目次
こんにちは、ファイアフェレットです。
ソーシャルレンディング事業者、もしくはその関係会社の経営者が執筆し、ソーシャルレンディングに触れている本はこれまで5冊出版されています。
これらは決して単なるソーシャルレンディングについての解説書、投資ガイドではありません。
テーマ、触れられていること、主張は様々です。
しかしソーシャルレンディングでより良い、人生と社会を築こうという著者の主張は共通です。
今回はそれぞれの本ではどんなことに触れられているのか解説してみます。
本記事でご案内する本
上図はこの記事で紹介する本の一覧です。
- 1.みんなと幸せになるお金の使い方
- 2.セカンドマネーを創りなさい!
- 3.クラウドファンディングではじめる1万円投資
- 4.ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資
- 5.資産家たちはなぜ今、テキサスを買い始めたのか?
この2冊はmaneoの経営者によるものです。
いかに国内ソーシャルレンディングは誕生したのか、業界最大手の地位を築いたかを知ることができるという点で共通しています。
ただし筆者のソーシャルレンディングに対する想いはそれぞれ異なります。
証券会社として唯一のソーシャルレンディング事業を運営しているクラウドバンクの初代社長が執筆した本です。
クラウドファンディング全般について触れられているものの、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)にはもっとも多くの文量が割かれており、資産運用の重要性、ソーシャルレンディングより可能となる少額投資と、それがもたらす金融の民主化のインパクトについて語られます。
ソーシャルレンディング運営会社ではなくグループ会社の経営者が執筆した本です。
不動産ファンドによる資産運用についてのススメが主な内容です。
正統派の投資ガイド書ともいえますが、初心者には不動産ファンドを勧める理由が、具体的に書かれている点が特色です。
maneoファミリーのうち、米国不動産投資専門の運営会社社長2人による共著です。
収益性が高いが個人投資家には手が出にくい米国不動産投資。その魅力と具体的な投資手法について書かれています。
資産家向けの本ともいえますが、一般的なソーシャルレンディング投資家も海外不動産案件に投資するならば必読でしょう。
みんなと幸せになるお金の使い方「ソーシャルレンディング」という新しい投資のカタチ
“ソーシャルレンディングは、これまでの金融の常識を覆した、不可能を可能とするファイナンスになる”
(同書「はじめに」(9P)から)
筆者について
著者の妹尾賢俊氏は1973年生まれ。
一橋大学経済学部卒。maneoの運営会社、maneo株式会社の創業者です。
東京三菱銀行のカスタマーディーラーを経た後、シリアルアントレプレナーのジェフリー・チャー氏とともにmaneoを立ち上げました。
2006年10月に同社社長に就任し、2013年9月に退任しました。
国内ソーシャルレンディングの生みの親といっても差し支えない功労者です。
ソーシャルレンディングを始めとするソーシャルファイナンス※が社会を変えて行くことの期待、サービス開始と成功までの苦労が本の中にこめられています。
※:銀行を介さずに、人と人の関係を利用して、お金を必要とする人にお金を拠出した人がお金を融通すること
背景・概要
初版発行は2012年12月です。
2006年に妹尾氏が国内ソーシャルレンディング事業展開の話を相談され、2008年10月15日にmaneoがサービスを開始、そして5年をかけて単月黒字化を達成する2012年までが描かれています。
タイトルにあるとおり、ソーシャルレンディングを始めとするソーシャルファイナンスによっていかに人が幸せになることができるかについて、妹尾氏は本書を通して伝えています。
妹尾氏は銀行員時代に次のようなことを考えます。
銀行の本来の責務は融資を行い、社会にお金という血液を行き渡らせることであるはずだ。
しかし実際はデリバティブ商品の販売により手数料を儲けることに躍起になっている。
そのデリバティブ商品に手を出したことにより、リーマン・ショックの際に倒産に追い込まれる中小企業が続出する。
こうした事態を目の当たりにし、妹尾氏は本当に自分のやっていることはお客様のためになっているかを迷うようになります。
そうした中、ジェフリー・チャー氏に米国のProsperのようなソーシャルレンディングサービスを行えないか持ちかけられ、逡巡の末銀行員を辞め、maneoの立ち上げに奔走します。
