こんにちは中田健介です。
ソーシャルレンディングの案件には、返済が滞った場合に備えて担保や保証が設定されているものがあります。
担保や保証が設定されていれば、万一返済がなされない場合でも、投資家の元本への影響を限定的なものにすることができます。
それでは、担保や保証にはどんな種類があるのでしょうか。
また、担保や保証があれば安全と言えるのでしょうか。
担保の種類

ソーシャルレンディングの案件で設定される主な担保には、以下の種類があります。
不動産
ソーシャルレンディングの案件で最もよく見られるのが不動産担保です。不動産担保があるとやはり安心できるという投資家が多いようです。
担保となる不動産は、土地・住宅・オフィスビル・商業施設・エネルギー関連施設などさまざまです。
その案件で取得・開発を行う不動産が担保となるケースが多いのですが、案件内容とは直接関係のない物件が担保となるケースもあります。
不動産担保を設定する事業者はmaneo、オーナーズブック、SBIソーシャルレンディングなど多数あります。(ただし必ずしもすべての案件に担保が設定されているわけではありません)
ところで、不動産を担保とする際にはその不動産の価値をいくらと見積もるかが重要となります。
ソーシャルレンディング事業者自体がその評価を行う場合もありますが、外部の不動産事業者や不動産鑑定士が評価を行う場合もあります。
例えばLENDEXでは不動産価格の評価に東急リバブルの査定結果を利用しています。
債権担保ローンの例(トラストレンディング「債権担保付ローンファンド85号」)
有価証券
借り手が保有する株式などの有価証券を担保とするケースです。万一借り手が返済不能となった場合はその有価証券を売却して返済資金に充てます。
SBIソーシャルレンディングも以前証券担保とするファンドを手掛けていました。(2017年9月に募集を終了しました)
債権
債権とは、企業が商品やサービスを提供した時に発生する対価を得られる権利のことです。
債権が担保として設定されていれば、万一借り手が返済不能となった場合、借り手に代わって貸し手がその債権を回収して返済に充てます。
債権を担保とする案件は、トラストレンディングなどが手掛けています。
その他
上記の他、案件の内容に応じて様々な担保が設定されることがあります。
例えばクラウドリースではリース機器が担保設定されている案件があり、クラウドクレジットでは自動車やタイヤが担保設定された案件もありました。
担保に関連する用語

担保に関連して、あまり一般には聞きなれない用語が使用されることがあります。
ここでは「抵当権における順位」「LTV」の2つについて解説します。
抵当権における順位とは
1人の借り手に対して債権者が複数いて、それぞれが同一の物件(不動産など)に対して担保を設定することがあります。
その借り手が返済不能となった場合にはその物件を売却して得られた資金を返済に充てるわけですが、複数の債権者のうち誰が優先して回収することができるのか、その順位を事前に決めておく必要があります。
それが「抵当権における順位」です。
第一順位であればもちろん優先的に資金を回収できます。
第二順位以降は、第一順位の回収が終わった後に資金が残っていればそこから回収できますが、残っていなければ回収できない可能性があります。
したがって、順位が低いほどリスクが高いと言えます。
こうした順位は不動産案件の場合、シニアローン・メザニンローンとも呼ばれます。
【シニアローン・メザニンローンの解説はこちら】
シニアローン・メザニンローンとは。意味や活用事例と注意点
LTV(loan to value)とは
不動産にしろ有価証券にしろ、その価値は常に変動します。
価値が下がってしまった場合でも担保として機能するよう、担保は通常借入金額よりも若干余裕を持って設定されます。
例えば借入金額8000万円に対して1億円相当の担保を設定する、といった具合です。
担保金額に対する借入金額の割合をLTV(loan to value)と言います。例えば上記の例であればLTVは80%となります。
LTVが小さいほど貸し出しの安全性は高いと考えられます。
保証の種類

