クラウドファンディングといえば、購入型クラウドファンディングを連想する方が多いのではないでしょうか。
しかし、クラウドファンディングとひとえに言っても、融資型や寄付型など多種あります。
ソーシャルレンディングも購入型クラウドファンディングと勘違いされるケースが多く存在しています。
ソーシャルレンディングは融資型クラウドファンディングに該当しますが、どのようなクラウドファンディングなのか分からない方もいるでしょう。
今回はソーシャルレンディングと購入型クラウドファンディングについて、その違いを解説します。
目次
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは、クラウドファンディングの一種で、融資型クラウドファンディングとも呼ばれます。
そもそもクラウドファンディングとは、“ある目的をもった法人や個人に対し、インターネットを活用したプラットフォームを利用して、不特定多数の出資者から資金提供を受ける仕組み”を指します。
融資型クラウドファンディング=ソーシャルレンディングでは、「不特定多数の出資者から集めた資金を借り手に融資し、出資をした投資家に対し、利息(分配金)を付けて資金を返済」します。
インターネットを経由して、第三者同士である資金の借り手と貸し手(投資家)を結びつけることができるのが、ソーシャルレンディングの最大の特徴でしょう。
【ソーシャルレンディングについてさらに知りたい方はこちら】
・ソーシャルレンディングとは?投資初心者でも分かる特徴から投資方法まで
・どこがおすすめ?日本のソーシャルレンディング事業者・企業の一覧をまとめてみた
借り手企業のメリット
資金を借りる手段という意味では、銀行やノンバンクほか、既にあります。
ではソーシャルレンディングの仕組みには何かメリットがあるのでしょうか。
まず、借り手企業から見たソーシャルレンディング利用のメリットは下記となります。
- 1. 過去の実績に関係なく融資が受けられる
- 2. スピーディーな資金調達が可能
- 3. 銀行等より安い金利で融資が受けられる
特に銀行の場合、過去の取引実績や売上実績が重視される傾向にあるため、まだ事業実績の無いベンチャー企業等は融資のハードルが非常に高くなります。
一方、ソーシャルレンディングは、返済計画がより重視されます。
よって計画を投資家が評価すれば、過去の実績に関係なく融資を受けられることも可能となります。
銀行融資では融資申し込み後、様々な手続きが必要となるため、融資決定まで時間がかかるケースが殆どです。
そして場合によっては、時間がかかったにも関わらず融資が受けられないケースもあります。
一方、ソーシャルレンディングは、投資家の支持さえ集めることができればスピーディーに資金を調達することが可能です。
低金利の日本ではあまり当てはまりませんが、欧米では金融機関で借りるより安い金利で融資を受けることが可能となります。
銀行やノンバンクのローンをソーシャルレンディングで調達した資金で返済し、借り入れ金利の引き下げに成功したという例は欧米では多いようです。
個人投資家のメリット
個人投資家はソーシャルレンディングに投資することで、金利収入を得ることができます。
さらに株式投資などの金融商品と異なり、ソーシャルレンディングは元本の価格変動はありません。問題が生じなければ投資元本は変動することなく返済されます。
個人投資家が金利収入を得ようと思えば、公社債等の安全ではあるものの金利の低い商品、外債のような金利は高くとも値動きによって元本毀損リスクのある商品などがありました。
そんな中、ソーシャルレンディングは貸し倒れリスクはあるものの、保全性は比較的高く、利回り(平均)も5%超が得られる可能性がある新しい投資商品です。
投資家から見ると、これまでの資産運用先では金利収入を得る手段は限られていた中、ソーシャルレンディングは金利収入を得るための新しい機会を提供している、と言う事ができます。
クラウドファンディングとは
購入型クラウドファンディングが広く認知されているものの、クラウドファンディングには、購入型・寄付型・融資型・株式型等の種類があります。
日本の一般的な意味でクラウドファンディングと言われる場合は、購入型クラウドファンディングのことを指すケースがほとんどでしょう。
投資家の提供資金に対し、分配金を付けて資金を返済するのが融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)となります。
