こんにちは、ファイアフェレットです。
投資におけるアロケーション(配分)とは、資産形成の展望やリスクに応じて、資産を適当な財産の形や投資対象に割り当てることです。
アロケーションの考え方はソーシャルレンディング投資においても大切です。
今回はソーシャルレンディング投資を行うにあたり、アロケーションの考え方を私の主観と客観的なデータからご紹介します。
目次
新しい時代に合わせた資産アロケーションを
かつての資産アロケーション(アセットアロケーション)には、 以下のように「資産(財産)三分法」という方法がありました。
- 1.現金(預金):流動性と安全性が高く、収益性が低い
- 2.株式:収益性が高いが流動性がやや低く、安全性が低い
- 3.不動産:安全性、収益性は高めだが、流動性が低い
これら3つの資産のアロケーションにより、安全かつ安定的に財産を増やしていくというものです。
より早く大きな資産を形成したいという願望があり、許容できるリスクが高い場合は、リスク資産(株式・不動産など)への配分を高めるというのが基本でした。
ただし上記の考え方が有効なのは、以下のような時代であることが前提です。
- 1.預金:それなりに利回りが高く、ペイオフの上限がなかった
- 2.株式、不動産:基本的に価格は右肩上がりだった
マイナス金利政策下、不動産価格の展望は不明、株式は安定的でない現代では上記が最適とは限りません。
新たな投資商品が続々と登場しつつある現代では、他のアロケーション術を考えてもよいのではないでしょうか。
今回はアロケーションの対象としてソーシャルレンディングについて解説します。
ソーシャルレンディングのアロケーションに対する意見
アロケーションとしてソーシャルレンディングを検討する際に先進的な意見と保守的な意見をご紹介します。
まずはソーシャルレンディングに対する保守的な意見をご紹介しましょう。
これはある運営会社が開催したセミナーでの話ですが、「ソーシャルレンディングはあくまでリスク資産であり、最大でも資産の10%程度が良い」と講師の方が話すことがあります。
これは顧客の財産アロケーションに配慮した良識のある発言でしょう。
ソーシャルレンディングに対する先鋭的な発言でありながら弱気な発言は、私が述べます。
- 超低金利のため、銀行に資産を預けても大きく増やすことは難しい
- 株式・投資信託に投資しても機関投資家の影響をうけやすい
- 不動産、副業に手を出しても、知見や才能がなければうまくいかない可能性がある
このように捉える私は、ソーシャルレンディングでそれなりの資産を投資してもよいのではないかと考えます。
実際に私は資産の半分以上をソーシャルレンディングで運用しています。
資産の何割までをソーシャルレンディングに割り当てるかについては、自身のソーシャルレンディングに対する考え方、自分が取れるリスクを踏まえて考える必要があります。
以降、その目安について述べていきます。
ソーシャルレンディングへどのくらいの資産を割り振ればいいのか
各人のソーシャルレンディングへの考え方(リスク資産か比較的安全な資産か)とリスク許容度により、保有資産のうちどれほどをソーシャルレンディング投資にあてて良いのか一例を作成しています。
- 1.ソーシャルレンディングをリスク資産と考え、リスクを取れる人
- 2.ソーシャルレンディングをリスク資産と考え、リスクをとれない人
- 3.ソーシャルレンディングが比較的安全な資産と考え、リスクが取れる人
- 4.ソーシャルレンディングを比較的安全なリスクと考えるが、リスクは取れない人
ソーシャルレンディングは5~10%というインカムゲイン型の投資商品と比較すると高利回り商品です。リスクを取れる人は投資する価値は十分にあるでしょう。
それならば資産の10~40%で運用してもよいかと思います。
この場合は最大でも10%程度が良いかと思います。
私はここに属しています。
ソーシャルレンディングのリスクが比較的安全な資産と考え、リスクも取れるのならば資産の半分以上を運用して良いのではないでしょうか。
いくら安全でも銀行預金のように利回りがほぼゼロでは、50%以上の資産を預けても資産を増やすことが難しいでしょう。
しかしソーシャルレンディングの利回りを考慮すると投資の価値はあると考えます。
ソーシャルレンディングが安全な資産と考える人でも、リスクが取れない人は最大でも資産の30%までに抑えた方がよいでしょう。
安全に思えても、ソーシャルレンディングに元本保証はありません。また、金融商品としてもまだ若いという点も踏まえるべきでしょう。
上記の4パターンはあくまで目安とお考えください。
皆様のソーシャルレンディングにおけるアロケーションの指標となれば幸いです。
