ソーシャルレンディングとREIT(リート)の違いとは

ソーシャルレンディングとREIT(リート)の違いとは

不動産案件が多いソーシャルレンディングと、不動産投資信託と言われるREIT(リート)。対象が似ている両社は全く異なる商品としての性質を有します。

不動産という観点では類似点はあるものの、異なる両者について、その代表的な違いを4点ピックアップしました。

REIT(リート)は投資でソーシャルレンディングは融資

REIT(リート)は上場株式に準じた商品として取り扱われており、売買される対象は株式会社の場合の株式(株券)に該当する持ち分です。

投資家はREIT(リート)の持ち分を全て買い取ることが出来れば、REIT(リート)を自身の所有物とすることができます。
よってREIT(リート)は株式投資と同様の位置付けとなっています。

一方ソーシャルレンディングはファンドに出資する形ではあるものの、最終的に資金は借り手企業に貸し付けられます。
投資家は対価として受け取るのは、金利収入となり、株式のように融資先の支配権の取得はできません。

REIT(リート)は支配権取得ができる投資ですが、ソーシャルレンディングは資金の返済を前提として、金利収入を目的とした融資です。

価格変動の有無

REIT(リート)は株式同様、東京証券取引所に上場されており、日々その価格が変動します。よって当初の取得価格での想定利回りも、その後の値動き次第で利回りが上下します。

一方、ソーシャルレンディングは、その価格に日々の変動は生じません。
投資家は期限が到来し資金の返済がなされるまで(ただし分割返済のファンドも存在)、月々入金される金利を確認するのみで、日々の値動きに翻弄されることはありません。

REIT(リート)の価格は株式市場の変動に大きく左右されるため、利回り商品ではありますが、株価の暴落が発生すればその価格は変動します。
ソーシャルレンディングは、相場の上下に関係なく、借り手企業の事業が順調に進捗している限り、価格の変動はありません。

途中換金の可否

REIT(リート)は相場性があり日々価格の変動がある一方、投資家の判断で証券会社に売却を指示すれば現金化が可能です。

「不動産市況の悪化を予想し、保有REIT(リート)の値上がりが見込めない」、「価格の下落によりこれ以上の下落が許容できない」などの理由で売却を決意すれば、株式市場がオープンしている時間帯であればいつでも売却し換金可能です。

一方、ソーシャルレンディングは原則として途中換金ができません。
投資を行った後は、月々の金利収入はありますが、投資元本の回収は満期日が到来するまでできません。

ソーシャルレンディング投資では融資先の状況が悪化した場合でも、いわゆる損切はできません。融資先の状況悪化に対して、投資家が取れる行動は基本的にありません。

税制

REIT(リート)は売却益に対して株式と同様の税制体系が取られています。売却益に対し利益額の約20%の課税となります。

また特定口座を設けて源泉徴収方式を選択すれば、REIT(リート)の売却に関する税金の手続きは株式と同様に証券会社が行うため、投資家は確定申告のすら必要ありません。
税務の手間がほとんどかからない点は、広義の意味での不動産投資においてREIT(リート)の最大のメリットの1つとなっています。

一方のソーシャルレンディングから得た利益は、サラリーマン・OLの場合は雑所得として扱われるため、その税率は本業での所得金額に応じます。
通常はおおむね20%前後となりますが、所得税に準じる課税関係のため、累進課税が適応されMax45%程度の税率が適応されることになります。

ソーシャルレンディングは所得金額に応じて税率が異なるため、投資検討の際に予想される税率の計算は必須となります。

なお、同じ不動産領域の投資でも、現物不動産投資の場合はREIT(リート)ともソーシャルレンディングとも異なる税率が適応されるのでご注意ください。

値動きを許容できるかが判断ポイント

REIT(リート)は相場性の商品であり、日々の価格変動が付き物です。
利回りはソーシャルレンディングが高い場合が多い印象ですが、5%を超える利回りのREIT(リート)もあります。

株式にせよREIT(リート)にせよ、「投資すると日々の価格変動が気になって仕方ない」というタイプの方は、日々の変動のないソーシャルレンディング投資が良いでしょう。

一方、日々の価格変動があるから魅力がある(REIT(リート)は価格の上昇でキャピタルゲイン獲得の可能性もある)という価値観の方もいます。

REIT(リート)がよいのかソーシャルレンディングが良いのかは、投資家の価値観次第となります。

REIT(リート)にも破綻リスクが存在

REIT(リート)の価格変動リスクは前提として、REIT(リート)が破綻するリスクがないかと言えば、そんなことはありません。

REIT(リート)市場創設時は予想していない事態となりましたが、2008年のリーマンショックの前後に日本ではREIT(リート)の破綻が発生しています。
利回り目的にREIT(リート)を損が膨らみながらも保有していた多くの投資家は、REIT(リート)の破綻により損失を計上するに至っています。

途中で損を出しながらでも売却が出来れば、回収資金を別の投資先に振り向けることができますが、「REIT(リート)はリスクが低い」と考えて、保有し続けると破綻のリスクが生じるケースもあるので、注意が必要です。

ソーシャルレンディングでは案件自体のリスクに加え、ソーシャルレンディング事業者のリスクも投資検討の際に判断する必要があります。
一方REIT(リート)は価格変動のリスクは把握していても、REIT(リート)が破綻するリスクまでは考慮に入れられていないケースが多いでしょう。

たしかにリーマンショックの際のREIT(リート)の破綻は特殊例ともいえます。
しかしながら、過去実際にREIT(リート)の破綻がありREIT(リート)自身のリスクも存在している点には留意しておきましょう。

まとめ

REIT(リート)は投資であるものの、ソーシャルレンディングは融資です。
REIT(リート)は金利に相当する分配金のみならず、値上がり益を享受できる可能性もあります。
一方でソーシャルレンディングは日々の値動きの変動はない反面、値上がり益を享受できないことが多く、利回りによる収入が利益の源泉となります。

不動産案件が非常に多く存在しているソーシャルレンディング。
REIT(リート)との違いの把握は必須の知識と言えます。

上記ご参考にしてくだされば幸いです。