こんにちは、ファイアフェレットです。
着実に市場規模が広がっているソーシャルレンディングですが、その利回り(年利)は他の高利回り投資商品とくらべて本当に高いのでしょうか。
今回はソーシャルレンディングと他の投資商品を、利回りや特徴などの観点から比較してみます。
目次
ソーシャルレンディングの利回りは高い
高利回りとされる投資商品は、世の中に多数ありますが、それらと比較してソーシャルレンディングの利回り水準は本当に高いのでしょうか。
調査したところ、ソーシャルレンディングと並べて高利回り投資商品情報を掲載したマネー雑誌を2誌見つけられました。
- 1. 日経マネー 2016年5月号 特集「マイナス金利でも稼ぐ!得する!高利回り 利殖術」
- 2. ダイヤモンドQ 2015年11月号特集「株安でも勝てる!10%投資の世界」
掲載された各投資商品の利回りを表にまとめました。これらはいずれもインカムゲイン(配当・分配)の利回りです。
日経マネーでは4~14%、ダイヤモンドQでは5~15%とソーシャルレンディングのリターンを見積もっています。
なお、フィンテナの調査では2016年下記におけるソーシャルレンディング業界全体の平均利回りは8.1%です。
ソーシャルレンディングよりも利回りが高い投資商品はライフセトルメント(生保契約投資)とヘッジファンドだけです。
ライフセトルメント、ヘッジファンドを国内で購入する場合、多くが私募ファンドであり、最低投資額は数百万円からです。
一般的な個人投資家が手軽に購入できる投資商品としてはソーシャルレンディングの利回りが最も高い数値となっています。
【ソーシャルレンディングの利回り計算について理解したい方はこちら】
・ソーシャルレンディングの利回りについて理解しよう!平均や計算式まで
次に利回り以外の特性を、リスクを中心に比較していきます。
ソーシャルレンディングは価格変動リスクが小さい稀有な投資商品
投資商品の多くには市場の動向や為替などによる価格変動リスクがあります。
社債、国内債権は満期保有を前提として「なし」と評価しましたが、他の投資商品はいずれも同リスクがあります。
ソーシャルレンディングは元本の価格変動が原則無い投資商品です。
なお、中には海外へ投資する案件で、為替リスクがある点はご留意ください。
ソーシャルレンディングの流動性リスクは中程度か
投資商品の換金の難しさ(流動性リスク)を考えてみます。
一般的な投資商品は市場での売却や途中解約が可能なことが多いでしょう。こうした意味で株式やFXは流動性が高い商品です。
それに対してソーシャルレンディングは原則、途中解約や売却が不可能です。流動性リスクは高いと言えるでしょう。
しかしソーシャルレンディングのファンドには運用期間が短いものも多くみられます。このことから私はソーシャルレンディングの流動性リスクは中程度と見積もりました。
これはソーシャルレンディングの投資案件が順調に償還されることが前提です。遅延、デフォルトが生じた場合は運営会社が回収を行うまで、投資資金が長時間拘束される可能性がある点には注意しましょう。
ランドバンキングも含めた不動産投資は不動産の売却がすぐには不可能な場合が多く、ソーシャルレンディングと比較しても流動性リスクは大きいと考えます。
ソーシャルレンディングには信用リスクがある
投資先、もしくは投資商品を取り扱う業者の破綻により予想される損失が信用リスクです。
ソーシャルレンディングも含め、多くの投資商品に存在するリスクです。
投資先、もしくは投資商品を取り扱う対象が民間企業である場合、信用リスクは「あり」としています。
不動産投資は投資家本人が不動産を所有することを前提として、円預金はペイオフの範囲で、国内債券は日本・地方自治体のデフォルトの可能性が小さいことが前提であると考え、信用リスクを「なし」としています。
ソーシャルレンディング以外の投資商品を3つに分類
上記表に掲載されたソーシャルレンディング以外の投資商品を大きく3つに分けて考察します。私募ファンドであることが多いラップファンド、ヘッジファンド、ランドバンキングは除きます。
【ハイリスク・ハイリターン】FX、投資信託、国内外株式、国内外REIT、ラップファンド
