ソーシャルレンディングと株式型クラウドファンディングの違いとは

ソーシャルレンディングと株式型クラウドファンディングの違いとは

クラウドファンディングのシステムを利用した投資手法の中に、ソーシャルレンディングと株式型クラウドファンディングというものがあります。

どちらも資金需要者が複数の個人から資金を調達するという仕組みにおいて、この2つは似ています。
ではその二つの投資手法は具体的にどのような点が異なるのでしょうか。

その点について見ていきましょう。

運用期間

ソーシャルレンディングと株式型クラウドファンディングの違いの一つとして、まずはファンドの運用期間が挙げられます。

ソーシャルレンディングは事業者のWebサイトに掲載されているファンド情報を見ながら投資をしていきますが、ファンドの詳細情報には運用期間もあらかじめ定められています。

運用期間はファンドによって様々。
6ヶ月や12ヶ月、さらには2年など短期から長期まで多様なものがあります。

また運用期間中は、多くの事業者の場合、毎月分配金が配当されます。

一方で株式型クラウドファンディングの場合、運用期間は特に定められていません。
出資先企業(資金需要者)が株式上場したり会社の売却などがない限り、現金化は難しいです。

基本的には長期保有する事が前提になります。

投資上限額

投資できる上限額についても大きな差があります。

ソーシャルレンディングでは、金額に対する制限はありません。
最低1万円(事業者による)から、ファンドの最大募集枠まで投資できます。

ソーシャルレンディングではファンドご毎に、募集する金額が定められているため、その金額が投資上限額です。
例えば1億円の募集を予定しているファンドがあった場合、他に誰も投資していない場合、最大1億円までの投資が可能です。

対して株式型クラウドファンディングの場合は、1社に対して個人が投資できる資金は最大49万円と定められています。
もちろん複数の会社の株式を購入することで、累計投資金額を増やしていくことは可能ですが、ソーシャルレンディングのように手軽に多額の資金を投入することは難しいのです。

インカムゲインとキャピタルゲイン

ソーシャルレンディングと株式型クラウドファンディングでは、収益の仕組みも異なります。

株式型クラウドファンディングは株式という名の通り、投資先企業の株式売却が果たされることによるキャピタルゲイン(売却益)を目的とします。

未上場企業株式に投資するので、投資先企業が上場などを果たした場合は大きな利益が見込めるかもしれません。
反対にその会社が倒産などをした場合、株式の価値は無くなるので損失となります。

つまり株式型クラウドファンディングは、ハイリスクハイリターンな投資手法といえるでしょう。

大きなキャピタルゲインを狙っていきたいという人は、上場前の企業の株式を購入できる株式型クラウドファンディングは狙い目かもしれません。
しかし日本ではまだ出てきたばかりの商品のため、どのような成果が出るのかといった事例も無いのが現状です。

対してソーシャルレンディングは、基本的にはインカムゲインを目的に投資します。

借り手企業が資金を返済する際の金利の一部が投資家に支払われる仕組みのため、借り手企業が問題なく返済を果たせば、投資家に元本と分配金が配当されます。

資金需要者の顔が見えるかどうか

資金需要者の顔が見えるかどうかといった点も大きな違いがあります。

ソーシャルレンディングでは借り手企業の企業名など、詳細な情報を投資家が知ることはできません。
貸金業法に基づく当局の指導によりこのような制限があります。

ファンドを見極めるためにどんな借り手企業なのかを知りたくとも、ソーシャルレンディング事業会社が公開しているファンドの詳細までしか見えないのが現状です。

一方で、どういった会社が資金需要者なのか、企業名や具体的な事業内容、さらには運営者の顔まで把握できます。
借り手企業自ら財務状況などを公開するので、投資家は財務状況や事業の状況などに基づき投資を吟味することが可能です。

法的スキーム

どういった法律によってこれらの事業が運営されているという法的スキームも、ソーシャルレンディングと株式型クラウドファンディングでは異なってきます。

ソーシャルレンディング事業者のホームページを見ると基本的には、以下が記載されています。(事業者の事業スキームによって異なります)

  • 貸金業登録番号
  • 金融商品取引業登録番号

ソーシャルレンディングを運営するためには、金融商品取引業のへの登録義務があり、その資金を融資する際には貸金業の登録が必要です。

一方株式型クラウドファンディングの場合は、貸金業や金融商品取引業ではなく、 第一種少額電子募集取扱業務となっています。

日本証券業協会による定義では、「第一種少額電子募集取扱業務とは非上場株式の募集又は私募の取扱いにより、インターネットを通じてのみ、多くの人から少額の資金を集める仕組みを運用する」という業務を指しています。
また取扱ができる金額も1社あたり年間1億円、個人の上限が50万円と決められています。

いずれも金融商品取引法に則ったビジネスですが、事業を行う際に基づく法律や協会には違いがあります。

まとめ

ソーシャルレンディングと株式型クラウドファンディングは少額から投資ができ、資金需要者にとってクラウドファンディング事業者を通して資金調達ができるという点では似ています。

しかし、リスク・リターンの差や投資家に対して収益を提供する仕組みなど、異なる点が多くあります。
それぞれのメリットやデメリットをきちんと理解した上で、自分の投資資金や投資に掛けられる時間、またリスクの分散効果などをよく考え、投資先や投資手法を選ぶようにしましょう。