クラウドファンディングのデメリットや問題点をすべてまとめて解説します

クラウドファンディングのデメリットや問題点をすべてまとめて解説します

購入型や融資型などクラウドファンディングにもさまざまな種類がありますが、それぞれで異なるメリット、デメリットがあります。

今回は購入型・融資型・ファンド投資型・株主投資型クラウドファンディングのそれぞれのデメリットについてまとめて解説します。

各クラウドファンディングに共通しているデメリット

まずは全種類のクラウドファンディングに共通するデメリットについてです。お金を出す側とお金を受け取る側という視点から解説していきます。

お金を出す側①:出したお金が返ってこない

購入型クラウドファンディングであれば、商品やサービスといったリターンを求めて購入したのに、その後起案者から音沙汰がないような詐欺的なプロジェクトも海外では発生しています。

クラウドファンディングで出したお金は必ず返ってくるという保証はないということを、あらかじめ理解しておきましょう。

お金を出す側②:基本的にキャンセルができない

クラウドファンディングは一度支援・投資をしてしまうと、原則キャンセルができないので、お金を出す際には十分注意しましょう。

  • 購入型クラウドファンディングの場合:プロジェクトの支援を原則キャンセルすることはできません。
  • 融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の場合:募集期間終了前であればキャンセルができることもありますが、募集期間終了後は原則キャンセルできません。
  • ファンド投資型クラウドファンディングの場合:融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)と同様です。
  • 株式投資型クラウドファンディングの場合:応募時から事業者が定めている期間以内であればキャンセルすることができます。募集期間終了後は原則キャンセルできません

上記は一般的な例であり、各事業者によって異なることもあるため、よくある質問やお問い合わせからキャンセルについて調べておきましょう。

お金を受け取る側①:管理コストが大きくなる

通常の資金調達とは異なり、不特定多数の人々を対象にしていることから、購入型であればリターンとしての商品やサービスの発送、融資型であれば分配金の振込など数多くの手続きや業務が発生します。

これらをミスなく管理しようと思うと、人手やシステムなどのコストもさらに必要になる可能性もあります。資金調達というメリットも大きいクラウドファンディングですが、こうしたデメリットもあることを理解しておきましょう。

お金を受け取る側②:Web上にずっと残る

クラウドファンディングで一度プロジェクトを公開すると、募集期間中はもちろん、目標金額の達成・未達成に関わらず、原則としてWeb上から削除することはできません。

後先を考えずにプロジェクトを公開すると、将来後悔することがあるかもしれませんので、プロジェクトについては十分考えてからスタートするようにしましょう。

購入型クラウドファンディングのデメリット

支援者:リターンが受け取れない可能性がある

購入型クラウドファンディングは、目標金額が集まることで実施が確定する「All-or-Nothing」方式と、目標金額の達成・未達成に関わらず実施される「All-In」方式の2つの資金調達方法に大別されます。

「All-or-Nothing」方式の場合、目標金額に達成しなければプロジェクトがスタートしないため、仮にリターンを購入したプロジェクトが目標金額に届かず、欲しかったリターンが受け取れないというデメリットがあります。

また目標金額に達成してプロジェクトがスタートしても、何らかのトラブルによってリターンが提供されないといった可能性もあるでしょう。資金調達の方法はもちろんですが、本当に実現可能性があるのかどうかを吟味する必要があります。

起案者:公開すると、途中で止められない

購入型クラウドファンディングの起案者側からみると、プロジェクトページを公開した時点で、途中で止めることが出来ないというデメリットがあります。なかなかお金が集まらないからといって、途中で止めることはできないと念頭に置いておきましょう。

Web上では途中で中止されたプロジェクトの事例を見ることが出来ますが、例えば権利の問題や何らかの違う形で資金調達が可能になったなどの特別な事情があるようです。

すでに支援者がいる場合は、全員に返金対応をする必要があります。信頼が無くなることや手数料などの負担もあることから、公開前の準備は慎重に行いましょう。

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)のデメリット

投資家:融資先の企業情報がわからない

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)以外のクラウドファンディングのプロジェクトは、資金調達する起案者や企業の情報を知ることができます。どんな人や企業がプロジェクトを行なっているかも、お金を出す1つの判断材料になります。

しかし、融資型クラウドファンディングサイトに掲載されている案件の場合、融資先の情報公開が規制されているため、融資先の詳細情報がわからないようになっています。

この課題は投資家にとってデメリットであるといえるでしょう。

借り手:テーマが限定的

近年成長を遂げている日本の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)ですが、そのテーマの内訳を見てみると、事業性資金38%・国内不動産35%・エネルギー15%・海外不動産7%となっています。※1

これはあるテーマだけに特化した融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)事業者が比較的多いといったことが挙げられます。

例えば国内不動産案件に特化したOwnersBook(オーナーズブック)LENDEX(レンデックス)などがあります。

融資型クラウドファンディングは発展途上のサービスであるため、今後のさらなるテーマ拡充に期待したいところです。

ファンド投資型クラウドファンディングのデメリット

投資家:分配金の変動がある

ファンド投資型クラウドファンディングは、出資した事業の売上高に応じて分配金が変動します。事業が計画通り進捗していれば、募集条件に記載されている通りの分配金を受け取ることが出来ますが、進捗が悪ければ分配金も少なくなります。

この変動を読むことは難しく、場合によっては元本割れになることもあるため、投資家にとってはデメリットとなるでしょう。

資金需要者:一定の期間で成果を上げる必要がある

ファンド投資型クラウドファンディングで集めた資金を元手に資金需要者は事業を行うことになりますが、事業計画を基にして1年ごとに決算日を設けています。この毎年の決算日までに、出資者に提示している売上高を達成することが必要です。

売上高が未達の状況が続くと、出資者や金融機関から信頼を失っていくことにも繋がりかねません。この事業期間に成果を必ず出すということが求められるというのは、メリットである反面デメリットにもなっているといえるでしょう。

株式投資型のクラウドファンディング

投資家:エグジットしない限り、リターンがない

株式投資型クラウドファンディングは、購入型や融資型と違って、投資先の企業の株式を取得できますが、非上場企業の株式であるため、上場するまでは自由に売買することができません。

よって、IPOによる株式公開やM&Aによる企業買収がされない限りは、リターンが得られません。

また株式投資型クラウドファンディングサービスのエメラダ・エクイティでは、エメラダ型新株予約権という仕組みを用いており、投資から10年が経ち、IPOやM&Aが無かった場合は、新株予約権の権利が無くなるといった形になっています。

株式投資型クラウドファンディングはハイリスク・ハイリターンであることを理解しておきましょう。

ベンチャー企業:株主増加で事務負担が増える

インターネット上で不特定多数の株主を増やすことになるため、仕組みによっては株主名簿の管理や決算情報の公開など事務負担が増加することになります。

株主が増えるということは、応援してくださる投資家とより近い関係になれるメリットもありますが、一方で負担となるデメリットも発生しますので、兼ね合いを考えておきましょう。

まとめ

各クラウドファンディングにおけるデメリットをそれぞれ解説してきました。デメリットの部分もありますが、それ以上のメリットがあると感じる方もいるでしょう。

メリット・デメリットを正しく理解した上で、クラウドファンディングを活用していきましょう。


※1:フィンテナ調べ 2017年11月以前の直近1年間