
こんにちは、ファイアフェレットです。
ソーシャルレンディングで投資を行っている方は各運営会社の「管理画面(マイページ)」で、運用中の資産、ファンド、そして収益リターンを確認しているでしょう。
しかし、各社管理画面は異なっており、使いやすさにも差があります。
本記事はソーシャルレンディング各社における管理画面の使いやすさ、表示情報の有益さにより運営会社を比較します。
どこの管理画面が一番使いやすいのか?私の意見で大胆に切り込みます。
資産・運用ファンド・収益の3つの管理画面に注目
管理画面は資産管理、ファンド管理画面、異動明細、投資家情報更新など様々な機能がありますが、当記事では最も投資家の使い勝手に直結し、関心が高いであろう以下の3画面に注目して、比較を行いたいと思います。
- A:資産管理画面
- B:運用ファンド管理画面
- C:収益管理画面
自分の運用資産、運用中のファンドの状態、そして収益の把握は投資家として、最低限知っておきたいものです。
それらを「容易に把握できる管理画面を提供してくれるかどうか」は、そのソーシャルレンディング事業者が投資家目線を持っているかどうかの、判断材料のひとつとなるのではないでしょうか。
資産管理画面
資産管理画面はそのサービスでいくらの資産を運用しているのかを確認する画面です。
案件に投資している額、現金としてデポジットされている額、投資可能額、引出可能額など様々な状態にある資産をいかにわかりやすく表示しているかという観点で評価します。
maneo系とラッキーバンクの資産管理画面
maneoファミリーの資産管理画面はどれもよく似ているのでmaneoを例にして説明します。myページの「口座画面」が資産管理画面です。
※maneoファミリー:maneo、LCレンディング、ガイアファンディング、クラウドリース、スマートレンド、アメリカンファンディング、グリーンインフラレンディング、さくらソーシャルレンディングレンディング、キャシュフローファイナンス、アップルバンク

このページには5つの基本情報が表示されています。
- 1.貸出元本金額:運用中の金額
- 2.口座残高:口座にある現金
- 3.投資申込中金額:口座残高のうち、ファンドに申込中の金額
- 4.払戻可能金額:口座残高のうち、現在銀行に払い戻し可能な金額
- 5.新規投資可能額:口座残高のうち、新規に投資可能な額を指し、1万円単位で表示されます

maneoファミリーの中でLCレンディングとガイアファンディングは上記基本情報の他に、「分配予定額」の名目で、次回分配日に口座に分配される金額(配当+元本)が表示されています。

また、maneoファミリーの資産管理画面で、maneo、LCレンディング、ガイアファンディング以外のサービスには「払戻依頼中金額」の名目で、口座残高のうち、投資家の口座へいくらの払い戻し手続き中の金額があるかが表示されています(口座情報はクラウドリースのもの)。

ラッキーバンクもmaneoファミリーとほぼ同様の資産管理画面を採用しています。
小さな差異はありますが、シンプルで見やすい画面をmaneoファミリーとラッキーバンクは採用しています。
足りない部分としては、総額いくらの資産をソーシャルレンディング事業者に預けているのかが一目でわからないことです。
クラウドバンクとAQUSHの資産管理画面
クラウドバンクとAQUSHはよく似た資産管理画面を採用しています。


クラウドバンクは「資産状況」、AQUSHはアカウントサマリーという画面がが資産管理画面になっています。
クラウドバンクは「総資産」、AQUSHは「ポートフォリオ合計額」で運用会社に預けている総資産額がすぐに把握できること、またその推移がチャートで直感的に理解できます。
こうした点はmaneoファミリーよりも投資家に親切な管理画面といえるでしょう。
もちろんmaneoファミリーと同様、運用中の金額、口座にある現金、ファンドに申込中の金額、払戻が可能な額などは一目でわかるようになっています。
その他のサービスの資産管理画面
その他の資産管理画面については、駆け足で説明します。
・SBIソーシャルレンディング
SBIソーシャルレンディングの資産管理画面
SBIソーシャルレンディングの資産管理画面は「口座情報」で見ることができます。
口座にある現金は「口座残高」、「振替・出金可能額」運用中の金額は最新の日付の「運用中元本残高」で見ることができます。情報が少なく、また見づらいことから、あまり投資家に親切とはいえない画面となっています。