これらはキャピタルゲイン(値上がり益)を狙うことが多い投資商品です。その場合の価格変動リスクが大きいことには注意が必要です。
こうした価格変動リスクが大きい投資商品において個人投資家は、情報量や投資に充てる時間の少なさから、機関投資家に比べて不利になりがちです。
正確な統計はありませんが、株式投資では個人投資家の9割は損をしているとも言われ、流動性リスクの低さを活かしきれていないのが実情ではないでしょうか。
FX、株式はレバレッジをかけられることもあり、キャピタルゲインによる大きなリターンが見込めます。一般的な個人投資家が短期間で一財産を築くにはこのアセットクラスへの投資しかないという現実もあります。
全般的にハイリターンハイリスクの投資といってもよいでしょう。
【ミドルスク・ミドルリターン】国内外不動産投資
不動産投資は価格変動リスクが小さい反面、流動性リスクが高いことには注意が必要です。
不動産投資の最大の難点は非常に手間がかかることです。
個人の不動産投資においては「賃貸住宅の運営」が一般的です。不動産の勉強、目利きと購入、管理、賃貸住宅居住者との折衝などへの労力を要します。
最低投資額が数千万円からと大きく、初心者が少額でお試し投資のようなことができないことも難点です。
しかし例えば、格安の不動産を購入してリフォームするなどの「手間をかける」ことにより10%以上の利回りも期待できます。
不動産投資は銀行からの融資を利用することによりレバレッジをかけられる利点もあります。
不動産投資に割ける時間とお金がある人ならば、ミドルリターン・ミドルリスクの投資といってもよいでしょう。
【ローリスク・ローリターン】国内外債権・社債・外貨預金・高利回り円預金
信用リスクはあるものの、高利回りを狙って格付けの低い国や会社の債権へ投資しない限りは安全性の高い投資といえます。流動性リスクが低いことも利点です。
しかし、海外債権、外貨預金は為替による価格変動リスクがある点に注意が必要です。
安全性を重要視した資産運用では利回りは0~3%というのが現実的です。ローリスク・ローリターンの投資といえるでしょう。
以上を受け、投資商品のリスク・リターンを分類しました。
- 【ハイリスク・ハイリターン】株、FX、投資信託
- 【ミドルリスク・ミドルリターン】不動産投資
- 【ローリスク・ローリターン】債権、預金
ソーシャルレンディングの特性は【ローリスク・ローリターン】債権、預金に近いです。
しかし私は【ミドルリスク・ミドルリターン】不動産投資と並ぶ、新しい「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資であると定義したいです。
一般的な個人投資家でも少額から投資できることがその理由です。
なぜソーシャルレンディングは新しく誕生したミドルリスク・ミドルリターン投資なのか
流動性、信用リスクは債権・預金よりは高いものの、利回りが平均8%と高く、中には10%以上の利回りが得られる案件もあります。
一般的な個人投資家が購入できる投資商品としては、非常に高利回りであるのは先述の通りです。
また、過去3年間のソーシャルレンディングにおける貸し倒れ率は1.47%です。※2018年1月25日現在。
この数値はかなら獅子も高くなく、キャピタルゲイン狙いの投資商品で損失を被る投資家が多い中、これは魅力的といえるでしょう。
従来、ミドルリスク・ミドルリターンの投資と言われていたのは不動産投資でした。
しかし不動産投資は最低投資額が大きく、手間と時間がかかることから、一握りの個人投資家しか行えない投資手法でした。
ネットがもたらした情報化社会がソーシャルレンディングという個人投資家が少額で時間をかけずに行える投資商品を誕生させたと言ってよいでしょう。
株・FXなどのキャピタルゲインで個人投資家が富裕層になることはもちろんあります。しかしそれは少数であることも事実です。
実際には損する人が多く、安定的に資産を増やすのは難しいという現実があります。
ソーシャルレンディングは特別な才能が無くとも一般的な投資家が少額で行え、時間をかけなくても平均8%の安定したインカムゲインが狙える、ミドルリターン・ミドルリスクの投資です。
着実に資産を増やす投資商品として、ソーシャルレンディングをポートフォリオに組み込んではいかがでしょうか。