ソーシャルレンディング投資では、多くの場合、毎月分配金を得られます。(事業者によって毎月受け取れない場合もあります)
この分配金を積み重ねていくことで、毎月数万円という不労所得を得ることが可能になります。今回はこの毎月数万円を得るには、どれくらいの利回りや投資金額が必要かをシミュレーションしてみました。
目次
ソーシャルレンディングで毎月数万円得るための準備
ソーシャルレンディングの分配金を毎月数万円を得るためには、事前の準備が大切です。
この準備次第で目標金額を達成できるかどうかが変わってくる可能性もあるため、しっかりと確認しておきましょう。
毎月の目標金額から利回りや投資金額を逆算
1万円なのか10万円なのかなど、目標金額によって運用額や運用方法は異なります。まずは目標金額を決め、そこから必要な利回りや投資金額を逆算をしていきましょう。
逆算していく際に参考となるソーシャルレンディング業界の平均利回りは約8.4%となっているため、この数値を基準にするとよいでしょう。※1
各ファンドの運用期間や税金といった数字も揃える必要もありますが、単純化することは難しいといえます。
しかしながら、毎月これくらいの余裕資金を作っておくべきといった目安をつけることは可能です。
また今後は平均利回りが低くなっていく可能性もあります。運用期間も各案件ごとに違うため、常に計算する数字は変わっていくことには注意が必要です。
分散投資でリスクを低くする
ソーシャルレンディングで得られる利益は、投資金額と利回りによりある程度計算できます。
より大きな利益を期待する場合は投資金額を増やす必要があります。投資できる金額を増やせないならば、利回りの高いファンドに投資をして調整することもあるでしょう。
しかし、貸し倒れなどのリスクもあります。このリスクを抑えるには様々な方法がありますが、有効なものの一つが分散投資です。
高い利回りだからといって、集中投資をすることは避け、事業者やテーマに応じて分散投資をしながら利回りを維持できるような方法を取るほうがよいでしょう。
【分散投資について詳しく知りたい方はこちら】
・ソーシャルレンディング分散投資の方法とコツ
新しいファンドを見逃さない
ソーシャルレンディング市場は活況を呈しており、新規参入のソーシャルレンディング事業者のファンドには、比較的高い利回りのものが多い傾向があります。
またソーシャルレンディング事業者によっては、そのサービスの累計応募金額が一定金額(10億円や100億円)を超えたことに対するキャンペーンファンドも見られます。
こうしたファンドはすぐに募集金額が埋まってしまうため、メールマガジンに登録して通知を見逃さないようにしておく必要があります。
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ソーシャルレンディングの毎月分配金のシミュレーション
シミュレーションの条件は、以下のように設定します。
- 利回り:8.4% ※1
- ファンド運用期間:12ヵ月
- 1つのファンドあたりの投資金額:10万円
今回のシミュレーションとしては、上記の条件でどれくらいのファンド数へ投資すれば、毎月数万円の分配金を得られるかを計算していきます。
また分配金は税金が引かれた状態で入金されるため、税率も考慮して計算します。所得税20%と復興特別所得税0.42%を合わせた、20.42%を使用します。ソーシャルレンディングの税金について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
・ソーシャルレンディングの確定申告方法。税金計算の仕方や確定申告の必要可否も!