・クラウドクレジット
クラウドクレジットの資産管理画面
クラウドクレジットの資産管理画面はマイページの「口座情報」です。
クラウドクレジットのユニークな点は、投資家が追加投資可能な額が「追加投資可能額」として表示されることです。この金額以上の投資を行うことは出来ません。この額は投資家のステータス(投資可能額など)から算出され、過度な投資を行ってしまうことから、投資家を保護するようになっています。
・オーナーズブック
オーナーズブックの資産管理画面
オーナーズブックの資産管理画面は「投資口座」です。口座にある現金、投資中、投資申込中、払戻中の金額がわかりやすく表示されています。
クラウドバンク、AQUSHと同じく上記のトータルである「総資産額」が表示されているのはポイントが高いです。
スマートエクイティ
スマートエクイティの資産管理画面はマイページの「資産状況サマリー」です。スマートエクイティでは預託金制度(デポジット)を設けていないため、口座上に現金はありません。そのため表示がシンプルです。
トラストレンディング
トラストレンディングの資産管理画面は「口座残高」です。トラストレンディングも預託金制度を設けていません。運用準備中(融資される前)と運用中の額は別れて表示されています。
また、トラストレンディングのユニークな点は「配当累計額」という、これまで投資家に配当した総額が表示されていることです。
・みんなのクレジット
みんなのクレジットの管理画面
みんなのクレジットの資産管理画面はマイページの「口座情報」です。
ユニークなところは「現在までの総入金額」が表示されていることです。
TATERU FUNDINGの取引履歴
TATERU FUNDINGで運用中の金額はマイページの「取引履歴」から確認できます。TATERU FUNDINGもトラストレンディングと同様、預託金制度を設けていません。
資産管理画面で表示される表示項目をまとめると表1のようになります。
表1各社資産管理画面における、表示情報比較
同様にmaneoファミリーとラッキーバンクの資産管理画面における表示項目をまとめると表3のようになります。
表2 maneoファミリー、ラッキーバンクの資産管理画面における、表示情報比較
払戻依頼中金額、分配予定額表示の2情報のありなしの違いであり、それほど差異はないといえます。
全サービスをまとめた上で、総論を述べますと、
1.預託金制度を設けているならば、「資産総額」が表示されると情報を把握しやすい。
2.画面がスッキリしていると見やすいです。
クラウドバンク、オーナーズブック、AQUSHはその2条件をみたしており、資産管理・把握が行いやすいといえるでしょう。
逆にSBIソーシャルレンディングだけは他のサービスに比べて情報が見づらく、情報がまとまっていないため、資産管理がやりにくいと感じるでしょう。
その他のサービスですが、それなりに画面は見やすいため、それほど資産管理に問題はないと考えられます。
運用ファンド管理画面
運用ファンド管理画面は、現在そのサービスで運用中、あるいは運用を終えたファンドを見ることができる管理画面です。
一目でどのくらいのファンドを運用しているかを把握できるサマリー(概要)を用意しているサービスが少なく、各社とも改善が望まれるところです。
そんな中でも、もっとも私が優れたファンド管理画面を提供していると考える、オーナーズブックを最初にご紹介します。
オーナーズブックの管理画面は運用額、運用期間、償還完了予定日、利回り、配当予定額がスッキリとわかりやすく表示されています。
画面の一番上には現在いくつのファンドに投資しているのか、またその総額が表示されています。この情報が表示されるファンド管理画面を用意しているのはオーナーズブックだけです。
さらにファンドのステータスが「募集中」、「投資中」、「償還完了」に分けられており、任意のステータスのファンドを表示させることが可能です。現在投資中のファンドだけを参照したければ、画面上部にある「投資中」のボックスにチェックを入れることにより、簡単に行なえます。
オーナーズブックは全サービスの中でもっとも見やすいファンド管理画面を採用しているといってよいでしょう。
以下は順不同にご紹介します。
maneoのファンド管理画面
maneoファミリーはどこもだいたい同じですので、maneoの画面を例に挙げて説明します。「運用予定表」から確認が行えます。