そして投資家の資金に対し、基本的には何も対価を求めない寄付型、資金による成果物等を支援者に対して行うのが購入型、資金の対価として該当企業の株式を受け取るのが株式型となります。
日本では、クラウドファンディング全てが購入型クラウドファンディングとの勘違いも受けやすいかもしれません。しかしクラウドファンディングと言っても、実際には様々な種類があるという点は注意が必要です。
【クラウドファンディングについて詳しく知りたい方はこちら】
・クラウドファンディングとは|種類や歴史、メリット・デメリットまで
・【最新版】クラウドファンディングのおすすめサービスまとめ・比較
起案者・資金需要者企業のメリット
購入型クラウドファンディングにおいて起案者(資金需要者)のメリットは、熱意とアイディアで返済を必要としない事業資金を調達できる点にあります。
企業の資金調達の手段としては融資や第三者割当増資による株式発行が考えられますが、いずれも複雑な手続きを必要としますし融資の場合は資金の返済が必要です。
購入型クラウドファンディングでは対価を魅力的にするなどして、投資家を納得させることができれば、実績が無くとも返済の必要の無い事業資金を手にすることが出来ます。
ただし、クラウドファンディングを運営する事業者が最初の段階で掲載の可否を判断するケースが多いので、単なる思い付きでクラウドファンディングで資金調達を行うことは簡単ではないでしょう。
なお、購入型クラウドファンディングの案件でも、成果物が完成しない場合や必要資金が集まらないなどにより、プロジェクト自体が頓挫してしまうケースもあります。
個人(支援者)のメリット
購入型クラウドファンディングで資金の提供者となる個人(支援者)のメリットとしては、成果物の分配が受けられる点があげられます。
調達した資金で成果物が完成した場合、多くのケースで支援者は成果物(リターン)を手にすることができます。成果物(リターン)には農作物から映画まで様々なものが見られます。
また実物的な成果物のみならず、想いや人に対する支援自体に満足感を得る場合もあるでしょう。
成果物は当然のこととして、この満足感も購入型クラウドファンディングの大きな魅力の1つとも言えます。
ソーシャルレンディングとクラウドファンディングの違い
ここまで、ソーシャルレンディングとクラウドファンディングについて、それぞれの特徴や仕組みを解説しました。
以降、改めてそれぞれの違いを考察しましょう。
金融商品かそうでないかの違い
ソーシャルレンディングでは投資家は資金提供の対価として分配金を受け取ります。またソーシャルレンディング事業者は原則的に金融商品取引法上の業者登録が必要です。
よって、ソーシャルレンディング事業者が募集の案件(ファンド)は金融商品としての位置付けがなされています。
一方で(購入型)クラウドファンディングの場合、支援者が受け取るのは成果物としてのモノやサービスという違いがあります。
よって対価として現金や有価証券の移動を伴わないため、金融商品には該当しません。
個人の違い
ソーシャルレンディング、(購入型)クラウドファンディング双方とも、出資を行うのは個人ですが、下記のように区別することができます。
- ソーシャルレンディング = 投資家
- (購入型)クラウドファンディング = 支援者
出資の資金は投資金であり、期間到来後の資金返済を前提とし、分配金という金銭的な対価を求める。
成果物を期待しているものの、投資元本部分は返済されないのが前提であり、ソーシャルレンディングの投資家ほどシビアではない。
ソーシャルレンディングとクラウドファンディングのまとめ
日本では一足先に購入型クラウドファンディングが立ち上がった歴史的な経緯もあり、ソーシャルレディングと購入型クラウドファンディングを勘違いされるケースもあります。
しかしながら両者は全く別物。
ソーシャルレンディングは金融商品ですが、金銭的な対価を求めない購入型クラウドファンディングは金融商品としての位置付けはなされていません。
ただし購入型クラウドファンディング、ソーシャルレンディングのいずれも、1万円からという小口資金で投資可能な案件が多数存在しています。
興味がある方はまずは小額の投資を行い、実際に両者がどのようなものなのかを実体験することが理解の一番の近道ではないでしょうか。
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