ノンリコ―スローンとは?特徴やソーシャルレンディングにおける注意点を解説

ノンリコ―スローンとは?特徴やソーシャルレンディングにおける注意点を解説

こんにちは、A氏です。

ノンリコ―スローンという言葉をご存知ですか?

日常生活では聞きなれない言葉ですが、ソーシャルレンディングで投資をしている人であれば、どこかで見かけた人もいるでしょう。

ノンリコ―スローンはリスク・リターンに関わる大切な言葉であるにも関わらず、正しく意味を理解している人は少ないと思います。

そこで今回はノンリコ―スローンの特徴を明らかにするとともに、ソーシャルレンディングとノンリコ―スローンとの関係性や注意点を解説します。

ノンリコ―スローンとリコースローン

ノンリコ―スローンは、ノン/リコース/ローンの単語が組み合わさってできた言葉です。

「ノン」は否定を意味する「non」、「リコース」は遡及を意味する「recourse」、「ローン」は融資の「loan」です。

つまりノンリコ―スローンを直訳すると「非遡及ローン」を意味します。

「非遡及ローン」とは具体的に何を指すのか?を考える際、その反対語にあたる「遡及ローン(リコースローン)」を理解するのが近道です。

ノンリコ―スローンとは?特徴やソーシャルレンディングにおける注意点を解説

リコースローンとは?

ノンリコ―スローンの反対語にあたるリコースローンは、日本において個人や法人への融資で一般的に用いられる方法で、身近なところでは住宅ローンが該当します。

住宅ローンを返済できなくなったらどうなるかご存知しょうか?

住宅ローンで購入した家(担保)を取り上げられるだけに留まらず、他の資産を処分してでも返済を求められます。

つまり、リコースローンは借入債務の不履行が生じた場合、担保にとどまらず「遡及」して返済を求められる返済義務が強いローンと言えます。

ノンリコ―スローンとは?

リコースローンが担保以外にも「遡及して」返済を求めるローンであれば、その反対語のノンリコ―スローンは、担保以外の資産まで「遡及しない」ローンであることが分かりますね。
もう少し詳しく解説しましょう。

ノンリコ―スローンは主に不動産分野において採用される融資方式で、特定の不動産のみを担保として、そこから生じる賃料や売却を返済原資とします。

借入金が返済できなくなっても、責任範囲は担保不動産に限定されるため、その不動産以上に責任を追及されません。

例えば、とある不動産運営のためにノンリコ―スローンで1億円借り入れて返済できなくなった場合、その不動産の売却価格が未返済の借入金より安かったとしても、不動産を手放すこと以上の責任を問われることはありません。

ノンリコ―スローンとは?特徴やソーシャルレンディングにおける注意点を解説

ノンリコ―スローンのメリット・デメリット

借り手からすると、「遡及されないノンリコ―スローンの方がお得!」と思われるかもしれませんが、実はいくつかデメリットあります。

メリット デメリット
〇 責任範囲を担保不動産に限定でき、
債務不履行時に他事業への影響が小さい
× 融資条件面で不利
× 審査基準が厳しい
× 取り扱い金融機関が少ない

ノンリコ―スローンのメリット/デメリットを上表の通りまとめました。

メリットは先ほどの繰り返しになりますが、担保以外の資産に遡及して返済を求められない点です。債務不履行となっても、その不動産以外の事業に対する悪影響を最小限にできます。

一方のデメリットですが、リコースローンと比べて「融資条件」や「審査基準」で不利になる点があげられます。

貸し手側は万一の際に貸付金が戻ってこないリスクを負うため、その対価として金利を高く、貸付期間を3~5年と短くする傾向にあります。

また貸し手には高度なリスク査定技術が求められるため、国内ではノンリコ―スローンを取り扱う金融機関が少ないこともデメリットでしょう。

ノンリコ―スローンとソーシャルレンディングの関係

実はソーシャルレンディングでもノンリコ―スローンが利用されることがあります。

具体例をあげて解説します。

maneoのノンリコ―スローン案件の例

maneoではノンリコースローン案件が募集されています。

「不動産担保付きローンファンド979号(案件1:C社、案件2:AN社)」を例に詳しく見てみましょう。

引用:maneo案件ページ 「スキーム説明」 https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=3395
※1, maneo案件ページ https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=3395

上のスキーム図を使って案件概要を簡単に説明します。

maneoが投資家から資金を募集し、事業者Cを経由して、不動産事業者MMへ融資する案件です。

貸付金:950万円に対して不動産が担保として設定されており、その評価額は1,600万円です。

もし不動産事業者MMが経営不振に陥って貸付金の返済ができなくなった場合は、maneoは担保設定していた不動産を売却するなどして貸付金の回収を行います。

担保不動産が担保評価額:1,600万円で売却できればよいのですが、実際に売り出してみたら800万円でしか買い取り先が見つからなかった場合、貸付金との差額:150万円が回収不足になってしまいます。

さて、この回収不足の150万円はどうなるでしょうか?

この案件の説明文をしっかり読むと、以下の文章が含まれていることに気が付きます。

「maneo社と事業者Cの融資契約は「責任財産限定特約付」融資(ノンリコースローン)の取扱いとして対応します。~~(中略)~~ 事業者Cがmaneo社に返済できなくなった場合でも、事業者Cの保有する他の財産に対する強制執行はできま
せん。」 ※1

説明文を要約すると、「この案件はノンリコ―スローンであるため、担保不動産以外に遡及して返済を求めることができない」と書かれているのです。

通常のローンであれば、担保不動産以外の財産を他の債権者と分け合うチャンスがありますが、ノンリコ―スローンであるがゆえに、担保以上に権利を主張できなのです。

ノンリコ―スローン案件に投資する場合の注意点

maneoの例から、ソーシャルレンディングでノンリコ―スローン案件に投資する場合に注意すべき点をまとめてみました。

注意点1 不動産担保付き案件の場合、
それがノンリコ―スローンか否か確認すること(通常のリコースローンであれば何も記載がないことが一般的)
注意点2 ノンリコ―スローンであれば、
債務不履行の際に担保不動産以外に返済を求めることができないリスクを頭に入れる
注意点3 利回り・貸付期間・担保評価額について
普段以上に入念なチェックをしたうえで、最終的な投資判断を行う

ソーシャルレンディング投資家から見れば、ノンリコ―スローンは通常の不動産担保付案件よりも比較的安全性が低いわけですから、リスクを飲んでも投資すべきか、しっかり検討しましょう。

まとめ

最後に今回の記事のまとめです。

  • ノンリコ―スローンは融資方式の1つであり、融資先が返済できなくなった場合に、担保以外の資産まで「遡及しない」という特徴があるローンである
  • ノンリコ―スローンの借り手は、債務不履行となっても返済の責任範囲を最小限にできるメリットがある一方で、借入条件や審査が厳しくなる点がデメリットである
  • ソーシャルレンディングでノンリコ―スローン案件に投資する場合、投資家は貸し手の側に回るため、安全性が弱い点を考慮してもなお投資したい案件か見極めが必要

以上、ノンリコ―スローンの特徴と、ソーシャルレンディングとノンリコ―スローンとの関係性や注意点を解説しました。