一方、ソーシャルレンディングの案件で設定される主な保証には、以下の種類があります。
代表者保証
借り手企業の代表者などが借り入れの連帯保証人となります。万一返済が滞った場合は代表者の個人資産から返済が行われます。
クラウドリース・クラウドバンクなどの事業者で代表者保証つきの案件が募集されることがあります。
関連会社による保証
借り手企業の親会社や関連会社などが保証するケースです。
例えばLCレンディングでは、親会社であるLCホールディングスの保証が設定されることがあります。
担保・保証があれば安全か
これらの担保・保証があればその案件は安全だと言えるのでしょうか。
もちろん無い場合に比べれば安全性は高いと言えますが、以下のケースも考えられるため、必ずしも安全とは言い切れません。
・担保価値が借入金額に対して不十分
・担保価格の下落
・抵当順位が低く、借入金額がカバーできない
・担保となる物件(動産)の持ち逃げ
・保証人の破産
貸出の安全性については、各ファンドの説明をよく読んで判断するようにしましょう。
おわりに
今回見てきたように、ソーシャルレンディングの案件に設定されている担保や保証にはさまざまな種類があります。
「担保付き」「保証付き」という表記は同じでも、その内容は大きく異なることがありますので注意が必要です。
それぞれの違いや特徴を理解し、投資判断に役立てていただければと思います。
あれば安全?ソーシャルレンディングの担保・保証にはどんな種類がある?
こんにちは中田健介です。
ソーシャルレンディングの案件には、返済が滞った場合に備えて担保や保証が設定されているものがあります。
担保や保証が設定されていれば、万一返済がなされない場合でも、投資家の元本への影響を限定的なものにすることができます。
それでは、担保や保証にはどんな種類があるのでしょうか。
また、担保や保証があれば安全と言えるのでしょうか。
目次
担保の種類
ソーシャルレンディングの案件で設定される主な担保には、以下の種類があります。
不動産
ソーシャルレンディングの案件で最もよく見られるのが不動産担保です。不動産担保があるとやはり安心できるという投資家が多いようです。
担保となる不動産は、土地・住宅・オフィスビル・商業施設・エネルギー関連施設などさまざまです。
その案件で取得・開発を行う不動産が担保となるケースが多いのですが、案件内容とは直接関係のない物件が担保となるケースもあります。
不動産担保を設定する事業者はmaneo、オーナーズブック、SBIソーシャルレンディングなど多数あります。(ただし必ずしもすべての案件に担保が設定されているわけではありません)
ところで、不動産を担保とする際にはその不動産の価値をいくらと見積もるかが重要となります。
ソーシャルレンディング事業者自体がその評価を行う場合もありますが、外部の不動産事業者や不動産鑑定士が評価を行う場合もあります。
例えばLENDEXでは不動産価格の評価に東急リバブルの査定結果を利用しています。
有価証券
借り手が保有する株式などの有価証券を担保とするケースです。万一借り手が返済不能となった場合はその有価証券を売却して返済資金に充てます。
SBIソーシャルレンディングも以前証券担保とするファンドを手掛けていました。(2017年9月に募集を終了しました)
債権
債権とは、企業が商品やサービスを提供した時に発生する対価を得られる権利のことです。
債権が担保として設定されていれば、万一借り手が返済不能となった場合、借り手に代わって貸し手がその債権を回収して返済に充てます。
債権を担保とする案件は、トラストレンディングなどが手掛けています。
その他
上記の他、案件の内容に応じて様々な担保が設定されることがあります。
例えばクラウドリースではリース機器が担保設定されている案件があり、クラウドクレジットでは自動車やタイヤが担保設定された案件もありました。
担保に関連する用語
担保に関連して、あまり一般には聞きなれない用語が使用されることがあります。
ここでは「抵当権における順位」「LTV」の2つについて解説します。
抵当権における順位とは
1人の借り手に対して債権者が複数いて、それぞれが同一の物件(不動産など)に対して担保を設定することがあります。
その借り手が返済不能となった場合にはその物件を売却して得られた資金を返済に充てるわけですが、複数の債権者のうち誰が優先して回収することができるのか、その順位を事前に決めておく必要があります。
それが「抵当権における順位」です。
第一順位であればもちろん優先的に資金を回収できます。
第二順位以降は、第一順位の回収が終わった後に資金が残っていればそこから回収できますが、残っていなければ回収できない可能性があります。
したがって、順位が低いほどリスクが高いと言えます。
こうした順位は不動産案件の場合、シニアローン・メザニンローンとも呼ばれます。
【シニアローン・メザニンローンの解説はこちら】
シニアローン・メザニンローンとは。意味や活用事例と注意点
LTV(loan to value)とは
不動産にしろ有価証券にしろ、その価値は常に変動します。
価値が下がってしまった場合でも担保として機能するよう、担保は通常借入金額よりも若干余裕を持って設定されます。
例えば借入金額8000万円に対して1億円相当の担保を設定する、といった具合です。
担保金額に対する借入金額の割合をLTV(loan to value)と言います。例えば上記の例であればLTVは80%となります。
LTVが小さいほど貸し出しの安全性は高いと考えられます。
保証の種類
一方、ソーシャルレンディングの案件で設定される主な保証には、以下の種類があります。
代表者保証
借り手企業の代表者などが借り入れの連帯保証人となります。万一返済が滞った場合は代表者の個人資産から返済が行われます。
クラウドリース・クラウドバンクなどの事業者で代表者保証つきの案件が募集されることがあります。
関連会社による保証
借り手企業の親会社や関連会社などが保証するケースです。
例えばLCレンディングでは、親会社であるLCホールディングスの保証が設定されることがあります。
担保・保証があれば安全か
これらの担保・保証があればその案件は安全だと言えるのでしょうか。
もちろん無い場合に比べれば安全性は高いと言えますが、以下のケースも考えられるため、必ずしも安全とは言い切れません。
・担保価値が借入金額に対して不十分
・担保価格の下落
・抵当順位が低く、借入金額がカバーできない
・担保となる物件(動産)の持ち逃げ
・保証人の破産
貸出の安全性については、各ファンドの説明をよく読んで判断するようにしましょう。
おわりに
今回見てきたように、ソーシャルレンディングの案件に設定されている担保や保証にはさまざまな種類があります。
「担保付き」「保証付き」という表記は同じでも、その内容は大きく異なることがありますので注意が必要です。
それぞれの違いや特徴を理解し、投資判断に役立てていただければと思います。