特徴はファンドの融資先が、細かく表示されている件です。ただし運用中のファンドだけを表示する機能がありません。運用が終了したファンドも混ざって表示されます。またサマリーを掴める情報が表示されていないため、全体像がわかりづらいと感じるのが難点です。
なお、maneo系統の特徴は、その案件が正常に返済されているか、あるいは遅延、デフォルトになっているかのファンドステータスが表示されていることです。投資中のファンド名がただ羅列されているよりも、投資家が投資状況を把握しやすく、有益な情報表示といえるでしょう。
AQUSHのファンド管理画面
AQUSHのファンド管理画面は実にスッキリした画面で、運用中ファンドにおける投資中の金額、収益などがわかるようになっています。全体像もつかみやすいでしょう。
SBIソーシャルレンディングのファンド管理画面
SBIソーシャルレンディングのファンド管理画面も比較的スッキリした見やすい画面といえます。ファンドの名前が切れて区別がつきにくいこと、同じような意味の項目が重複して表示されているので、そこを改善すればもっと機能的な画面になることが期待できます。
クラウドバンクのファンド管理画面
クラウドバンクの管理画面はスッキリしていますが、得られる情報が少ないのが残念なところです。他のサービスと比較してユニークなのが、ファンド募集終了日が表示されていることです。また、初期投資額を表示せず、現在運用中の金額が表示されているところもユニークです。一部元本の償還があった場合は、上記金額は減少します。
クラウドクレジットのファンド管理画面
クラウドクレジットの管理画面は個々のファンドの詳しい情報へアクセスできるようになっています。機能的でありますが、まとまりがなく、投資家がどのようなファンドへ投資しているかの全体像が掴みにくいです。
ラッキーバンクの管理画面はスッキリしていますが、得られる情報は多くありません。maneoファミリーと同じく、ファンドが正常返済されているか、遅延、デフォルトになっているかのかのステータスが表示されます。
スマートエクイティのファンド管理画面はスッキリしていますが、得られる情報が少ないです。
トラストレンディングのファンド管理画面は専用のページが無く、「投資履歴」から確認することになります。運用中と運用終了したファンドが区別されず表示されます。得られる情報は少ないです。
みんなのクレジットにおいても専用のファンド管理画面は用意されておらず、「投資履歴」から確認することになります。運用中と運用終了したファンドが区別されず表示されます。得られる情報は少ないです。
TATERU FUNDINGにおいても専用のファンド管理画面は用意されておらず、「投資履歴」から確認することになります。得られる情報は少ないです。
ファンド管理画面をまとめると表3のようになります
表3 各社ファンド管理画面における、表示情報比較
総論としては、
1.投資している全ファンドの「サマリー」を把握する機能が、ほとんどの運営会社において採用されていない
2.それを採用しており、かつ表示情報が豊富なオーナーズブックのフォンド管理画面は、特に使いやすい
です。
ファンド管理画面は、自分のとっているリスクがどの程度なのかを、把握しやすい作りになっていることが本来望ましいです。そうした工夫が今後も行われることに期待です。
収益管理画面
収益管理画面は、収益、償還金、税金を確認する画面です。ソーシャルレンディング投資でいくらぐらいもうかっているのか?元本償還はいつあるのか?それらを簡単に把握できることは、投資戦略を立てること、また投資へのモチベーションを高めることになるでしょう。
これは、主観ですが「見やすい、分かりやすい」ものから順に紹介していきたいと思います。
A.投資中全部のファンドのサマリー、税引き後利益、利回りが表示される
クラウドバンクにおいては、全ファンドの利益、税引き後利益、税金、利回り、運用中の金額がまとめて表示され、月ごとの利益とその詳細が一目で把握できます。
ファンド全体ではなく、ひとつひとつのファンドまで収益を表示させることができます。
クラウドバンクの収益管理画面(ファンド全体の表示)
クラウドバンクの収益管理画面(ファンドごとの表示)
AQUSHも同様の作りで分かりやすいです。ただし個別のファンドごとの情報表示はできません。
AQUSHの収益管理画面
B.投資中全部のファンドのサマリーが表示される
