こんにちは。中田健介です。
突然ですが、以下のような2つの投資商品があったとします。どちらかに投資するとしたら、あなたはどちらに投資しますか?
- A:50%の確率で10万円が得られるが、50%の確率で1円も得られない。
- B:80%の確率で10万円もらえるが、20%の確率で5万円損してしまう。
一見しただけではどちらが有利なのか判断がつきにくいのではないでしょうか。
こうした不確実な要素を伴う判断をする際に役に立つのが今回紹介する「期待値」の考え方です。
目次
期待値とは
期待値とは、確率的な事柄について、取りうる値の平均値です。
「起こりうる値×確率」を合計することで計算できます。
先ほどの例では、
投資商品Aの期待値は、50% × 10万円 = 5万円 となり、
Bの期待値は80%×10万円+20%×(-5万円) = 7万円 となります。
計算をすると、Bの方が期待値が高いので、こちらに投資する方が儲かる可能性は高いということが明らかになります。
このように、期待値の考え方を理解することで不確実な出来事についても評価できるようになり、ソーシャルレンディング投資において有利な選択が可能となります。
期待値の考え方を様々な判断に応用すると
この期待値の考え方は様々な場面で応用できます。
宝くじの期待値
1万枚発行され、そのうち1枚が100万円の当たりくじである宝くじがあったとします。
この宝くじの価格が300円だったとき、あなたはこれを購入するでしょうか。
仮に当選金額100万円の宝くじの倍率が0.01%だった場合、期待値は100円になります。
したがって、300円でこの宝くじを買うのは損をする可能性が高いと言えます。
反対に、もしこの宝くじの当選金額が500万円であった場合、期待値は500円となります。
宝くじの価格が300円だった場合、1万枚すべてを買い占めれば300万円の投資で500万円が確実に得られるということになります。
購入する方が得になる可能性が高いですね。
火災保険の期待値
あなたの家が火事になる確率は0.01%で、火事が起こると2000万円の損害が出ると仮定します。
その損害を全額補償する火災保険の掛け金が1万円だったとすると、この火災保険に入るべきでしょうか。
この場合、得られる保険金の期待値は2000円となるので、この保険に入ると損をする可能性が高いと言えます。
ただし実際には、保険に入るべきかどうかは、もちろん単純に期待値だけでは決められません。
保険に入っておらずに火事に遭ってしまった場合には路頭に迷うことにもなりかねません。そうならないために保険に入るという選択肢はあり得るでしょう。
しかし、もしあなたに火事にあってもすぐには生活に困らないくらいの資産がある場合、この計算上では必ずしも保険に入る必要はないといえます。
期待値の考え方をソーシャルレンディングに応用すると
ここで、期待値の考え方をソーシャルレンディングに応用してみましょう。
ソーシャルレンディング投資の期待値
ソーシャルレンディングにはデフォルトリスクや事業者リスクがありますが、これらの発生確率は過去の実績から算出できます。
ソーシャルレンディングは株式投資などの他の投資と比べて期待値が計算しやすい投資商品だと言えるでしょう。(ある株式が今後上がる確率を計算するのは非常に難しいですが、それに比べれば簡単だと言えます。)
過去の実績を見ると、ソーシャルレンディング期待利回りの平均は全事業者で約8%(年利)で、デフォルト率は直近3年間で0%です(2017年2月時点)※1。
ただしデフォルトについては今後業界の規模拡大に伴い多少は発生するものと考えられるため、 現在よりも高めに見積もって発生率1%とします。
また、デフォルトが発生した場合は、投資した資金は全額戻ってこないものとします。
※実際には資金の一部が返ってくることも多いので、必ずしも全額失われるわけではありません。
すると、ソーシャルレンディングに100万円投資した場合、
- デフォルトが起きなかった場合⇒8万円の利益
- デフォルトが起きた場合 ⇒100万円の損失
なので、期待値は以下の通りとなります。
8万円×99% - 100万円×1% = 69,200円
同じく100万円を銀行定期預金に預けた場合、得られる金額の期待値は100円なので、それと比べればソーシャルレンディングは十分に有利な投資であると言えます。
※銀行定期預金金利を0.01%とした場合
【実際にデフォルトが発生するとどうなるかについて知りたい方はこちら】
・デフォルト(貸倒れ)が起きるとどうなる? 私のデフォルト体験
分散投資した場合の損失発生の確率
とはいえ、「デフォルトが起きた場合に100万円損してしまうのではやはりとても怖くて投資できない」と感じる方もいるかと思います。
そういう方は、100万円を1つのファンドに投資するのではなく、1万円ずつ100ファンドに投資した場合を考えてみてください。
この場合、デフォルトの発生件数が7件以下であればトータルでプラスになります。
(7件デフォルトになった場合でも、93件×1万円×8% - 7件×1万円 =4400円 のプラスになります。)
ここではデフォルト発生率を1%と考えているので、100件のうち8件以上デフォルトが起こる可能性は考えづらいでしょう。
100ファンドに分散して投資した場合、リターンの期待値は1ファンドに投資した場合と同じ69,200円ですが、トータルでマイナスになる確率はこのように大幅に引き下げることができます。
改めて分散投資の重要性がおわかりいただけるでしょう。
※各種手数料は考慮していません
まとめ
不確実性を伴う投資について、私たちはその価値を実際以上に高く見積もったり低く見積もったりしてしまいがちです。
そんな時は期待値の考え方を思い出していただければと思います。
きっと冷静な判断をする助けになることでしょう。