大変な苦労の末、いかにmaneoは立ち上げられたか、黒字化にいたるまでの紆余曲折、「どのような審査」を行って投資家の資産を保全することに心がけているか、が語られます。
maneoは最初手がけていた個人金融から事業者金融へ軸足を移すことになります。
事業開始5年間の苦労を経て、妹尾氏はソーシャルレンディングこそが「金銭的インセンティブが飛躍的に投資家を増やし事業の発展につながっている」、「勝ちにくい投資から負けない投資を乗り換えてもらうことに、個人の幸せ、また起業が活性化することにより、日本再生の起爆剤になる」との確信を得るにいたります。
ソーシャルレンディングに投資している人ならば、きっと共感することができるでしょう。
読みどころ
最大の読みどころは、妹尾氏が当局から第二種金融商品取引業と貸金業の登録を受けるまでの苦労です。
新しいものを簡単には認めない各所に何度も足を運び理解してもらうことの苦労があってこそ、今のソーシャルレンディングの発展があるのだと思います。
本書では「ソーシャルファイナンスが日本を変える起爆剤になる」、「みんながの幸せにつながる」という主張が書全体を通して語られています。それが現実になろうとしている今、ぜひ読んでほしい一冊です。
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・みんなと幸せになるお金の使い方
セカンドマネーを創りなさい!勝負しないで勝率99%! 利回り8%のインカムゲイン投資法
“自分の人生をどう生き、社会に対してどのような貢献ができるのかを考えたいところです。そのためにも余裕が必要です”
(同書「第3章 ファイナンス村の住人になってみた よりよい人生にするために余裕(インカムゲインが)必要」(152P)から)
筆者について
著者の瀧本憲治氏は1972年生まれ。慶應義塾大学商学部卒。
妹尾氏の後を次いで2013年9月にmaneo社・maneoマーケット社の社長に就任しました(出版時は副社長)。
土方、トラック運転手からセブンイレブンジャパンなど様々な職を経験した後、UBI社に就職。
同社副社長に抜擢された後、UBI finance社を創業。同社社長としてmaneoを買収してソーシャルレンディング経営に携わるようになります。
個人融資から事業性融資へmaneoの軸足を変え、本日につながるソーシャルレンディング隆盛の道筋をつけた方です。
資産を着実に増やすための哲学、またそれをどのようにmaneoで活かしているかが同書には明確に示されています。
背景・概要
初版発行は2013年1月。
最初に紹介した「妹尾氏のみんなと幸せになるお金の使い方」のちょうど一ヶ月後に刊行されています。
当時の瀧本氏はmaneoの副社長です。妹尾氏の著書と期間が異なりますが同時期のmaneoが描かれています。
ただしその内容には瀧本氏のお金の哲学、実体験が多く盛り込まれています。妹尾氏の著書とは全く違った印象を受けるでしょう。
タイトルにある「セカンドマネー」とはお金を活用して、毎月お金が入ってくる仕組み(インカムゲイン)のことです。
またYoutube動画「お金とはなにか?」で後に瀧本氏と共演している経済評論家三橋貴明氏の推薦文が書の冒頭に掲載されています。
そこで瀧本氏の活動が日本の成長路線となることに三橋氏は期待を寄せており、それは現実のものになりつつあります。
書を通して分かることは瀧本氏がロバート・キヨサキ氏の著作「金持ち父さん 貧乏父さん」をリスペクトして、そこから大きな影響をうけていることです。
「金持ち父さん 貧乏父さん」では人がお金のために働き、いつまでもお金持ちになれない生き方はラットレース、貧乏父さんのものとして否定されています。
その一方で人を雇い、お金を働かせてセカンドマネーを作ることこそが、ラットレースから抜け出し金持ち父さんの生き方として勧められています。
お金の哲学が説かれています。ただし「金持ち父さん 貧乏父さん」には実践的なことが多く書かれているわけではありません。またインフレ時の米国での話です。
そこで日本のデフレ下という環境でも実践できる方法を、瀧本氏は「セカンドマネーを創りなさい!~」の中で積極的に記し、指針を示してくれます。
例えば、持ち家信仰にとらわれて負担となるマイホームを手に入れるよりは、収益となる収益性不動産を先ずは手に入れること。
節税のために会社を設立することなどが瀧本氏の経験を交えて語られます。
