【実態はどうなのか】ソーシャルレンディングで個人間融資はできるのか?その現状・実態を調査

【実態はどうなのか】ソーシャルレンディングで個人間融資はできるのか?その現状・実態を調査

欧米では個人向け融資を行う個人間金融(P2Pレンディング)のプラットフォームとして発展したソーシャルレンディング。
一方、日本ではP2Pレンディングプラットフォームとしてのソーシャルレンディングは、頓挫した歴史があります。

今回は日本のソーシャルレンディングにおける個人融資の現状そして今後の展望について、概観いたしました。

ソーシャルレンディングに個人向けはあるのか?

現状、原則として個人がソーシャルレンディングによって融資は受けられません。
資金調達者は企業がすべてといっても過言ではありません、
消費者金融でお金を借りるようにソーシャルレンディングを個人が利用することはできない状態です。

この理由を理解するためには日本のソーシャルレンディングの成り立ちや仕組みを理解する必要があります。

欧米のソーシャルレンディングでは個人融資が中心

欧米のソーシャルレンディング市場は個人間融資(通称、P2Pレンディング)が成長しました。
一方、日本では個人から法人に対する融資モデル(主に不動産融資)が成長しています。

また、中国では法人融資を対象にソーシャルレンディングが広まっていることを考えると、各国それぞれの金融事情を背景に発達をしています。

「ソーシャルレンディングは個人間融資」といったイメージは日本では当てはまらない状況となっています。

日本での個人間融資は一度頓挫している

日本のソーシャルレンディングは個人間融資の経験があります。

ソーシャルレンディング業界のパイオニア的存在のmaneo(maneoマーケット)は、2008年にソーシャルレンディング事業を開始。
事業開始時は欧米のソーシャルレンディング同様、インターネットを利用した個人間融資サービス提供を目的としてサービスを提供していました。

しかしながらmaneoの個人間融資事業は多数の延滞の発生等により、あえなく頓挫し、2011年には個人融資事業からの撤退を発表しています。

欧米と異なり日本では、カードローン、消費者金融他のノンバンクが多く存在しており、個人がお金を借りるインフラは欧米と比べると遥かに整備されている状況です。

そのような市場環境の下、maneoは個人間融資事業を開始したのですが、利用者が思ったほど伸びませんでした。
また与信体制も歴史とノウハウを積み上げたノンバンクに太刀打ちできず、更には既存ノンバク等から借り入れのできない方の借り入れも行われたようです。

その結果多くの延滞が発生し、投資家が損失を被る結果になっています。

現在は法人向け融資に方向転換し、ソーシャルレンディングは大きく成長しています。

ソーシャルレンディングは今でも個人向けは存在する

当初のmaneoの試みは頓挫した日本のソーシャルレンディングによる個人向け融資ですが、現在の日本においては若干形を変えて存在しています。

個人向けローンとは

欧米ではソーシャルレンディングのサイトを通じて、個人と個人が資金の貸し借りを行う形がひろく見られます。
この場合、借り入れを行う人の過去の返済実績や収入金額や資産額等から、借り入れの金利が決められ、その金利で貸付を行う人を募集します。

個人向け融資ファンドのある国内ソーシャルレンディング事業者

日本において個人向けローンのあるソーシャルレンディング事業者は下記2社となります(2017年8月初旬時点)。

SBIソーシャルレンディング

SBIソーシャルレンディングの貸し倒れは?
SBIソーシャルレンディングではグループのSBI証券の顧客を対象とした証券担保ローンの募集を行っています。※2018年9月に運用終了予定。すでに資金募集は停止しています。

個人向け融資ではあるものの、株式投資家を対象とした証券担保ローンとなっており、欧米型の個人融資とは大きく異なっています。

クラウドクレジット

クラウドクレジット

海外ファンドに特化しているクラウドクレジットにおいても、個人向けローンの取り扱いがあります。
ただし同社の個人向けローンは、同社が投資家から集めた資金でファンドを設立し、海外のソーシャルレンディングインフラを利用して個人に融資する形です。

よって投資家が直接海外の個人に融資する訳ではありません。
こちらも欧米のソーシャルレンディングの個人融資とは大きく異なっています。

個人間ではない日本の個人向け融資のスキーム

現在、日本国内の個人向け融資ファンドは、欧米型のP2Pレンディングとは仕組みが異なります。

日本のソーシャルレンディングでは、ソーシャルレンディング事業者が投資家からの資金をファンド形式で集めて、その資金を借り手企業に融資します。
これは個人向け融資のファンドも同様です。
投資家はファンドに出資することで、個人ローン案件に参加する形となっています。

日本における個人間融資の展望

欧米型ソーシャルレンディングの本命である個人向け融資は現状の日本ではあまりみられません。

カードローン他、ノンバンクの個人向け融資インフラが整っている日本では、ソーシャルレンディングにおいえ個人向け融資が発展するにはハードルがあるようにみえます。

一方で、個人向け融資が発展する可能性も垣間見えています。

現状、金融庁がカードローンの金利の高さを問題視しています。
ソーシャルレンディングの仕組みを利用してこの課題を解決することができれば、国内ソーシャルレンディングにおける個人向け融資は発展するかもしれません。

まとめ

欧米とは異なる形で発展する日本のソーシャルレンディングですが、今後、ソーシャルレンディング普及の第2幕としてP2P金融市場立ち上げの可能性もないとは言えません。

その反面、個人向け融資インフラの整っている日本において、ソーシャルレンディングにおける個人向け融資の発達は相当の時間がかかると予想されます。