
新しい資金調達の方法としてソーシャルレンディングを利用する借り手が増えています。
しかし、実際にソーシャルレンディングで資金、お金を借りるにはどうすれば良いのか、他の資金調達手段とどう異なるのかわからないことも多いでしょう。
今回は、借り手から見るソーシャルレンディングの状況とその方法について解説します。
目次
ソーシャルレンディングでお金を借りることは可能なのか?
日本において、ソーシャルレンディングの仕組みを用いてお金を借りること(資金調達)は可能です。
ただし、ソーシャルレンディングは国によってその対象とする領域が異なっています。
例えば日本では、不動産事業をはじめとして、借り手が企業であることが通常です。
個人でお金を借りることはできない
欧米ではソーシャルレンディングは個人向け融資との構図が一般的です。
一方、日本では主に不動産などの事業融資を軸に市場が立ち上がりました。
よって日本では、実質的に個人間融資としてソーシャルレンディングが展開されているわけではありません。
基本的に個人がソーシャルレンディングの仕組みを利用して、資金調達を行うことは難しいでしょう。
企業はお金を借りられる可能性がある
日本のソーシャルレンディングは、企業向けの案件を中心に市場拡大しているため、ソーシャルレンディング事業者が行う厳格な審査を通れば、企業はお金を借りることができます。
ソーシャルレンディングは個人から集めた小口資金を集め、借り手企業に融資します。
借り手企業は利息とともに返済が必要なため、購入型や寄付型クラウドファンディングとは異なります。
借り手はお金を借りると当然、債務を果たすことが必要となります。
またお金を借りる(融資を受ける)際には、事業計画書などを元にした審査も必要となります。
ソーシャルレンディングでは2年いないの短期融資が多くなるため、借り手企業がその期間内(期間はファンドによる)で本当に返済が可能なのかという点をはじめとした項目が審査されます。
注意するべきなのが、ソーシャルレンディングでの審査基準が銀行の審査基準よりも甘いというわけではないことです。
銀行とソーシャルレンディングでの審査項目や基準は差異があるかもしれませんが、借り手企業が借りるお金が本当に返済できるのかという点は厳しく審査されます。
【ソーシャルレンディングと銀行と違いについて知りたい方はこちら】
・ソーシャルレンディングと銀行はライバル?借り手から見た違いも解説
ソーシャルレンディングでお金を借りる(資金調達する)方法
次にソーシャルレンディングでお金を借りるための具体的な内容について説明します。
ソーシャルレンディングの借り手に多い業種
下記に現在のソーシャルレンディングにおける借り手企業の種類を記します(2017年8月初旬時点)。
- 不動産会社
- 再生エネルギー関連企業(太陽光・バイオマス・風力他)
- リース会社
- 売掛債買取会社
- コインランドリー運営会社
- その他
ソーシャルレンディング事業者のWebサイトにおいて、「事業会社への融資」と記載される案件は、上記業種に該当するケースがほとんどとなります。
ソーシャルレンディングからの融資は、回収についてある程度見込みがつきやすい事業に対して融資するケースが多いでしょう(ex.不動産→売却による資金回収、太陽光発電→売電収入による回収他)。
ソーシャルレンディングでお金はいくら借りられるのか
ソーシャルレンディングで借りることができる金額は案件や必要資金次第です。
ソーシャルレンディングでは借り手企業1社につき複数回ファンドを組成することもあります。
その場合、例えば1案件あたり2000~3000万円として、5回ファンドを組成すると、合計で1億円以上の資金調達となることも考えられます。
また、日本のソーシャルレンディング案件の場合、1案件2~3億円が上限となるケースが多いでしょう。
銀行の場合、中堅企業の場合でも設備投資資金として数億円単位で融資を行っているので、大きな金額を借りるという意味では銀行の方が適しています。
ソーシャルレンディングにおける融資までの流れ
ソーシャルレンディングの融資が行われるまでの流れについて、その1例をご紹介します。
- 1 ソーシャルレンディング事業社とのコンタクト
- 2 ソーシャルレンディング事業社に対して融資申し込み(事業計画書や決算書他が必要)
- 3 ソーシャルレンディング事業社による審査
- 4 ソーシャルレンディング事業社との融資条件等の交渉(金額、金利、期間等)
- 5 ソーシャルレンディング事業社による融資認可
- 6 ソーシャルレンディング事業社のサイトで融資のためのファンドを募集
- 7 ソーシャルレンディングファンド成立後に融資を実行
※あくまで1つの例としてご覧ください。
一度取引を行うと、継続してソーシャルレンディングサイトで資金調達を行う企業も多く、またソーシャルレンディング事業社としても実績ある企業との取引を重視するため、各ソーシャルレンディングの募集案件を見ると、○回目の募集となります、との記載を多く見ます。
ソーシャルレンディングからお金を借りるメリット
ソーシャルレンディングでお金を借りるメリットは、銀行に比べて小回りの効く資金調達が可能という点にあります。
期間が数ヶ月単位の融資も可能ですし、また企業に対し融資するというよりプロジェクトに対して融資するという色合いが強いため、必ずしも企業の財務状況や過去決算状況だけに縛られない審査が可能です。
また、比較的早い資金調達が可能です。
実際に早い意思決定が求められる不動産業界で、ソーシャルレンディングの機動力のある資金が重宝されている面があります。
特に融資金回収の見込みがあるプロジェクトに対して、スピード感のある資金調達が可能という点は魅力でしょう。
ソーシャルレンディングでお金を借りるデメリット
ソーシャルレンディングでお金を借りるデメリットは、何と言っても貸出金利の高さです。
日本銀行がマイナス金利を導入している日本は、歴史的に見て企業が非常に安い金利でお金が借りられる環境下にあります。
そんな中でソーシャルレンディングの金利はだいたい約5~15%となっています(参考値)。
1~2%台で借り入れが可能な銀行と比べると、ソーシャルレンディングの融資は高いといえます。
まとめ
ソーシャルレディング自体、まだ一般的な認知度は広まっておらず、お金を借りる(融資を受ける)という観点では知る人ぞ知る存在でしょう。
日本のソーシャルレンディングは小回りの効く資金を武器に、徐々にその活動領域を拡大するとも予想されます。
今後どのような方向に融資が拡大するのか、非常に興味深いですね。