キャピタルゲインはこの本のテーマですが、それについて本書の中ではどのように書かれているかをご紹介します。
例えば不動産で利益を得るには大きく分けて、キャピタルゲイン(不動産の販売時の利益)、インカムゲイン(不動産の賃料など)があります。
両方ともお金を働かせて収入を得る方法です。
不動産に限らず両方の方法を実践して瀧本氏は資産を増やしていますが、著作の中で「キャピタルゲインは昭和の遺物」、「デフレの平成ではインカムゲインこそがサラリーマンがお金持ちになる方法」だと言い切っています。
キャピタルゲイン投資はインフレ時の右肩上がりの時代だからこそ有効であり、デフレ時には損を被ることが多く不安定といったことがその理由です。
インカムゲインの優位性が語られた後、借金の是非、融資のあり方について話が変わり、そこからソーシャルレンディングへ話は進んでいきます。
瀧本氏がUBI社の木村勝男会長に出会い、同社へ入社し、maneoに出会い、買収して経営に携わっていくところが紆余曲折を交えて語られます。
借金は「良いもの」と「悪いもの」があります。
日本人は借金を悪いものと考えがちですが、それは消費のための借金であり、資産を食いつぶす類のものです。
収益を得るための借金、資産を増やすための「良い借金」ならば価値があるのです。
瀧本氏の上記の教訓がmaneoの経営に発揮されていることが、同書を通じて感じられるでしょう。
読みどころ
瀧本氏の半生とお金の哲学、いかに会社と個人のセカンドマネーを創ってきたかの努力と苦労が全編に渡って描写されており、どの部分も読み応えがあります。
インカムゲインという仕組みに魅せられた瀧本氏は、その頂点たるファイナンス村(銀行などの融資事業)を目指します。
UBI社に入社し様々な事業で成功を収め副社長に抜擢されます。
maneo社に出会い買収して経営に参加、赤字だった事業を立て直します。そのストーリーは実に痛快です。
UBI社がmaneoをいくらで買収したのかについても知ることができます。
妹尾氏と瀧本氏の大変な苦労を経て国内ソーシャルレンディングの仕組みは出来上がりました。
それを私達個人投資家は、労なく利用してセカンドマネーを得ることができます。その視点から両氏の著作を読むと実に感慨深いものがあります。
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・セカンドマネーを創りなさい!
クラウドファンディングではじめる1万円投資
“ですから、私はクラウドファンディングを推進するという「使命」(英語でappointed taskといいます)を喜んで引き受けています”
(同書「おわりに」(188P)から)
筆者について
著書の大前和徳氏は1968年生まれ。北海道大学経済学部卒。
クラウドバンクの運営会社であるクラウドバンク(株)の初代社長です。
後にクラウドバンク(株)は持ち株会社となり、運営会社は日本クラウド証券(株)になります。
北海道拓殖銀行、中央信託銀行を経て、SBIグループにてネット銀行設立を始めとするネット金融に深く携わります。
ソーシャルレンディングサービス「AQUSH」を運営するエクスチェンジコーポレーションの副社長として事業を統括。
その後クラウドバンク(株)にてクラウドバンクを立ち上げることになります。
現在大前氏はFinTech全般のコンサルティングを手掛けるエレベートの代表取締役です。また投資型クラウドファンディング事業支援システム「クラウドシップファンディング」の監修も担当しています。
日本の投資型クラウドファンディングの設立携わってきたからこそ、その可能性に対しての理解と思いからくる洞察は実に深いものがあり、本書ではそれを伺い知ることができます。
背景・概要
初版発行は2014年11月です。
クラウドバンクがサービスを開始した約1年後となります。
ただし本書はクラウドバンクのサービス紹介、投資商品の紹介に主軸が置かれているわけではありません。
当時あまり日本で知られていなかった「クラウドファンディング」とは何かをまとめて、紹介することが主目的となっています。様々なデータが掲載され、実に資料的価値が高い本です。
あらゆるタイプ(融資型、購入型、寄付型など)のクラウドファンディングが丁寧にわかりやすく解説されています。
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の運営者としての立場も忘れず、その魅力も余すことなく伝えられます。