私のソーシャルレンディング運営会社、案件ごとのアロケーション
アロケーションを決めたら、どのように各ソーシャルレンディング事業者やその案件に割り振るべきなのかも検討すべきです。
まず、私のソーシャルレンディングにおけるアロケーション状況をご紹介します。現状ソーシャルレンディングにて約2300万円を運用しています(2017年8月時点)。
1.事業者のアロケーション
全体の1/3を、利回りが8%以上の事業者、2/3を利回りが5~8%の事業者で運用しています。
基本的に利回りが高い事業者ほどリスクを高くとっていると考えています。また、その「高い利回り」の水準を8%に設定しています。
そしてそのリスクが高い事業者への投資は、低い事業者への投資の半額に設定しているのです。
これにより、過渡なリスクを取らないように心がけています。
2.案件のアロケーション
1案件の投資額は最大50万円までにしています。
また、新たに投資する際は、その事業者で投資している案件を見返し、案件の融資先がかぶらないようにしています。
“卵をひとつのカゴに盛るな“の格言どおりに、万が一の事態が起きた時のダメージを抑えるようにしています。
上記はあくまで一例です。
しかし投資先はできる限り多様にして、「分散投資」を心がけるべきです。
資産をどの事業者にアロケーションするかは人によって様々な考え方があるでしょう。
私よりはるかに大きな金額を運用する人は1案件にもっと投資してもよいかもしれません。
しかし、以下のような理由で多様性を欠く運用をするのは避けましょう
- 管理が面倒くさい、
- 利回りの高い事業者で高い利回りの案件に集中させる
【分散投資について詳しく知りたい方はこちら】
・ソーシャルレンディング分散投資の方法とコツ
アロケーション・分散投資の大切さ
最後に計算を用いて、資産アロケーション・分散投資の大切さについて説明します。
分散投資を適切に行えば、あなたが投資市場から撤退しなければいけないような事態に陥る可能性をぐっと低めることができます。
例えば、とある投資案件10件にあなたが投資できるとします(ソーシャルレンディングとは限りません)。
その際、下記の3条件があったとすると、どのように投資しますか?
- 1. いずれの案件も50%の確率で全額を失う
- 2. 同じく50%の確率で2倍に増やすことができる
- 3. あなたの投資資産は1千万円で、その半分を失うと投資市場からの撤退を強いられる
以降、好ましいアロケーション・分散投資を考えます。
以下の2パターンで上記10案件に対して投資を行う場合を比較します。
パターンA
複数の案件を管理するのは面倒なので、1千万円全部を1案件だけに投資。分散投資を考慮しない投資です。
パターンBの投資結果
10案件に100万円ずつ投資。分散投資を考慮した投資です。
パターンAの投資結果
50%の確率で1千万円の儲けか、同額の損失の2択です。天国か地獄しかありません。
50%の確率で500万円以上を失い、投資市場から撤退することになります。
パターンBの投資結果
案件1から案件10までの成功・不成功の組み合わせは1024通りあるのですが、途中の計算を省いて結果だけを示すと下記の図表の通りになります。
結果を簡単に述べると、200~1000万円の利益を得る確率も損失を被る確率もともに37.7%です。プラマイゼロの確率が24.6%です。
しかし、上記の結果から分かる最も重要なことは、「パターンBでは500万円以上の損失により投資市場から撤退しなければいけない確率はわずか5.5%」ということです。
しっかり分散投資を踏まえた投資を行えば、多少の損失を被っても再挑戦を続けられる可能性が高くなるのです。
投資を続ければ、知見を得ることができ、長い目で見れば投資を有利に行うことができるでしょう。
なお、同条件で上記の分散先を20に分け、50万円ずつ投資するとします。
この場合500万円以上を失い投資市場から撤退する可能性は2.07%となります。
分散投資は重要ですが、あまり多くに分散投資しても労力が増すだけでそれほど効果が望めないことには、留意する必要があります。
まとめ
ソーシャルレンディングにおけるアロケーションは、「許容できるリスク」や「ソーシャルレンディングをどの程度のリスクをと捉えるか」によって各人ごとに大きく異なるでしょう。
ソーシャルレンディングをリスクが高いと考えるならば、資産におけるアロケーションを減らしましょう。
反対にあなたが若い、余裕資産がある、などの理由でリスクを取れるならば配分を高めても良いかもしれません。
しかし、分散投資には気を配りましょう。
可能な限り多くの投資先に分散投資すれば致命的な損失を被りにくいことは、数字が証明しています。