連続起業家として知られる家入一真氏が社長を務める「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」。
クラウドファンディング事業を展開する企業として広く認識されていますが、2016年11月にソーシャルレンディング事業への参入を発表しました。
一方、他のソーシャルレンディング事業者のように、発表後すぐにソーシャルレンディングファンドを組成するには至らず、2017年7月28日に「CAMPFIREレンディング」のWebサイトを公開しました。
今回は「CAMPFIREレンディング」の詳細について、解説いたします。
目次
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)がソーシャルレンディングに参加した経緯
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)は2011年から購入型クラウドファンディングサービスを開始し、国内でも屈指のクラウドファンディング事業者として、サービスリリースから流通金額37億円を超える金額を集めています。(2017年11月末時点)
購入型クラウドファンディングは今や多くの人にも認知されているサービスとなっており、個人が立ち上げたものを中心として、バラエティに富んだプロジェクトがみられます。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)が購入型クラウドファンディングで資金調達をするプロジェクトの主流は比較的個人ユース、少額なものが多いといえるでしょう。
しかし、法人をはじめとして、より大きな資金調達もありました。
そこで資金調達の選択肢の幅を広げていくため、購入型クラウドファンディングという形だけではなく、より投資家の注目を集められるソーシャルレンディング事業への参入を表明しました。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)のソーシャルレンディング事業のフェーズ
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)のソーシャルレンディングへの参入が発表されたのは、2016年11月の日経新聞でした。※1
これに合わせたような形でTHE BRIDGEのインタビュー記事が公開され、CAMPFIREレンディングへの参入経緯などが語られています。
CAMPFIREレンディングがWebサイトを公開したのは7月末。9ヶ月ほどの時間をソーシャルレンディングサイトの公開に要したことになります。
ソーシャルレンディング事業を行うには購入型クラウドファンディングと異なり、第二種金融商品取引業登録及び貸金業登録を行う必要があります。
ソーシャルレンディング会社の場合は、もともとソーシャルレンディング事業を運営する目的で設立された会社が多いので、事業の開始と告知が同時であることが通常でした。
しかし、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)の場合は、既存の会社の新規事業への参入ということで、まず事業開始を発表しています。
すでに「CAMPFIREレンディング」上で融資を受けたい事業者の募集を行っています。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)はどのようなソーシャルレンディング事業を行うのか
では気になるCAMPFIREレンディングの事業内容ですが、同社のこれまで発表してきた内容によれば、「不動産を担保に企業の運営資金や事業を展開するための資金を募集する」といった内容のソーシャルレンディングでよく見られる内容とはやや異なるようです。
CAMPFIREレンディングのスキームとして、2017年10月初旬までに発表されているのは以下のようになっています。
- クラウドファンディングのプラットフォームである「CAMPFIRE」に自身のプロジェクトを掲載し、目標金額を自由に設定。そして目標金額を集めることが、CAMPFIREレンディングを利用する条件。
- 「CAMPFIRE レンディング」サイト(URL:https://lending.camp-fire.jp)から融資を申し込み、審査をCAMPFIREレンディングが行う。審査を通過すれば、事業を行う法人に対し「CAMPFIREレンディング」から連絡。
- CAMPFIREレンディング金融スタッフと事業を展開する法人が共同で支払いプランを決定。融資を受ける法人のオーナーは必要書類(決算書、印鑑証明書等)を用意。
- CAMPFIREレンディングから入金。審査承認から最短で翌営業日後には入金。
融資を受けたい事業者はまず「CAMPFIRE」上での投資家からの支援を受けられるように、尽力しなければいけません。CAMPFIRE上での募集額は任意となりますが、CAMPFIREレンディングで融資を受けられる金額は最大100万円です。
また貸付の条件としてCAMPFIREレンディングが事業を行う法人に設定している項目は以下です。
【貸付先の適用条件】
- CAMPFIREに会員登録をしており、法人格を所有している実行者である
- CAMPFIREに掲載し目標金額を集めることに成功している
- 2017年7月28日以降にCAMPFIREで「All-or Nothing」か「All-In」方式で資金調達に成功している
【貸付利率】
- 10万円未満は上限金利が年20.00%、
- 10万円~100万円未満の上限金利は年18.00%
- 100万円以上の場合の上限金利は年15.00%
【返済方式】
一括返済方式及び元利均等返済方式
【返済期間と返済回数】
1ヶ月から3ヶ月 回数は1回〜3回
【担保の有無】
無し
100万円以上の融資も想定されていますが、現状では融資の上限金額は100万円となっています。
返済回数や期間は長くありませんが、担保無しでの融資を受けられることが、事業を展開したい法人などにとっては大きなメリットです。
追記:CAMPFIREレンディングの対象を個人まで拡大
サービス開始当初は対象が法人限定でしたが、2017年10月からは個人にまで対象を拡大しました。
CAMPFIREの利用者の8割を占める個人に対象を拡大、また返済回数も1回〜3回だったものを最大6回に拡大するなどで、さらに融資件数を増やすとしています。(2018年に年間融資200件が目標)
なおサービス開始からの実績としては、3ヶ月間で4つの法人に総額281万円の融資をしたとのことです、
まとめ
CAMPFIREレンディングは、一般的なソーシャルレンディングとは異なり、まずは投資家、パトロンから一定の評価を得て、そこでさらに事業用の資金の追加として、100万円を上限に融資を受けられるというものになっています。
購入型クラウドファンディングとして広くされているCAMPFIRE(キャンプファイヤー)。
CAMPFIREレンディングのようなソーシャルレンディングが増加すれば、個人間でのソーシャルレンディング融資が身近なものになるかもしれません。
今後もCAMPFIRE(キャンプファイヤー)の動向に注目したいところです。