しかし大前氏のクラウドファンディング全体の可能性への期待は大きいことも読み取れ、どのタイプに対しても描写は公平です。
ただし日本の高齢化・人口減が進み、低金利政策で銀行にお金を預けても資産運用にならない日本。投資(資産運用)の重要性は高まっている。
しかし株式やFXは手を出せない人も多く、資産運用の動きは進まない。
そうした背景から、投資型、特に融資型(ソーシャルレンディング)はもっとも私たちが考えるべき資産運用手段として提示されており、それがこの本のテーマとなっています。
融資型の特徴、案件の説明がクラウドバンクを例として詳しく解説されます。
いかに投資家の利益と元本を保全するか、なぜ高い利回りで融資を行い投資家に分配できるかについて、具体的な事例が示されます。
クラウドバンクが舞台ですが、その多くはその他のソーシャルレンディング事業者にも当てはまることであり、投資を始めたい人に向けた解説書としてもうってつけです。
また、当時はまだ日本で開始されていない株式型クラウドファンディングの解説にも多くのページが割かれています。
当時クラウドバンクが真剣に同事業への参入を検討していたことが読み取れます。
その意義からメリット、デメリット、法整備についても詳しく解説されています。
最終章の「金融の民主化が始まった」では、クラウドファンディング全体が社会に与えるインパクト、将来に展望について主張と考察がなされています。
旧来から金融に携わってきた人ではなく、異業種の人が起こす破壊的イノベーションへの期待、地域性やリアルな人の関係からくる「共感」について説明されています。
読みどころ
大前氏の2つの側面が描かれ、その対比を楽しめることが読みどころといえます。
1つの側面は大前氏の業界の推進者、教師としてわかりやすくクラウドファンディングを解説する部分です。
もう1つの側面は情熱を熱く語り、イノベーターとしてクラウドファンディングの展望を語る部分です。
前者はクラウドファンディング全般の解説、ソーシャルレンディングの投資商品を語る部分(まえがきと第1~第4章)にあらわれています。
この部分は客観的かつ簡易的に書かれているので、クラウドファンディングの入門書としても最適です。
後者は最終章とあとがきで感じることができます。
クラウドファンディングが金融の民主化を起こそうとしている現場に立ち会っている興奮を感じることができます。
旧来の金融を「わかりやすく、親しみがあり、愛着をもてる身近なサービス」にクラウドファンディングで変えるという情熱を感じることができます。
その情熱はどこから来ているのか?
大前氏はスティーブ・ジョブズ氏とアップルの挑戦的取り組みに鼓舞されたと本書の中で述べています。その契機となったエピソードにも触れられます。
興味のある方は是非とも一読くださいませ。
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・クラウドファンディングではじめる1万円投資
ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資
“これまでプロ投資家しか投資できなかった「不動産ファンド」。クラウドファンディングの仕組みによって、誰もがこの「小さなリスクで高利回りを期待できる商品」への投資機会を手にしています。”
(同書の帯から)
筆者について
著者の小山努氏はUniversity College London(ロンドン大学)出身です。
建築経済・経営学修士(MSc)、一級建築士などの学位、資格を取得しています。
(株)大京、(株)住友基礎研究所[現:(株)三井住友トラスト基礎研究所]、(株) ダヴィンチ・アドバイザーズを渡り歩き、金融・不動産投資の分野において、25年以上のキャリアがあります。
2009年にLCパートナーズを設立し代表に就任、ロジコムグループの不動産ファンド運用に深く関わります。
私募ファンド・REITの新規上場、不動産ファンドの設立などの不動産流動化について手腕を発揮しており、その知見はこの本の中で分かりやすく解説されています。
背景・概要
初版発行は2016年3月です。
LCレンディングのサービス開始後から1年を経ておらず、これまで日本では一般的ではなかった不動産クラウドファンディングを、より広く一般の人に知ってもらうことが目的と思われます。
同書は不動産(私募)ファンド、とくに不動産クラウドファンディングを投資の主軸として薦める典型的な投資ガイド本といえます。
