【最新版!どこが安い?】ソーシャルレンディング投資にかかる各手数料を事業者別に比較!

【最新版!どこが安い?】ソーシャルレンディング投資にかかる各手数料を事業者別に比較!

ソーシャルレンディングはその投資スキームに融資を組み込んだ投資商品です。しかし投資家が行っていることは融資ではなく、あくまでファンドの購入であり、その意味では投資信託と同じともいえます。

投資信託には各種手数料が通常かかりますが、ソーシャルレンディングの場合どのような手数料がかかるのでしょうか?

ソーシャルレンディングは手数料が無料?

現状、ソーシャルレンディングでは、各種手数料は無料と明記している事業者がほとんどです。※1

この「各種手数料」とは、口座開設、口座維持手数料がまず挙げられます。また株式、投資信託、FXなどの一般的な投資商品で必要となる、投資商品購入手数料、信託報酬なども指しています。

投資家からこれらの手数料を徴収しているソーシャルレンディング運営会社はほとんどありません。

もちろん、ソーシャルレンディング事業者も営業者報酬がなくては企業活動を続けられないので、手数料は間接的に投資家から徴収する形となっています。
その意味でソーシャルレンディング投資の手数料は決して無料ではありません。

株式、投資信託、FXと比較し、ソーシャルレンディングはどのような手数料の取り方を行なっているのでしょうか。

投資家から手数料を徴収するソーシャルレンディング事業者

現状、投資家から手数料を徴収しているのはAQUSHとSBIソーシャルレンディングの2社のみです。(2017年6月時点)

AQUSHは営業者報酬、SBIソーシャルレンディングは管理手数料の名目で手数料を徴収しています。
※かつてはmaneoも成約時手数料を投資家から徴収していましたが、2011年の6月にはそれを廃止しています。

maneo(マネオ)、AQUSH、SBIソーシャルレンディングのサービス開始はそれぞれ、

であり、国内でも老舗として位置される事業者です。

一方、2013年以降にサービスを開始したソーシャルレンディング事業者は、一般的な投資商品のような手数料を投資家からは取っていません。

手数料は融資先から徴収されている

ではソーシャルレンディング事業者はどこから手数料を取得しているのか?
それは「融資先」です。

ソーシャルレンディングが他の投資商品としてユニークな部分として、「融資先がある」ことが挙げられます。
その融資先のみから発生する各種手数料により、一般的な投資商品における手数料を投資家からは直接とらない体制をとっているのです。

株式、FX、投資信託においては基本的に運営会社(証券会社)と投資家だけのやりとりのみしか存在せず、手数料が発生する筋合いのある他者は存在しません。ソーシャルレンディングの体制ならでは手数料が投資家以外から発生するのです。

一般的な投資商品購入にかかる手数料

一般的な投資商品購入にかかる手数料
一般的な投資商品購入にかかる手数料

一般的な投資商品(株式、投資信託、FX)及びソーシャルレンディングおいてよく見られる手数料の目安を列記しました。

負担そのものがない投資商品もあります。
なお、「6.振込手数料」は投資家が負担するものですが、銀行に支払うものであり、運営会社の取り分でないことには注意が必要です。「7.出金手数料」も同様です。

投資商品において振込手数料と出金手数料は大きな負担となることもあります。場合によっては、利益を得られるどころか、元本割れとなる危険もあるため注意しましょう。

このように何にどれくらいの手数料がかかるのか、またそれが妥当かどうかを見極めることは投資において不可欠といえます。

ソーシャルレンディングにかかる手数料

ネット取引で投資商品購入のために必要な各手数料負担の有無
ネット取引で投資商品購入のために必要な各手数料負担の有無

1、2 口座開設手数料、維持手数料

投資口座を開設する際及びその維持のためにかかる手数料です。
店舗型の運営会社でも現在はかかることが少なく、ネット型の運営会社は現状かからないのが基本です。

3 購入手数料

投資商品の購入時にかかる手数料です。
株式、投資信託、FXでは投資商品購入時に投資家が、様々な名目で負担します(約定代金、販売手数料、スプレッド等)。

ソーシャルレンディングでは一見この手数料は存在しないように見えます。
たとえば100万円の案件に投資した際に、投資信託のようにその1%の1万円を別途支払わなければいけないということはありません。

しかし、運営会社が融資を行う際、融資先から「融資実行手数料」を徴収しています。その手数料は融資資金の1~3%が相場です。
全額とはいい切れませんが、間接的に投資家が購入手数料として負担しているともいえるかもしれません。

4 信託報酬・運用手数料

投資商品を保持している際にかかる手数料です。通常、株式、FXでは必要とされません。投資信託ではインデックス型でも当たり前のように毎日かかる手数料です。

ソーシャルレンディングでは投資家がこれらの手数料を直接負担することはありません。しかし、融資金利と投資家利回りの金利差として間接的に負担しているともいえます。

運営会社が5%の利回りで投資家から集められた資金が、融資先に8%で貸し出されたとしたら、その差分である3%が運営会社の取り分となり、投資家が関節的に負担する手数料ともいえるでしょう。

