
日本でも利用者が増えてきているソーシャルレンディング。
投資を行うにあたり、パソコンではなくスマートフォンやタブレットなどのモバイルツールを使う方も少なくないでしょう。
日本のソーシャルレンディング事業者でもWebサイトをスマートフォン対応させてはいますが、投資家の方々には「アプリでの投資ができたら」と考える人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は実際にアプリを使って投資ができるソーシャルレンディング事業者はあるのか、日本よりもソーシャルレンディング市場が大きい欧米などでアプリのソーシャルレンディング投資を行う例があるのかといった事情を見ていきます。
日本にソーシャルレンディングアプリはあるのか
現在、専用アプリをユーザーに提供している国内のソーシャルレンディング事業者は、ロードスターキャピタルが運営するオーナーズブックのみです(2017年10月中旬時点)。
オーナーズブックはもちろんWebサイトでもスマホなどで投資をすることはできますが、android、IOSの両方に対応した専用アプリも提供しています。
実際にアプリをインストールするとわかりますが、ほぼオーナーズブックのWEBサイトと同じ機能を持っています。
会社の紹介やオーナーズブックが投資家向けに提供しているビデオセミナーなどのコンテンツを見ることも可能。
また同社の特徴でもある、投資家同士のSNS機能も利用もできます。
むしろオーナーズブックのパソコン用サイトやスマートフォン用サイトよりも、会員用ページとWebサイトを一つにまとめたような構成になっているために、よりコンパクトで情報を確認しやすくなっているともいえるでしょう。
アプリを使う最大のメリットは外にいても気軽に投資ができるところです。
オーナーズブックの募集ファンドは、資金の募集開始時間を過ぎるとすぐに投資できなくなってしまうこともあります。
そんな時でもアプリを使えば、移動中で目の前にパソコンがなくても簡単にアプリ経由で投資をすることができます。
多忙なビジネスマンにとっては1秒でも惜しいもの。
そんな時に速やかに投資できるアプリの存在は、大変ありがたいと思う人も多いはずです。
他のソーシャルレンディング事業者の中でアプリを導入しているまだ企業はありません。
しかし、モバイル対応自体はどの会社も行っているために、各社とも今後の取り組みに期待をしたいところです。
欧米ではソーシャルレンディングアプリがある
一方で欧米では日本よりもソーシャルレンディングが投資の手法として一般的であり、その市場規模も数兆円に達しています。
そんな市況下でソーシャルレンディングアプリは、実際に多様なシーンで活躍していることがわかります。
まず欧米では日本のソーシャルレンディングとは異なり、個人が法人に融資をするという形だけではなく個人同士での融資も頻繁に行われています。
なお、日本では個人間の融資というとmaneoが過去に行っていましたが、法人と違って貸し倒れが発生することが頻繁にあったために、今ではほとんどみられません。
日本の投資家は安全度の高い法人向けの融資を対象に投資をすることを好む人が多くなっているのです。
アメリカのソーシャルレンディング事業者の中でも特に大手として知られるLending Clubは投資家向けにアプリを提供しています。
利用者からのアプリの評価をみてみると、投資面でも十分実用に耐えうる機能を有しているとわかります。
海外では日本よりもはるかに多くソーシャルレンディングの事業者があります。
それだけに各社ともアプリを提供し、投資家に対する利便性を高めようとしているのではないでしょうか。
日本でソーシャルレンディングアプリが出る可能性は?
では今後日本でもこういったソーシャルレンディングアプリの登場はあるのでしょうか。
ソーシャルレンディング事業者が提供するアプリは実現化してもおかしくないといえます。
サービスの利便性を高めることは投資家からの信頼性において重要でしょう。
また、日本でもソーシャルレンディング事業を展開する会社はどんどん増えてきており、競合する会社間で、多額の資金を投資してくれる投資家の奪い合いはこれから激化していくことでしょう。
そのためにはアプリを利用するメリットを投資家にわかりやすく打ち出し、アプリの利用率を高めなくてはいけません。
オーナーズブック以外の各社ではまだ積極的な動きは見られませんが、投資家へのサービスの向上を図るためにアプリを製作する会社が出てきてもおかしくありません。
ただ日本のクラウドファンディングの現場を見ると、資金調達をしようという人に、必ずしも好意的な視線が注がれるとは限りません。良くも悪くも個人で資金を集めようとする人に対しては、色眼鏡をかけて見る人が多く、なかなか個人の資金調達が日本では普及をしていかないというのが実情です。
個人が起業などのために、ネット上から幅広く投資を募ることが普通という文化の定着が肝になると考えられます。個人の資金調達が日本でも定着をしていけば、個人間での融資に使えるソーシャルレンディングアプリも登場してくるのではないでしょうか。