国内の低成長、増税、年金の頼りなさなどの問題が提起され、資産運用の重要性を訴えかける記述が冒頭に置かれています。
続いて、薦めたい投資商品以外の不確実性、疑問点を提示したところで、薦めたい投資商品(不動産投資型クラウドファンディング)についてLCレンディングを例として解説されます。
読者が不動産系クラウドファンディングの優位性を感じやすい構成となっています。
では「他の投資ガイド本と何が違うのか?」と問われたら私は以下をあげたいと思います。
- 1.その論拠に説得力があること
- 2.実用的な不動産クラウドファンディングへの注意喚起がなされていること
- 3.不動遺産ファンドの利益を高リスク投資に回して、短期間での資産形成する手引が記されていること
簡単に解説します。
1.その論拠に説得性があること
冒頭の資産運用の重要性、初心者をカモにする投資商品にについて触れる内容にも、客観的な様々なデータが挙げられています。
しかしここでは不動産クラウドファンディングが確実な資産運用に役立つことを、訴える部分を取り上げたいと思います。
通常の投資商品ガイド本において、「このようにしたら良い」と書かれたことは実際には、「実行するのが難しい」「実行したからといってうまくいくとは限らないことが多い」などの難点があることも少なくありません。
前者は「収益性の高い不動産を購入するべき、割安な株を購入するべき」など。
後者は株、FXなどにおいて「このタイミング、チャートの形で投資商品の購入(売却)を行うべき」ということです。
しかし「ローリスクで年利7%~」で解説されていることは以下の通り。
- A.いかに不動産私募ファンドが投資家の資産を保全して、利益を生み出す仕組みとなっているか
- B.一般の投資家には縁遠い存在であった不動産私募ファンドが、ITの進歩により不動産クラウドファンディングとして、手軽に投資できるようになった
テクニック的なこと、実行するのに難しいことは書かれていない印象です。
こうしたしっかりとした仕組みになっているならば「投資の初心者である自分でも不動産クラウドファンディングに投資してみたい」と感じやすいようになっているでしょう。
2.実用的な不動産系クラウドファンディングへの注意喚起がなされていること
不動産系クラウドファンディングは投資家にあまりテクニックは要しません。
しかしえ、必ず利益が得られるわけではありません。
小山氏は米国と同じように、日本でも幅広い不動産系クラウドファンディングへ投資できるようになる未来を見据え、初心者向けの注意喚起が行われています。
以下のように初心者が踏まえるべき重要な3つのポイントが、具体的な手法とともに解説されています。
- Ⅰ.詐欺的なファンドを避ける
- Ⅱ.リスクを理解する
- Ⅲ.投資のために必要な情報を収集する
3.不動遺産ファンドの利益を高リスク投資に回して、短期間での資産形成する手引が記されていること
不動産ファンドにおける利益を手がかりに、より高リスクの投資商品へ投資してより迅速な資産形成を行うアドバイスもされていることが、本書のユニークなところです。
不動産ファンドに投資していれば、株式、REIT、投資信託など価格変動リスクがある投資商品のリスクも限定的にできるとされています。
ただしFX等の投機的なものは避けることは明記され、実用的な解説が行われています。
読みどころ
小山氏が国内での不動産クラウドファンディングの本格的な市場拡大を予見しているところが注目です。氏の不動産ファンドにかける情熱と知見の賜物でしょう。
不動産系クラウドファンディングが日本でも将来的に一般になり、投資戦略が異なる他社から様々にユニークな案件が組成されることが予想されています。
その中で将来性のある案件の事例が具体的な根拠とともに記されています。
また、高利回りが狙える投資対象を見つける注目ポイントについても記されています。
2017年の不動産特定共同事業法の改正などにより、さらなる不動産系クラウドファンディング事業者の登場が期待されます。
TATERU FUNDINGやクラウドリアルティ以外にもこれから続々登場するでしょう。
不動産クラウドファンディングへの投資を本格的に考えている方に特におすすめです。
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・ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資
資産家たちはなぜ今、テキサスを買い始めたのか?