5 売却手数料、信託財産保留額

株式の売却、FXの決済、投資信託を解約する際に投資家が負担する手数料です。ソーシャルレンディングでは売却、途中解約ができないため、基本的に存在しません。

ソーシャルレンディング投資においては、運用期間が終わると自動的にその投資元本が投資家のデポジット口座(あるいは銀行口座)に償還されます。

そしてその際に売却手数料がかかることは通常ありません。株式、FXのように2回決済手数料を支払うことは、避けられるようになっています。

6 振込手数料

投資資金を運営会社の投資口座に振り込む際の手数料です。
基本的に全ての投資商品で必要とされます。投資家、運営会社が利用している銀行口座によってその負担額は異なります。

7 出金手数料

運営会社の投資口座から、投資家の口座に資金を引き出す際の手数料です。
株式、FXでは必要とされないことが多いものの、ソーシャルレンディングの場合、出金手数料は投資家負担としている事業者が多数派です。

ソーシャルレンディング事業者の手数料を比較

ソーシャルレンディング投資においてかかる手数料
ソーシャルレンディング投資においてかかる手数料

ソーシャルレンディングにおいて投資家が間接的に支払う手数料は、融資実行手数料(購入手数料)、利益(運用手数料)の2つ、直接的に支払うのは振込手数料、出金手数料の2つ、合計4つといえます。

融資実行手数料は投資家に非開示です。
利益は同じ運営会社でも案件ごとに大きく異なることや、明確に示していない事業者がそんざいすることから明示は難しいです。
負担額は各案件の調査セミナー、関係者からの情報提供を踏まえたものであることをご了承ください。

SBIソーシャルレンディングは出金手数料無料

各運営会社の出金時手数料体系
各運営会社の出金時手数料体系

各運営会社が採用している出金時手数料体系は、

と、ソーシャルレンディングの場合、出金時手数料は投資家負担にしている事業者が多数派といえるでしょう。

※ラッキーバンクでは返済遅延していたファンドについて、債権譲渡が決定しました(2018年12月5日時点)。詳細はこちらをご覧ください。
※なお、スマートエクイティ、トラストレンディング、TATERU FUNDINGは信託口座を設けておらず、分配金(配当)、元本償還は投資家の口座に直接送金するシステムを採用しています。

出金時手数料の金額は運営会社により異なります。
投資家と運営会社が同じ銀行、支店を利用していれば、出金手数料は無料、もしくは安くなります。3万円以上を出金すると3万円未満より高くなる料金体系が一般的です。

最安はグリーンインフラレンディングの同銀行、同支店利用の場合の無料です(料金がかかる場合の最安はAQUSHの同銀行利用の際の51円)。
最高値はmaneoファミリー (maneoは除く)の他銀行宛、3万円以上出金における756円です。

なお、上記の表に記載している手数料の他、返済遅延が起きた際にはサービサーに回収を依頼し、その手数料を分配金から差し引くことを表明している運営会社もあります。

ソーシャルレンディングの手数料は不透明

購入時に投資金額に対して1~3%、運用手数料を投資金額に対して年1.5~5%を間接的に負担していると前述しているものの、投資家と融資先の負担比率は不明確です。

手数料を融資先が直接支払い、実質的には投資家が間接的に支払うという手数料体系は現状、投資家の負担手数料を不透明にしています。

ソーシャルレンディングの手数料は高いのか

一般的なアクティブファンド型の投資信託においては、購入手数料が投資金額の1~3%、信託手数料が年1~2.5%ほどが相場かと思います。
ソーシャルレンディング投資の手数料はアクティブ型投資信託と比較して決して安いとは言えません。

もっとも投資信託において運営会社が行っているのは、基本投資先の調査と株式の購入だけです。
それに対してソーシャルレンディングは、融資先の調査、審査、担保の設定、各種契約締結、融資実行と事業者の負担が大きいため、妥当な手数料であるとも言えるでしょう。

むしろ良心的?

投資信託の信託報酬と違い、ソーシャルレンディングは投資家に対して利益が発生した時だけに、運用手数料を得られる仕組みとなっています。

基本的にソーシャルレンディングにおいては融資実行手数料(購入手数料)、運用手数料ともに投資家から直接取得しないため、投資元本を減らすことがありません。

中にはAQUSH、SBIソーシャルレンディングのように手数料が投資家に対して直接発生する事業者もありますが、これも投資家に利益を分配する際のみに発生する手数料です。

実績が投資家の資金を集めている

潜在的な手数料まで考慮すると、たしかにソーシャルレンディングの手数料は決して従来の投資商品に比べて安くないとも考えられるでしょう。それでもソーシャルレンディングは魅力的でその手数料は良心的だと私は考えています。
 
その理由が、「投資家に着実に利益を分配してきたソーシャルレンディングの実績」です。
 
ソーシャルレンディングの過去3年間の貸し倒れ率は1.47%で、総合的に見ると、損失よりも利益の方が多く発生しているでしょう(2018年1月25時点)。

これは融資がソーシャルレンディングのスキームに組み込まれている恩恵です。決して投資家同士で利益競争をするのではなく、借り手に対する貸出金利により発生する利益のため、投資家は総合的見ると利益が発生するのです。

総合的に利益が出やすいという点では、ソーシャルレンディングの手数料は十分良心的なのではないでしょうか。

この違いが社会に広がることにより、近年ソーシャルレンディングに投資家とその資金が集まっている。そのように私は感じています。


※1:2017年5月時点