ソーシャルレンディグに興味を持って実際に投資を始めてみたいと思う方も多いのではないでしょうか。
今回はソーシャルレンディグ投資の始め方として、必要な口座開設の準備から実際に投資するまでの流れを解説します。本人確認や審査の条件などもあるので、事前にチェックしていきましょう。
【ソーシャルレンディング事業者一覧はこちら】
・日本のソーシャルレンディング事業者・会社の一覧をまとめてみた
口座開設の流れ
ソーシャルレンディングを始めるためにはまず口座開設が必要になります。投資家として申請するための書類を確認後、同意にチェックをすることで必要情報の入力をすることができるようになります。
①:登録フォームに必要情報を入力
各事業者のWebサイトにある登録フォームに必要情報を入力します。金融商品取引となるため、年収や資産状況、投資経験の有無などが問われます。以下は各事業者の口座開設ページになります。
個人以外にも法人も登録が可能ですが、電話やメールなどで直接問い合わせが必要になります。
※日本のソーシャルレンディング事業者のうちサービス開始日が古い5つのサービス
②:本人確認書類の提出
本人確認のための書類を提出する必要があります。提出方法はWeb上で画像をアップロードする場合が多いです。事業者によって、郵送やFAXでも受け付けています。
<個人の場合>
(1)本人様確認書類
運転免許証、印鑑登録証明書、各種健康保険証、住民票、パスポ-ト、住民基本台帳カードなど。
外国籍の方は外国人登録証明書、在留カード、 特別永住者証明書、住民票が必要になります。
※上記以外に、銀行情報、マイナンバーの提出を求められる場合があります。
<法人の場合>
(1) 登記簿謄本のコピー
登記簿謄本の、履歴事項全部証明書もしくは現在事項全部証明書など
(2) 取引責任者の本人様確認書類
取引責任者の本人確認書類など
※上記以外に、実質的支配者に関する書類の提出を求められる場合があります。実質的支配者とは議決権保有比率が25%を超える株主のことです。
③:口座開設にかかる審査
事業者ごとに審査基準があり、それに基づき審査が行われます。詳細な審査基準は公開されていませんが下記項目を中心にチェックしている場合が多いです。
(1)現住所
日本在住であるかを確認します。外国籍の方であっても日本在住であれば投資が可能です。
逆に日本国籍であっても転勤等で海外勤務の方は口座開設ができません。現住所の確認には、本人限定受取郵便が利用されることが多いようです。
(2)年齢
事業者ごとに口座開設の年齢制限を設けており、合致しない場合は口座開設ができません。
<各事業者の口座開設基準>
- maneo(マネオ):20歳以上、75歳未満
- SBIソーシャルレンディング:20歳以上
- クラウドクレジット:20歳以上、75歳未満 ※75歳以上の場合は問合せが必要
- クラウドバンク:80歳未満、※未成年の場合は、親権者、未成年後見人の確認が必要
- OwnersBook(オーナーズブック):20歳以上、75歳未満 ※75歳以上の場合は問合せが必要
(3)投資経験、年収、資産
投資経験が全くないからといって、それを理由に審査落ちすることはありませんので安心してください。
ただし、投資経験が全く無い場合で、さらに資産、年収が低いと判断された場合には、投資不適格で審査に落とされる可能性があります。
ひとつの目安として、年収200万円以下、資産で50万円以下の場合、審査に通らない場合があります。
(4)反社会的勢力
過去の犯罪歴や反社会的勢力に属していないかどうかを調べられます。近年、犯罪収益移転防止法によって、当局から厳しく確認を求められています。
④:ハガキ封書を確認して口座開設完了
審査が通過するとご自宅に特定記録郵便のハガキもしくは封書が届きます。これは口座開設の完了を通知するだけではなく、本人が本当にその住所に住んでいるかを確認する目的もあります。
そのため転送不要の特定記録郵便で送られてきます。口座開設の前後に引っ越しする方、お住まいがいくつかある方はご注意ください。ハガキ、封書が届いたら、無事口座開設完了となります。
開設した口座へ入金
口座開設が完了したら各社の口座にファンドへ投資する資金を入れていく必要があります。事業者によっても異なりますが、入金が反映されるまでに1営業日程度かかる場合があります。
募集開始後すぐに募集金額が集まる人気のファンドなどもあるので、早めの入金をおすすめします。なお入金の際の振込手数料は投資家側が負担します。
投資を始める前に確認したい5つのポイント
