P2Pレンディングとは?ピアツーピアレンディングは日本でも実現可能なのか

P2Pレンディングとは?ピアツーピアレンディングは日本でも実現可能なのか

P2Pレンディングとはどのようなサービスなのでしょうか。
そして、日本でも認知度が高まってきた「ソーシャルレンディング」とはどういった違いがあるのでしょうか。

今回の記事では欧米ではよく見られるP2Pレンディング(ピアツーピアレンディング)の仕組みを解説し、国内外における状況を解説します。

P2Pレンディングとは

P2Pレンディング(ピアツーピアレンディング)とは、Peer to Peer レンディングの略語で、インターネットを通じ資金の貸し手と資金の借り手をマッチングする仕組みのことを言います。
主にインターネットの発達とともに欧米で発達した個人間金融を指しますが、簡単に言うと「インターネットを介した個人間でのお金の貸し借り」と表現することができます。

通常、融資とは借りたお金には金利をつけて返済するものですが、P2Pレンディングを用いることで、資金の借り手はインターネットを介して通常の金利より安く手軽にお金を借りられます。
資金の貸し手はインターネットを介することで、個人であっても手軽に金利収入を得ることができます。

このようにP2PレンディングはWin-Winな資金のマッチングモデルとなっています。

例えば欧州のユーロ圏では、同じユーロ(EUR:€)という通貨を利用しながら、各国により金利が異なっています。
そのような環境下、P2Pレンディングを利用することで、高金利国の個人が低金利で資金の借り入れができる仕組みとしても利用されます。

ソーシャルレンディングとP2Pの違い

「インターネットを経由して資金の借り入れ・貸し付けを行う」という面においては、ソーシャルレディングとP2Pレンディングは同じ位置付けです。

しかし日本におけるソーシャルレンディングのモデルを踏まえて両者を比べると異なった特徴が見えてきます。

P2Pレンディングは純粋に個人間での資金の貸し借りである反面、ソーシャルレンディングは事業者が資金の受け手と借り手との間に入り、ファンド(匿名組合)の組成を行った上で融資を行います。

P2Pレンディングの場合、事業者は単なるサイト運営者の位置付けとなるのに対し、ソーシャルレンディングの場合は、事業者は投資家の資金を預かるファンド運営者としての性格が強くなります。

日本のP2Pレンディング

日本では2007年にmaneo(maneoマーケット)が欧米と同様のP2Pレンディングを開始しています。

しかしながら当時の日本では、サービスの利用が伸びず、多くの延滞も発生したため、2011年にmaneoは個人向けサービスから撤退しています。

規制

日本において、融資型クラウドファンディングの議論を行う際にテーマとしてよく取り上げられるのが貸金業法の問題です。
融資型クラウドファンディングを行う事業者は貸金業法上の免許が必要となります。

更に欧米と同じモデルでP2Pレンディングを行いたい場合、資金の出し手となる個人についても貸金業法上の登録を行う必要が出てきます。

また貸金業法では過去の歴史的経緯もあり債務者保護が優先されており、貸主を特定できる情報を開示してのファンド募集は認められていません。
そして1つのファンドから単一の貸付を行うことも認められていません。

実現性

日本では既にカードローン、消費者金融を始めとしたノンバンクの個人向けローンの仕組みが非常に整っている状況です。

欧米でのP2Pレンディングは、個人向けローンの新サービスへのニーズがサービスの伸長を後押した面があります。

よって日本で欧米のモデルをそのまま展開するには、既存ノンバンクとの競合が避けられないでしょう。
過去積み上げた与信及び回収ノウハウを有するノンバンクに対し、新興のP2Pレンディング事業者が対抗するのは簡単ではないと考えられます。

海外のP2Pレンディング

海外のP2Pレンディングの代表例としては、米国ニューヨーク証券取引所に上場しているレンディングクラブを取り上げることができます。

同社はP2Pレンディングの世界最大手の存在で、主な資金用途は個人や中小企業のローンの借り換えです。
資金の貸し手は当初は個人が中心でしたが、事業拡大とともに現在は機関投資家も参入するまでになっています。

P2Pレンディング発展の背景

P2Pレンディングの発展には、インターネットの普及が寄与しています。
インターネットの存在が無ければ、知らない第三者と第三者で資金のやり取りを行うインフラは存在しえません。

更に人口が増加している米国や、ユーロ加盟国が増え域内人口が増加したユーロ圏内において、個人の旺盛な資金需要も見逃すことができません。
また、「個人が適正な金利で資金を借りることができるサービスが少ない」状況にあった米国の個人ローン市場もP2Pレンディング市場発展に大きな影響を与えていると考えられます。

日本における今後の発展

現状、日本ではP2Pレンディングサービスは存在していません。
各ノンバンクは依然として個人ローン部門を収益力の高い分野と位置付け注力しており、P2Pレンディング事業者が再度出現の場合も、サービス浸透には相当の時間がかかると予想されます。

ただし日本の個人向けローンは世界基準で見て金利が高く、金融庁もカードローンの金利の高さを問題視しており、今後日本においてもP2Pレンディング市場成立の可能性は「ある」とも言えます。

まとめ

欧米と日本では大きく異なる形で発展したソーシャルレンディングですが、今後、欧米型のP2Pレンディングモデルのサービスは出現するのか、注目したいところです。