毎月1万円の分配金
1つのファンドあたりの合計分配金は、以下のように計算されます(貸し倒れを考慮せず)。
100,000円×8.4%=8,400円……1
つまり12ヵ月で合計8,400円の分配金を受け取れることになります。
ただ毎月の分配金で計算する必要があるため、1ヵ月あたりの分配金にすると、以下のようになります。
8,400円÷12ヵ月=700円……2
税金20.42%を考慮すると、以下の値になります。
700円-(700円×20.42%)=557円(小数点以下切り上げ)……3
毎月1万円の目標金額を達成するには、以下のファンド数に投資する必要があります。
10,000円÷557円=18個(小数点以下切り上げ)……4
よって、毎月1万円の分配金を受け取るには、前提条件のもとで18個のファンドに投資している必要があることがわかります。この時点で18個のファンドに10万円を投資していることになるので、合計運用金額は180万円です。
毎月3万円の分配金
では毎月3万円の分配金を得るにはどのくらいのファンドに投資すれば良いのでしょうか。
以降、毎月1万円の分配金と同様の計算をしていきます。
1、2、3の計算は変わらないため、4の毎月の金額を変更して計算すると、
30,000円÷557円=54個(小数点以下切り上げ)……5
よって、毎月3万円の分配金を受け取るには、前提条件のもとで54個のファンドに投資している必要があることがわかります。
54個のファンドに10万円を投資していることになるので、合計540万円を運用していることになります。
54個のファンドに投資することは現実的には大変で、管理の手間もかかるでしょう。実際には1ファンドあたりの投資金額を増やすことも考えられます。
毎月5万円の分配金
後は同様に4の毎月の金額を変更して計算すると、
50,000円÷557円=90個(小数点以下切り上げ)……6
よって、毎月5万円の分配金を受け取るには、前提条件のもとで90個のファンドに投資している必要があることがわかります。
90個のファンドに10万円を投資していることになるので、合計900万円を運用していることになります。
毎月10万円の分配金
毎月10万円の分配金を目標金額にする場合は、
100,000円÷557円=180個(小数点以下切り上げ)……7
よって、毎月10万円の分配金を受け取るには、前提条件のもとで180個のファンドに投資している必要があることがわかります。
180個のファンドに10万円を投資していることになるので、合計1,800万円を運用していることになります。
各ファンドで運用期間や利回りは違うので、このシミュレーションはあくまで一例ではありますが、数多くのファンドに投資をするか、1ファンドあたりの運用金額必要があることがわかります。
ファンドが多くなりすぎると管理の手間が大変になり、分散効果も薄れてしまいます。また、分散投資にも様々な観点があります。目標金額に応じて各ファンドの管理もしっかりとしていきましょう。
ソーシャルレンディングの分配金について
毎月分配金が出ない場合もある
多くのソーシャルレンディング事業者では、元本一括返済という分配方法を採用しています。これは毎月分配金が支払われ、償還日に元本と最後の分配金がまとめて返されるものです。
毎月1万円の不労所得などを目標にする場合は、この元本一括返済を採用しているソーシャルレンディング事業者・ファンドを選んで投資していくことが必要です。
元本一括返済以外にも、元利均等返済と満期一括返済という分配方法があります。これらの分配方法の場合、少しずつ毎月分配金が減ったり、毎月分配金がなかったりするため、分配方法をしっかりと確認しましょう。
【分配金について詳しく知りたい方はこちら】
・【ソーシャルレンディングの分配方法】元利均等返済、元本一括返済、満期一括返済の違いとは?
早期償還で予定していた分配金が得られない
計画よりスムーズに事業が終わったり、もっと金利が低い貸し手が見つかったなどの理由で、ファンドが早期償還という形で運用が終了する場合があります。
この場合、予定されていた配当金を満額もらうことができない可能性があります。
例えば運用期間1年で毎月2,000円程度、合計2万4,000円程度の配当金がもらえたはずが、運用期間半年で早期償還となり、配当金が1万2,000円程度しかもらえなくなるといったケースも想定されます。
そうなると、また新しいファンドを見つけて再投資しないと、翌月の配当金の予定がずれることになります。もちろんデフォルトにならなかったという点では良いことなので、計画に余裕を持って投資を進めていけるようにしていきましょう。
【早期償還について詳しく知りたい方はこちら】
・繰上返済や早期償還って何?ソーシャルレンディング投資に重要な3つのデメリット
まとめ
毎月の分配金は目標金額が高くなればなるほど、数多くのファンドに投資する必要がありそうです。
ただ1つのファンドあたりの投資金額を増やしたり、もっと利回りの高いファンドに絞るなどの工夫により、投資するファンド数は減らせるでしょう。
大切なのは、より多くのファンドに投資することではなく、様々な観点からリスクを抑えることです。余裕資金や目標達成期間に合わせて無理のないような投資を意識しましょう。
※1:フィンテナ調べ(2018年3月の平均利回り)