以上で、投資を始める準備が完了しました。さて数多くのファンドから投資したいものを選択していくことになりますが、投資をする際には、必ず分散投資をするように心がけましょう。
もし100万円を投資しようと考えるなら、ひとつのファンドに全額を投資するのではなく、10万円を10個のファンドに分けて投資することをおすすめします。
そうすることで、万一、融資先の延滞や貸し倒れが発生した場合でも、あなたの資産ポートフォリオに与える影響は限定的なものにすることができます。その上で、投資を始める前にチェックすべき項目は以下の通りです。
ポイント①:テーマ
国内・海外不動産や中小企業支援、再生可能エネルギー、など事業者によって多種多様なテーマのファンドがあります。ファンドの詳細ページをよく読み、興味の持てるファンドを選んで投資しましょう。
【各テーマごとの事業者一覧はこちら】
・【16社】不動産投資ができるソーシャルレンディング事業者一覧と比較
・【5社】再生可能エネルギーに投資できるソーシャルレンディング事業者一覧
ポイント②:利回り
利回りは当然高い方が良いかもしれませんが、一般的に高い利回りのファンドはリスクも相応にあると考えられます。期間や担保など、他の項目とのバランスをチェックしましょう。
【ソーシャルレンディングの利回り平均や見方を詳しく知りたい方はこちら】
3.基礎知識:ソーシャルレンディングの利回りについて理解しよう!平均や計算式まで
ポイント③:運用期間
ソーシャルレンディングは運用中の途中解約ができません。資金に余裕が無い場合、運用期間の長いファンドに投資するのは避けた方が良いでしょう。
逆に運用期間の短すぎるファンドは再投資の手間が増え、運用効率が悪化することも考えられます。一方、はじめは運用期間が短めのファンドで少しずつ投資をしてみるという方もいます。
ポイント④:担保・保証
担保とは、借り手が返済困難に陥った際の損失を補てんするために借り手から提供してもらうものを指します。不動産や売掛金などが担保として設定されることが多いです。
また、担保以外に連帯保証人を設定しているファンドもあります。連帯保証人とは借り手が返済困難になった時に、代わりに返済する義務を負う人のことを指します。
融資は一定の確率で貸し倒れが発生します。担保・保証ありのファンドであれば、万一の場合に担保売却などにより、資金の一部または全額返済の可能性もあります。
ポイント⑤:融資先
ソーシャルレンディングは貸金業法によって融資先の開示が禁止されています。そのため、投資家側からすると、どこの企業に融資をしているかがわかりません。
ただし、一部の事業者では、融資先に固有のアルファベットを付与して公開しています。融資先が特定できなくても識別はできるようになっているのです。
ご自身の投資するファンドの融資先が重複しないようにすることでリスクヘッジをしやすくなることが期待できます。
【ソーシャルレンディング事業者一覧はこちら】
・日本のソーシャルレンディング事業者・会社の一覧をまとめてみた
運用期間終了後の分配・償還
運用が開始されると翌月、もしくは翌々月から返済利息の一部が分配金として口座に振り込まれます。分配金の支払い状況は各事業者のWebサイトのマイページで確認ができます。
運用期間が終了すると、投資元本が利息と一緒に返済されます。これを償還と言います。
投資したファンドが満期一括返済の場合は、毎月の分配金はなく、運用期間が終了してから投資元本と利息がまとめて償還されます。
【分配の違いについて詳しく知りたい人はこちら】
【ソーシャルレンディングの分配方法】元利均等返済、元本一括返済、満期一括返済の違いとは?
複利効果で資産を増やす
ファンドに投資した資金が無事に増えたからといって、すぐに引き落としてしまうと複利効果を得ることができなくなってしまいます。
複利効果とは、運用で得た収益を再び投資することで、いわば、利息が利息を生んでふくらんでいく効果のことです。
単利の計算は「足し算」ですが、複利の計算は「掛け算」なので、投資期間が長ければ長くなるほど差が出ます。運用を早く始めれば始めるほど、この複利効果が大きくなります。
また出金の際の振込手数料は投資家側が負担します。事業者や銀行によっては無料な場合もあります。
まとめ
ここまでソーシャルレンディグ投資の始め方から確認するポイントまで解説しました。ソーシャルレンディングは予備知識や手間が比較的少ないため、資産運用の初心者にとって始めやすいと言えます。
ソーシャルレンディング投資を始める場合は、まずは少額から分散投資を意識しながら行うと良いでしょう。