こんにちは。中田健介です。
ソーシャルレンディングのファンドはいくつかのテーマに分類できます。
今回は、各テーマにどのような特徴があるのか考えてみたいと思います。
※なお、同じテーマでもサービス事業者やファンドによって内容は異なりますので、投資に際してはその点に十分ご注意ください。
目次
ソーシャルレンディングファンドのテーマ
まず、ソーシャルレンディングのテーマにはどのようなものがあるのでしょうか。
様々な分類があると思いますが、ここでは投資対象により以下のように分けます。
国内事業性資金
企業・店舗・飲食店など国内の各種事業者に貸付を行います。
資金用途は新規事業の開始資金や投資資金・運転資金などです。
国内不動産
不動産開発・リノベーションなどを手掛ける国内の不動産関連事業者に貸付を行います。
資金用途は不動産の取得資金や建築・改装資金などです。
不動産が担保として設定されていることが多いです。
エネルギー
太陽光・水力・バイオマス発電など、国内のエネルギー関連事業者に貸付を行います。
資金用途は発電用土地・施設の取得や建築資金などです。
海外事業性資金
海外の各種事業者に貸付を行います。
資金用途は新規事業の開始資金や投資資金・運転資金などです。
海外不動産
不動産開発・リノベーションなどを手掛ける海外の不動産関連事業者に貸付を行います。
資金用途は不動産の取得資金や建築・改装資金などです。
国内と同様、不動産が担保として設定されていることが多いです。
海外個人ローン
海外の個人に貸付を行います。
ただし直接貸し付けるのではなく、現地の銀行やマイクロファイナンス機関などを通じて貸付が行われることが多いです。
その他
上記以外のファンドです。
例えばSBIソーシャルレンディングの証券担保ローン(現在は募集していません)などが含まれます。
なお、「国内個人ローン」というテーマはないのか疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。
もちろんテーマとしては存在し、以前は取り扱っていた事業者もあったのですが、現時点ではほとんど募集されていません。
そのため今回の記事では対象外としました。
各テーマの特徴、利回り、特有のリスク
各テーマの特徴、利回り、特有のリスク、取り扱っている主なサービス事業者をまとめました。(2017年11月時点)
特有のリスクとは、そのテーマのファンドにつきもののリスクのことです。
※貸し倒れやサービス事業者の破綻といったリスクはテーマに関わらず全てのファンドに存在するので記載していません。
国内事業性資金
特有のリスクとしては、投資対象企業事業の失敗があります。
maneo、クラウドバンクなど多くのサービス事業者が取り扱っています。
国内不動産
特有のリスクとしては、担保となる不動産価格の下落、不動産開発の失敗などがあります。
また、開発した不動産が想定通りに売却できなかったり、自然災害により建物が被害を受けるといったリスクもあります。
取り扱うサービス事業者は、SBIソーシャルレンディング、LCレンディングなど多く、いずれも投資家の人気は高いようです。
【不動産案件のリスクについては以下の記事もご参照ください。】
・ソーシャルレンディングの不動産ファンドを見極めるポイント
エネルギー
特有のリスクとしては、エネルギー開発事業の失敗や、不動産開発と同様に自然災害が挙げられます。
また、売電価格は政策により変動するため、その下落により収益が悪化するリスクもあります。
エネルギーを専門に取り扱うサービス事業者としてはクラウドバンクなどがあります。
【エネルギー案件のリスクについては以下の記事もご参照ください。】
・ソーシャルレンディングにおける太陽光発電案件選びの考え方
海外事業性資金
特有のリスクとしては、事業の失敗に加え、為替リスクやカントリーリスクがあります。
※為替ヘッジされており、為替リスクが実質的にないファンドもあります。
取り扱うサービス事業者はクラウドクレジットなどです。
【海外ファンドについては以下の記事もご参照ください。】
・ソーシャルレンディングで海外ファンドに投資する際の注意点
・ソーシャルレンディングにおけるカントリーリスクを国ごとに分析してみた
海外不動産
特有のリスクとしては、国内不動産と同様、不動産価格の下落・不動産開発の失敗・不動産売却が想定通りに行われない・自然災害があります。
さらに為替リスクやカントリーリスクもあります。
取り扱うサービス事業者はガイアファンディング、アメリカンファンディングなどです。
海外個人ローン
特有のリスクとしては為替リスクやカントリーリスクがあります。
また、複数の個人に対して貸付が行われるため、貸し倒れの発生する割合が他よりも高いのも特徴です。(ある程度の割合で貸し倒れが発生することを見込み、それでも利益が出るように設計されているファンドもあります。)
取り扱うサービス事業者はクラウドクレジットなどです。
テーマごとの募集ファンド数
各テーマのファンドはどの程度募集されているのでしょうか。
フィンテナの「業界分析」ページによると、これまで募集されたテーマ別のファンド件数比率は以下の通りです。
最も多いのは「国内不動産」と「国内事業性資金」で、いずれも37%と、ちょうど同じ比率です。
現状ではこの2つのテーマで全体の7割以上を占めていることになります。
特に不動産担保付きの案件は投資家にとって安心感があるため、人気が高いようです。
次に多いのが「エネルギー」(12%)です。
海外案件は全て合わせても9%と比較的少ない割合です。
ただし今後伸びる可能性はありそうです。
おわりに
人によりある程度テーマの好みはあると思いますが、特定のテーマだけに偏り過ぎると思わぬリスクにさらされるかも知れないので注意が必要です。
投資対象ファンドを選ぶ際には、今回の記事の内容を踏まえて各テーマの特徴、リスクも意識していただければと思います。