maneoファミリーとラッキーバンクはよく似た収益管理画面を採用しており、全ファンドの月ごと収益をまとめて把握することができます。とても使いやすいですが、税引き後利益と利回りの表示はありません。
なお、maneoファミリーでは投資中のファンドひとつひとつごとの、分配画面を表示可能ですが、ラッキーバンクではできないようになっています。
maneoの収益管理画面(全体)
maneoの収益管理画面(ファンドごと)
ラッキーバンクの収益管理画面
C.サマリーが表示されず、同画面でファンドごとに分配額が表示される
投資中の全ファンドの収益をまとめて表示させる機能が無く、投資家が自分で計算する必要がある収益管理画面を採用しているのが、オーナーズブック、トラストレンディング、みんなのクレジット、SBIソーシャルレンディングです。
ただし、同じ期間の配当がまとまって表示されるので、投資中のファンドが少なければ収益計算は行いやすいです。
オーナーズブックの収益管理画面
トラストレンディングの収益管理画面
みんなのクレジットの収益管理画面
SBIソーシャルレンディングはファンド名が表示されておらず、摘要のところに表示されている「ファンドID」で照会する必要があり、すこし不便です
SBIソーシャルレンディングの収益管理画面
D.サマリーが表示されず、ファンド別個に分配額が表示される
収益を管理する画面をファンドごとに完全に分けているのが、クラウドクレジットとスマートレンドです。ファンドひとつひとつの細かい情報を確認できるのは便利ですが、もっとも投資家が把握しやすいだろう「全体でいくらの収益が得られたのか?」を把握する場合、運用しているファンドの数によってはちょっとした苦労となります。
クラウドクレジットの収益管理画面(画面はペルー小口債務者支援プロジェクト4号)
スマートエクイティの分配益情報(画面は“必要な時に“応援ローンファンド1号)
上記収益管理画面の表示機能をまとめると以下のようになります。
表4 各社収益管理画面における、表示情報比較
総論としては
投資中のファンド全体の収益を一括して表示してくれるサマリーがあると、とても便利
です。
サマリーを用意してくれるクラウドバンク、AQUSH、maneoファミリー、ラッキーバンクは収益の把握がしやすいでしょう。
<h2>まとめ</h2>
資産、運用中、収益管理画面を比較してみて、私が大事と感じたのは情報サマリー(概要)を一目で投資家が掴めるようになっているか、否かです。それにこだわり、上記3管理画面の使いやすさ、便利さを3位までランキングにしてみました。言うまでもなく私の主観です。
表5 各管理画面、使いやすさランキング
A.資産管理画面
ほとんどの運用会社が見やすい画面を提供してくれていますが、総資産が表示される3サービスを選択しました。総資産額の推移が表示されるグラフが用意されているクラウドバンクを1位、画面が洗練されているオーナーズブックを2位にしました。
AQUSHは表示される情報が多すぎてまとまりを欠くところがあるので3位しました。
B.ファンド管理画面
文句なしにオーナーズブックが1位です。ファンド全体のサマリーが表示され、税引後利益、利回りなどの表示情報が豊富です。同様にAQUSHも同様の理由ですが、全体のサマリーはないので2位としました。
3位は「該当なし」としました。画面がスッキリしているが表示情報が少なすぎ、すこしごちゃごちゃしているが、ファンドの状況説明、機能性などへの努力が認められるなど、一長一短があるなかで、3位を決定することはできませんでした。
C.収益管理画面
運用ファンドの全体の収益がわかるサマリー画面を用意してくれる会社を選択しました。
税引き後利益と利回りが表示されるということでクラウドバンクを1位、AQUSHを2位としました。クラウドバンクを1位にしたのは、ファンド個別の情報を表示できることが理由です。
maneoファミリーとラッキーバンクのサマリーのみやすさは互角ですが、やはりファンド個別の情報が表示可能ということで、maneoファミリーを3位としました。
<h2>これから改善が進むことに期待</h2>
資産管理の重要性から、運用中資産については一目でサマリーを掴める管理画面がどこの運用会社も用意されています。
一方で、運用ファンド、収益となると、別個の細かい情報を表示させることはできても、サマリーを分かりやすく投資家に表示させる管理画面の提供は不十分であるように感じます。
サマリーさえあれば、自身の投資状況の把握がしやすいです。今後も各社の改善が進むことに期待です。