に権利放棄を行います。
しかしながら、新株予約権発行から10年間が経過する最後の1ヵ月の間のみ権利を行使することができます。
権利を行使することで株式を保有し、投資先企業の株式売却機会を待つこともできますが、権利を行使せず関係を終了させる判断も可能です。
既にベンチャーキャピタルなどからの投資を受けている企業限定
エメラダ・エクイティでの投資案件はベンチャーキャピタル等から既に投資を受けている企業に限定されています。
ベンチャーキャピタルが既に投資を行っている企業に限定することで、未上場会社であっても成長性に対し一定の信頼性を担保することができます。
国内には何万社もの未上場企業があります。
しかし、その中から将来的なIPOやM&Aでの株式売却の機会を得られる企業を探し出すのは至難の業でしょう。
こうした背景の中、目利きのできるベンチャーキャピタルやエンジェル投資家の投資先を対象とすることで、株式売却について不確実要因が多い未上場企業において、エメラダ・エクイティは可能性を高めようとしているのでしょう。
リターンは未知数
エメラダ・エクイティに限りませんが、株式投資型クラウドファンディングにおいて、投資に対するリターンがどれくらいになるか、投資時に詳細を予想することはできません。
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)は年利回り(目標)でリターンを計算することが出来ますが、株式投資型クラウドファンディングは大きくなる可能性もゼロになる可能性もあるというところまでしかわかりません。
悪い場合は、投資先企業の業績が伸び悩み、IPOやM&Aで売却(イグジット)の機会が来ない可能性があります。
ベンチャー投資の世界では、成功にも失敗にも該当しない企業が半数程度発生するとも言われています。
エメラダ・エクイティの投資先であってもイグジットに至らないケースは発生するでしょう。
一方、良い場合は投資家が大きな利益を手にすることができます。
アメリカにおける株式投資型クラウドファンディングの先例であるサービスでは、イグジットに至り投資家が大きな利益を得た事例もあります。
このように大きく利益が出るものと全くでないものがハッキリ分かれる株式投資型クラウドファンディング投資の際は、資金を集中投資するのはリスクが高いでしょう。
分散投資を心がけるべきです。
投資は49万円まで
未上場企業に投資を行う株式投資型クラウドファンディングでは、金融商品取引法において、個人投資家は1案件に対する投資金額は50万円以下という制限があります。
エメラダ・エクイティでは、1口を7万円とし、2口・5口・7口のいずれかの口数で投資を行えます。
よって上限は7口の49万円となります。
なお、「取扱い要綱」においては、「過去1年間、同一発行者に対し出資金額が50万円を超過していないかの適合状況を確認する」とされています。
これは分散投資の観点でも良いことでしょう。
途中解約は原則不可能
エメラダ・エクイティに限りませんが、ほとんどのクラウドファンディングでは途中解約が認められていません。
ソーシャルレンディングのように期限が定められていない株式投資型クラウドファンディングでは、IPO等でのイグジットがいつとなるのか、そのタイミングを事前に読むことは難しいと言えます。
よって投資後はイグジットの知らせを待つのみとなります。
途中解約は原則不可能であり、投資は必ず余剰資金で行う必要があります。
10年で失効
エメラダ・エクイティで取得する新株予約権は10年で期限となります。
そして10年の期限到来までに、投資家は権利を行使して株式を取得するか、権利放棄をするかの選択を行う必要があります。
ただし新株予約権を行使する場合の株式を取得する費用自体は1円であるため、株式取得のコストは考える必要はあまりないでしょう。
投資家が考えるべきことは、「継続的に株式を保有したいと思える会社か」・「継続的に株式を保有の場合にイグジットの可能性があるのか」という点ではないでしょうか。
VC(ベンチャーキャピタル)は10年程度で投資先の見直しを行うと言われています。
仮にVCが撤退後した後の企業の株式を保有する場合、IPO等のイグジットの可能性は低くなると言えます。
VCがイグジットを見込めないと判断しているのかどうなのかは1つの指標となるでしょう。
ただしイグジットに関係なく、企業を応援するという観点で株式を取得することも考えられます。
10年経過後にどのような判断を下すかは、投資家に委ねられることになります。
細かい情報開示がされている
ソーシャルレンディングでは、借り手企業の詳細な情報を投資家が確認することはできません。
しかし、株式投資型クラウドファンディングであれば、投資先の情報について、投資家が確認できます。
投資家は投資を検討する案件について、開示されている詳細な情報を元に検討が可能になります。
どのような企業なのか、どういった経営者が運営している企業なのか、主な出資者や会社の略歴などまで見られます。
ファンディーノとの違い
国内において株式投資型クラウドファンディングを最初にサービス展開したのが、ファンディーノです。
ファンディーノとエメラダ・エクイティを比べた際に、最も大きな違いとなるのは、「投資家が株式に投資するのか。それとも新株予約権に投資するのか。」という点です。
ファンディーノの場合、未上場会社の株式を取得するのに対し、エメラダ・エクイティでは10年の期限付きの新株予約権を取得します。
最終的なパフォーマンスは投資案件のイグジット次第となります。
まとめ
未上場会社の新株予約権を取得するというかたちのエメラダ・エクイティは、ユニークな株式投資型クラウドファンディングと言えます。
投資を行う際は、投資のリターンが読みにくいという株式投資型クラウドファンディング特有のリスクを認識する必要があります。
未上場企業に個人が投資できるという新しい機会を提供するエメラダ・エクイティ。
どのような動きをするのか、どういった企業が成功するのか、今後も注目したいところです。
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