“我々は自信をもって、今のテキサスの不動産はローリスク・ハイリターンだと言い切ることができます。”
(同書「第2章 テキサスの不動産は魅力的な投資対象」(48P)から)
筆者について
倉石灯(ルーク・A・くらいし)氏
倉石氏は1959年生まれ。防衛大学校管理学部卒。
1984年に渡米し、テキサス州のダラス大経営大学院でMBAを取得しました。米国最高峰の認定不動産投資顧問資格であるCCIM資格(全米認定不動産投資顧問協会が認定)も取得しています。
米国三井不動産販売株式会社で米国商業不動産小口化商品を日本の投資家に販売する業務に携わりました。
総額200億ドルもの不動産証券化を経験し、日米十数社の取締役を勤めています。
2016年にテキサス州と日本にガイアアセットマネジメントを設立し、その最高経営責任者に就任しました。
ガイアファンディングの代表取締役には2017年に就任しました。
角内創氏
角内氏は早稲田大学理工学部卒業、千葉大学院自然科学研究科修了。2003年に渡米し、日系最大手不動産会社に入社しました。
住宅の売却、購入、コンサルティング業務、また米国税理士としても米国不動産ビジネスに深く携わりました。
2006年に起業して、Across Pacific Investment, Inc.を設立。
同社は米国の不動産ソーシャルレンディングサービス、「111ソーシャルレンディング」を2010年にスタートさせます(社名は111 Capital, Inc.に変更)。
2015年にmaneoで資金募集を行ったこともあります。
同年、アメリカンファンディングを設立、2016年にサービスを開始しました。
「資産家たちはなぜ今、テキサスを買い始めたのか?」は、米国不動産ビジネスで実績のある二人が協力して書き上げた実践的な投資ガイドとなっています。
背景・概要
初版発行は2017年4月です。
米国ではトランプ大統領が就任し、その経済政策が期待された株高、いわゆるトランプラリーの只中に出版されています。
共和党のジョージ・W・ブッシュが2000年に大統領選挙に勝利した後、6~7年好景気が続き、特に不動産市場が活況だったことの再来が起こると、著者も含めた米国不動産関係者が「ワクワク」している今日この頃であることが、本書の中で記されています。
ガイアファンディングはサービス開始1年と半年、アメリカンファンディグは1年未満の時期ですが、国内ソーシャルレンディングの飛躍的な伸びと両社の着実な経営により、ともに募集額を伸ばしている時期です(2017年10月時点)。
本書は日本の資産家向けにテキサス不動産の魅力を伝えることが主目的となっています。
なぜ米国、ひいてはテキサス州の不動産が魅力的なのかについての説明、具体的な運用手段(資金移動、仲介会社の選び方、法人設立)についての解説が大半を占めています。
全6章あるうち、ソーシャルレンディングについて触れられているのは6章目の「不動産の小口投資」についてだけですので、一般的な投資家というよりは資産家向けの本といえます。
ただしガイアファンディングとアメリカンファンディングで投資を考えている方はぜひ読むべきでしょう。
両社が手がける米国不動産投資の魅力、ノウハウ、小口化スキームが詳しく書かれているからです。
いかに「おまかせ」であるソーシャルレンディングでも、その投資スキームの熟知は不可欠です。
6章の最後では「不動産への直接投資とソーシャルレンディング投資、どちらにするべきか?」という問いかけが行われ、それぞれの特徴がまとめられています。
「どちらの投資スタイルもおすすめです」が筆者の主張ですが、読者のステータスによっても異なるところはあるでしょう。
この書を読むような資産家は前者、ソーシャルレンディングに興味を持つ大多数の一般投資家は後者となるのかもしれません。
その判断をつける材料は豊富に記されています。
読みどころ
魅力的な投資先を求めている資産家には、ほぼ全編が読みどころといえます。
テキサス州がいかに魅力的な投資対象であるかが、客観的なデータとわかりやすい文章で記されています。
また、テキサス州での直接不動産投資を真剣に考えている方には実践的なガイド書として役立つでしょう。
豊富なコラムが掲載されているところもユニークです。
ソーシャルレンディング投資家ならば、倉石氏と角内氏の略的、その米国における活動が生き生きと詳細書かれていることに注目するのもよいでしょう。
一般の本よりも長めの「筆者紹介」が掲載されているのですが、両氏の人生がいかにユニークで波乱に満ちたものであるかを知ることができます。
ソーシャルレンディング投資において一番重要なことは信用できる運用会社の見極めです。
ガイアファンディングとアメリカンファンディングの場合両氏の人生を知ることが、その見極めに役立つのではないでしょうか。
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・資産家たちはなぜ今、テキサスを買い始めたのか?
最後に
以上、5冊のソーシャルレンディング本について解説いたしました。各所のエッセンス部分を捉えて記したつもりです。
ソーシャルレンディングがその本に占める割合、位置づけは様々です。
しかし投資によって将来に備えよう、豊かな人生を送ろうという主張はどの本でもなされています。
それはソーシャルレンディングの運営者も投資家も、関わる人全員が共有できるテーマでしょう。
ぜひ一読してソーシャルレンディングへの共感を深めてほしいと思っています。