
ソーシャルレンディングを運営するソーシャルレンディング事業者には中小企業も少なくありません。
中小企業の定義にもさまざまありますが、中小企業基本法における中小企業に該当する企業は実際にソーシャルレンディング事業者に多いです。
maneoやSBIソーシャルレンディングが比較的募集実績を集めているように、規模が大きい会社であることやそのグループ企業は投資家からの信頼が集まりやすいのかもしれません。
しかしながら中小企業といえど、各社異なるサービスの特徴があります。
今回はソーシャルレンディング事業を運営する中小企業について解説いたします。
目次
ソーシャルレンディング運営会社には中小企業が多い
国内のソーシャルレンディング市場は2016年に500億円を突破し、2017年はその2倍まで届こうとしています。
世界的に見ても、ソーシャルレンディング市場は数年で急成長した市場です。
こうした背景もあり、そのプレイヤーたるソーシャルレンディング運営会社(以下、事業者)も、まだ成長過程にあります。
市場成長とともに事業者の成長も期待されますが、現段階では事業者は中小企業である場合がほとんどでしょう(2017年10月時点)。
上場会社及びそのグループ会社が事業を運営しているケースもありますが、それでもほとんどが中小企業です。
中小企業の定義とは
中小企業基本法においては、ソーシャルレンディング事業が該当するサービス業について中小企業は下記のように定義されています。
「資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人」
簡単に言えば、資本金が5千万円以下または従業員数100人以下であれば、ソーシャルレンディング事業者は中小企業に該当することになります。
ソーシャルレンディングに限らず、投資ファンド運営会社の従業員数は100名以下の場合が少なくありません。中小企業基本上は中小企業に該当します。
ソーシャルレンディング事業者も同様で、多くの事業者で従業員数は100名以下でしょう。
一般的なイメージでは、いわゆるファンド運営会社 = 中小企業のイメージはありませんが、こうした定義上はファンド運営会社の多くが中小企業に該当することは豆知識として知っておいても損はありません。
ソーシャルレンディングは発展途上
国内のソーシャルレンディング市場は、欧米に比べ立ち上がりが一歩遅れましたが、2016年より事業者の投資家からの調達金額も急上昇しており、日本においてもソーシャルレンディングが根付きつつあります。
こうして考えれば、ソーシャルレンディング市場及び事業者もまだまだ成長の途中と言えます。
市場規模が1兆円となると業界としては一人前ともいわれますが、業界最大手のmaneoの成立ローン総額は865億円(17年10月5日時点)です。
国内ソーシャルレンディング市場はまだ十分な伸びしろがあり、発展とともに中小企業も成長することが期待されます。
上場企業のグループ会社なども
ソーシャルレンディング事業者の中には、上場会社又は上場企業のグループ企業が運営のケースもあります。
この中で上場会社のグループの場合は、事業者単体では中小企業であっても、グループとしては上場している大企業です。
自ら上場そして上場企業グループに属する国内ソーシャルレンディング事業者は、下記となります。
- 1. SBIソーシャルレンディング
- 2. LCレンディング
- 3. ロードスターキャピタル(オーナーズブック)
- 4. TATERU FUNDING(インベスターズクラウド)
東証1部上場のネット証券大手のSBIホールディングス(8473)のグループ会社
東証ジャスダック市場上場の不動産会社を中心とするLCホールディングス(8938)のグループ会社
オーナーズブックとの名称でソーシャルレンディング事業を展開のロードスターキャピタルは17年9月に東証マザーズ市場に上場(本業は自己資金での不動産投資事業)
アパート経営事業の東証1部上場のインベスターズクラウド(1435)が運営のソーシャルレンディングサービス、不動産特定共同事業法(不特法)に基づく独特の仕組みで展開
上記中、SBIソーシャルレンディングとLCレンディングは親会社が上場しており、ロードスターキャピタルとインベスターズクラウドは上場会社自らがソーシャルレンディング事業を展開しています。
国内において上記4社はより大企業に近い位置付けとしてみることができます。
※尚、JALCO-HD(ジャスダック6625)も子会社のジェイ・レンディングでソーシャルレンディング事業を手掛けていますが、継続的にファンドを募集していないため、上記には加えておりません。
ソーシャルレンディングの中小企業一覧
中小企業基本法に基づくと上記3社を除くソーシャルレンディング事業者が中小企業に該当します。
改めて業界の主要企業について概観いたします。なお、参考までにサイトに記載のある場合、資本金及び従業員数の記載を行っています。
- maneo(資本金308.5百万円)
- ラッキーバンク・インベストメント(資本金210百万円、従業員数9名)
- クラウドクレジット(サイトに資本金・従業員数未記載)
- クラウドバンク(日本クラウド証券:資本金100百万円、役職員数20名)
- トラストレンディング(エーアイトラスト:資本金100百万円)
- グリーンインフラレンディング(資本金120百万円)
- スマートレンド(資本金120百万円)
- クラウドリース(資本金100百万円)
- ガイアファンディング(資本金100百万円)
- さくらソーシャルレンディング(資本金30百万円)
- アメリカンファンディング(資本金50百万円)
- キャッシュフローファイナンス(資本金30百万円)
- アップルバンク(資本金98百万円)
- ポケットファンディング(ソーシャルバンクZAIZEN:資本金50百万円、従業員5名)
- スマートエクイティ(SAMURAI証券株式会社)
- クラウドリアリティ(サイトに資本金・従業員数未記載)
- レンデックス(資本金100百万円、従業員数6名)
業界最大手企業
不動産特化型で急成長
※ラッキーバンクでは返済遅延していたファンドについて、債権譲渡が決定しました(2018年12月5日時点)。詳細はこちらをご覧ください。
海外特化型
老舗ソーシャルレンディング事業者
金融コンサルティングを行う企業がソーシャルレンディング事業も手掛ける
再生エネルギーに特化の事業者、業界内でも比較的高利回り
担保取得のみならず多くの手法を組み合わせ幅広い対象の案件を募集
店舗ビジネス支援に特化
アメリカの不動産開発案件に特化
本社は福岡市、地方の案件に特化
アメリカの不動産案件に特化、maneoグループ
国内不動産に特化、maneoグループ
不動産中心だが給料前払いシステム事業等の案件も取扱い
沖縄発のソーシャルレンディング事業者
証券会社が運営、債権買取等の案件が存在
不動産に特化、外資系証券会社出身者が創業
17年7月にサービス開始、国内不動産案件を手掛ける
まとめ
ソーシャルレンディング事業者の多くは、中小企業基本法で言う中小企業に該当します。
しかしながらソーシャルレンディング事業を行うためには、かかる免許が必要なため、一般的なイメージの中小企業とは若干趣が異なる存在かもしれません。
急速な市場成長を見せたソーシャルレンディング市場ですが、事業者はまだ社員数からみれば小規模な企業が多いのが実態です。
また社員数を増やしても、それがそのまま売上に直結する業界でもなく、少数精鋭で運営するのがファンド運営会社の鉄則です。
よって市場の成長はあっても、当面は少数精鋭の小規模の企業でソーシャルレンディング事業者は運営されるものと予想されます。
ソーシャルレンディング投資に際しては、事業者のリスクの把握は必要不可欠となります。
ソーシャルレンディング事業者=中小企業ばかりとイメージされることもあります。しかしながら事業者の企業規模が小さいのは上記事情があるため、それを踏まえた上で信頼性や事業者リスクを考える必要があります。
上記がソーシャルレンディング事業者の理解の一助となれば幸いです。
【各サービスの概要はこちら】
・どこがおすすめ?日本のソーシャルレンディング事業者・会社の一覧をまとめてみた