【2018年更新】maneoの安全性は問題なし?貸し倒れ・トラブル状況

【2018年更新】maneoの安全性は問題なし?貸し倒れ・トラブル状況

ソーシャルレンディング業界最大手のmaneo(maneoマーケット株式会社)では、過去に手掛けていた個人向けのP2Pレンディング事業で貸し倒れが発生していました。

案外勘違いされることの多い貸し倒れと返済遅延、安全性、トラブルについて、今回はmaneoを例に解説します。

そもそも貸し倒れとは

日本のソーシャルレディングでは、以下の流れで貸付まで行うケースがほとんどです。

  • 事業者がファンドを組成
  • 投資家がファンドに投資を実行
  • ファンドから事業会社等へ貸付を行う

一般的に貸し倒れとは、売掛金や貸付金等が回収できなくなり損失となることを意味します。

そしてソーシャルレンディングにおける貸し倒れとは、ファンドの貸付金が回収できなくなり損失となることを指します。

ソーシャルレンディング事業者は、決算書や事業計画書などを元に融資判断(=ファンド組成判断)を行っています。

しかしながら、融資先の事業が計画通りに進まない、突発的なアクシデントの発生により融資資金の返済がなされない、社長が夜逃げや倒産等で企業が活動実態を失う等のケースが生じる可能性があります。

このような場合、当該借り手企業に融資しているファンドは貸し倒れが発生し、投資家は損失を被る可能性があります。

maneoの貸し倒れ状況

ソーシャルレンディング業界最大手のmaneoは直近の3年間で貸し倒れは発生していません。※1

投資家から集めた資金を法人に融資するという現在のビジネスモデルが確立する以前、maneoは欧米のソーシャルレンディングのように、個人向けのP2Pレンディング事業を手掛けていました。

maneoのP2Pレンディング事業では貸し倒れが発生していましたが、その後に経営陣が入れ替わり、P2Pレンディング事業から撤退も行っています。
そして現状のビジネスモデルに転換後は貸し倒れが発生していない、との実績を有しています。

貸し倒れはトラブルなのか

また、ソーシャルレンディングは貸し倒れのリスクを有する金融商品のため、貸し倒れの発生は必ずしもその金融商品自体のトラブルではありません。
当然貸し倒れは避けるべきですが、前述のような借り手企業の事情によっては起こりうるものとなり、絶対に安全とは言えないでしょう。

返済遅延は発生している

maneoは現在の体制になって以降、貸し倒れの発生はありません。
しかしながら予定通りのスケジュールで資金の返済がなされない、返済遅延は発生しています。

2017年3月にmaneoでは返済の遅延案件が発生しました。
同一の融資先に対し融資した3ファンドで合計残高4,534万円の返済遅延となっています。

その後、同社から進捗に関するプレスリリースはなされていないため、延滞案件発生後の状況は分かりません。
しかし、貸し倒れが発生とも発表されていないため、現状は当初のプレスリリース通りに法的手続き等により、資金回収に向けた折衝をmaneoは行っていると考えられます(2017年8月時点)。

なお、返済遅延により最終的な資金の返済がなされる場合でも、返済が大幅に遅れる可能性はあります。
その場合、投資家は資金を途中で引き出すことができません。

よって子供の教育資金や結婚資金といった期限のある資金をソーシャルレンディング投資に投入すると、お金が足らなくなるというトラブルが考えられます。
必ず余裕資金にて投資を行いましょう。

追記:返済遅延後のお知らせについて

2017年11月にmaneoから延滞発生について進捗の報告がありました。※2

これによれば、未回収の元金全額、利息全額、遅延損害金の一部を回収でき、投資家に分配したとのことです。

今回の件では回収できたとのことですが、場合によっては最悪貸し倒れになる可能性もあったことを心に留めておく必要があるといえます。

他のソーシャルレンディング事業者でも返済遅延は起きている

上記の説明より、返済遅延と貸し倒れは異なるものであることが理解できたのではないでしょうか。

日本国内ではまだ貸し倒れは無い、もしくは少ない一方、返済遅延は複数のソーシャルレンディング事業者で発生しています。

返済遅延はトラブルなのか

返済遅延自体は当然良いことではありませんが、ソーシャルレンディング投資をはじめとした金融商品にリスクは付き物です。

トラブル = その事業者に問題があると定義するならば、返済遅延が起きていること自体はトラブルでないといえるのではないでしょうか。

maneoにトラブルはないのか?

maneoに他のトラブルはないのか?

金融商品取引業者は証券取引等監視委員会による検査を受けることがあり、何か問題が発覚した場合は行政処分や業務改善命令を受ける場合があります。

maneoは2010年に検査を受けており、その結果として違反行為や行政処分などはありませんでした。
資料からは金融商品取引業者としてのトラブルは、少なくとも2010年の検査時点ではないと認められます。

追記:2018年7月に行政処分
2018年7月に金融庁はmaneoを運営するmaneoマーケット社に対して、行政処分を下しました。

maneoマーケット社はグリーンインフラレンディングを営業者とするファンド取得勧誘に関する問題などが指摘され、運営が停止されることはなかったものの、経営体制の見直し・強化などの改善対応策などを進めています。

ソーシャルレンディングは貸し倒れが発生するもの

ソーシャルレンディングは年間数%の利回りが得られる商品であり、貸し倒れなどのリスクはあります。

投資家はソーシャルレンディングには貸し倒れや返済遅延のリスクが存在していることを理解した上で、投資を行うことが必要不可欠となります。

投資案件を分散する、事業者を分散する、資金を分散する等で損失リスクを抑え、元本割れにならないよう安全にソーシャルレンディング投資を行っていくことが大切となります。

まとめ

海外のソーシャルレンディングでは、利回りが高い=貸し倒れのリスクが高い、と考えるのが大前提であり、日本に比べると頻繁に貸し倒れが発生しています。よって貸し倒れに対する免疫が高い状態にあります。

ソーシャルレンディング投資はリスクある投資です。安全性やリスクを踏まえた上で、リスクが顕在化した場合においても損失のリスクを抑えられる措置を取った上で、投資を行っていくべきでしょう。


※1:2017年1月20日時点。事業者のヒアリングに基づく。
※2:maneo 【延滞案件の進捗に関するご報告】(重要)