オーナーズブックとの名称でソーシャルレンディング事業を行うロードスターキャピタル株式会社は、2017年9月に東証マザーズ市場にIPO(株式上場)しています。
今回は上場後、初の決算となる同社の17/12期9月第3四半期が開示されたので解説いたします。
目次
ロードスターキャピタルの17/12期9月第3四半期の決算概要
ロードスターキャピタルの17/12期9月第3四半期(Q3)の決算は下記の内容となっています。
売上高5,345百万円(通期計画6,634百万円)
経常利益874百万円(同1,122百万円)
当期純利益571百万円(同720百万円)
9月28日に東証マザーズ市場に上場したばかりのロードスターキャピタル社は、前年同期の損益計算書(P/L)の開示が無いため(貸借対照表は開示されている)、前年同期比での決算内容の比較が行えません。
しかしながらQ3時点で、順調に期初計画の達成に向け数字は進捗。
進捗率としては売上高80%、経常利益77%、当期純利益79%となっています。
なお、後述しますが同社は不動産投資会社として位置付けられる存在です。
不動産市場については、現状高値が指摘されることはあるものの、変調をきたしている等の不調な状況とはなっていません。
上記を考慮すると、社の事業環境は安定しており、通期計画達成の可能性は高いのではないでしょうか。
既に17/12期通期の実績を9月第3四半期で上回る
同社の17/12期通期は下記の数字となっています。
売上高4,659百万円
経常利益703百万円
当期純利益468百万円
当期Q3の数字と比べると、同社は既に前期の通期数字を上回る業績を残しています。
ロードスターキャピタル社はIPOを経て順調に事業が拡大。
通期計画の達成に向けても順調に数字を出しており、業績としては順調そのものです。
ソーシャルレンディング事業での売上はまだ小さい
オーナーズブックとの名称でソーシャルレンディング事業を展開するロードスターキャピタルですが、不動産投資会社としてIPOを果たしています。
よって不動産投資事業の売上が中心であり、ソーシャルレンディング事業での売上計上は大きくありません。
16/12期時点での部門別売上高は下記となっています。
不動産投資事業 4,041百万円
不動産賃貸事業 593百万円
クラウドファンディング事業 7百万円
その他 17百万円
上記構成は17/12期9月第3四半期では下記のようになっています。
不動産投資事業 4,589百万円
不動産賃貸事業 721百万円
クラウドファンディング事業 34百万円
その他 1百万円
ソーシャルレンディング業界から見ると、ロードスターキャピタル=ソーシャルレンディングの会社、との位置付けとなります。
他方、売り上げ構成から見ると不動産投資会社として位置付けられるでしょう。
匿名組合出資預り金が急増
そんなロードスターキャピタル社ですが、当期に入り匿名組合出資預り金が急増しています。
16/12期Q3 758百万円
17/12期Q3 2,187百万円(+1,429百万円)
当期Q3時点ではソーシャルレンディング事業の売上高34百万円ですが、投資家から預かる資金に該当する匿名組合出資預り金は大きく増加。
IPOによる企業知名度向上及び企業に対する信頼度向上がファンド募集に大きく貢献していると考えられます。
同社は足元の業績も好調であり、不動産市況の急激な悪化等がなければ、今後も順調に匿名組合出資預り金が積み上がるのではないでしょうか。
来期(18/12期)からオーナーズブックを手掛けるクラウドファンディング事業においても、より大きな売上の計上期待されます。
IPOからの株価推移
公募価格1,820円に対し初値2,501円でIPOした同社の11月21日終値は3,320円。
公募価格を上回る株価で推移しています。
IPO後10月上旬には4,000円を超える株価を付ける時期もありましたが、その後に一旦3,000円割れ。
そして2,500円付近を底値に再度上昇し、現在の株価に至っています。
今後の株価としては初値2,501円と10月11日の高値4,710円の株価、上下いずれの方向をブレイクするかが見どころです。
ロードスターキャピタルの17/12期第3四半期の決算まとめ
上述のようにロードスターキャピタルの17/12期第3四半期は、順調に推移していると言えます。
ソーシャルレンディング事業者とのみならず、不動産投資会社の側面も強い同社ですが、ソーシャルレンディング事業において投資家からの資金も当期に入り順調に集まりつつあります。
当期はまだ売上高1億円に満たないソーシャルレンディング事業ですが、来期からの収益貢献へ期待したいところです。