「ラダリング」でソーシャルレンディングの流動性デメリットを解消!コンセプトと実践方法を解説

「ラダリング」でソーシャルレンディングの流動性デメリットを解消!コンセプトと実践方法を解説

「投資した資金を途中で引き出すことができない」ことをソーシャルレンディングのデメリットのひとつと捉える方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、そのような問題の対処法として使える「ラダリング」という投資テクニックを紹介します。

ラダリングとは

「ラダリング(laddering)」とは、複数の金融商品の満期日をずらしてハシゴ(ladder)のように組み合わせる手法です。

ラダリングとはもともと定期預金を使って行う手法なので、まずは定期預金を例に説明します。
例えば、満期日までの期間が6ヶ月で利率が0.10%、1年で0.12%、3年で0.20%という3種類の定期預金があり、 運用資金を60万円持っているとします。この条件で6ヶ月ごとに10万円分の定期が満期になるように設定したい場合、以下のようなラダリングが可能です。

ソーシャルレンディングの流動性デメリットを解消するラダリング!コンセプトと実践方法を解説

最初に、(1)30万円の6ヶ月定期、(2)20万円の1年定期、(3)10万円の3年定期を組みます。
そしてその6ヶ月後、(1)満期になった定期で(4)20万円の1年定期と(5)10万円の3年定期を組みます。
同様に、1年後には(2)満期になった定期で(6)10万円の1年定期と(7)10万円の3年定期を組みます。
最後に、(4)1年半後に満期になった定期で(8)10万円の1年定期と(9)10万円の3年定期を組みます。

これで6ヶ月ごとに10万円の3年定期が満期になる「ハシゴ」が完成しました。

2年後からは、特別な事情により現金を引き出す必要がない限り、6ヶ月ごとに満期になった3年定期を延々と更新していくという形になります。

上の例では分かりやすくするために元本だけを使っていますが、もちろん利息も再投資して構いません。
また、6ヶ月ごとに新しい資金を投入するなど、ラダリングと積立投資をかけ合わせることも可能です。その場合、例えば上の例で言うと、最初から定期(3)に割り当てる金額を定期(1)や(2)よりも多くしておいて、半年ごとに新しく作る3年定期の金額を増やせばいいわけです。

いずれにしても「ラダリング」を構築するためには、自分が望む期間ごとに何かが満期になるように設定できれば良いということです。

ラダリングによるメリット

ラダリングを構築する方法は分かりましたが、その分、手間はかかってしまいます。それでは、手間をかけてラダリングをするにおいて、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ラダリングには大別して2つのメリットがあります。

資金の流動性が高くなる

1つ目は、自分が決めた期間ごとに何かが満期になるため、万が一急に資金が必要になった場合には資金を引き出すことがしやすいということです。これによってソーシャルレンディングのデメリットである流動性の低さに対応することができます。

比較的高利回りが期待できる

もう1つは、一般的には運用期間が長いほど利回りが上がるので、より高い利回りで資金を運用できる可能性が高くなるということです。

定期預金の例で言うと、一旦「ハシゴ」の全部の段が3年定期になったあとは、半年ごとに満期が来るにもかかわらず6ヶ月定期の利回りである0.10%の倍の0.20%が得られるということになります。

運用期間が長いほど利回りが高くなるというのはソーシャルレンディングも同様です。
ソーシャルレンディングのファンドも運用期間が長いほど利回りが高くなる傾向があるため、リターンが高くなる可能性が高まるわけです。

ラダリングするうえでの注意点

このように、ラダリングによって「資金流動性の低さへの対応」と「より高い利回りの獲得」が狙えるわけですが、注意すべきこともあります。

生活資金を投資に充てないこと

まず、ラダリングによる投資は余剰資金で行うことが大切です。
当然、生活資金を削るのではなく余剰資金で投資を行うというのは、ラダリングするかしないかにかかわらずソーシャルレンディングで投資するときの前提です。

それはラダリングにより資金流動性が高まっているからといって、最初から生活資金をそこから賄う予定でソーシャルレンディングのラダリングを行うべきではありません。
定期預金とは違ってソーシャルレンディングには元本保証がありません。リターン額さえ予定通りでなくなる可能性もあり、また、早期償還や延滞により返済日が期日通りでなくなる可能性もあります。

ファンドや事業者によって分配金の支払いスケジュールが異なる

ソーシャルレンディングは満期になるまで毎月分配金が支払われるケースが多いということも定期預金とは異なります。そのため、実際に毎月受け取る金額は分配金の支払いスケジュールによって変わってくることにも注意が必要です。

いずれにせよ、ラダリングはあくまでも「万が一のために、ある程度の資金流動性を持たせつつ、余剰資金を運用するための方法」だという前提で考えるべきでしょう。

管理の手間が煩雑になる

投資口座やファンドが増えれば管理も面倒になるということも念頭においておきましょう。
これはラダリングしていなくても投資額が増えるにつれてどうしても起こる問題ですが、投資先を小分けするラダリングではどうしてもこの傾向が高まります。

そのため、できるかぎり事前の段階で、どのように口座管理するかを考えておいたり、はじめから長期に渡り、コンスタントに様々なファンドへの投資を行う前提でソーシャルレンディング事業者を厳選することがおすすめです。

ソーシャルレンディングでのラダリング実践方法

ここでは例として、毎月いずれかのファンドが満期を迎えるようにラダリングするケースを考えてみましょう。
運用期間は短いものだと3ヶ月くらいからが多いです。また、必ずしも4、5、6、7、8ヶ月のように1ヶ月ずつ運用期間が長くなるファンドがあるとは限りません。

ソーシャルレンディングでラダリングをする際は、初月からラダリングを完成させるという前提ではなく、はじめに見た定期預金の例と同様、時間をかけて「ハシゴ」を完成させるという認識を持っておきましょう。

そのために、最初は運用期間が短めのファンドを長めのものと合わせて買います。予算や投資時などにより、投資に値するファンドがあるかにもよりますが、例えば、下記の表のように投資ができた場合、5ヶ月後の時点で12ヶ月分のラダリングが完成します。

ソーシャルレンディングの流動性デメリットを解消するラダリング!コンセプトと実践方法を解説

このように、「たとえ初月に投資を行なった3ヶ月、7ヶ月、11ヶ月のファンドに毎月投資できなくとも全く問題でないこと」や「一旦ファンドが完成すると運用期間が長めのファンドに投資しやすくなること」が分かると思います。
また、「ハシゴ」が完成してからは、満期までの期間が重複しているファンドであっても、投資していくことで毎月現金化できる金額を徐々に増やすこともできます。

ちなみに、毎月募集案件数が一番多く、運用期間もわりと多様なソーシャルレンディングの会社はmaneoです※1。また、募集案件数が多く運用期間が全体的に短いのはクラウドリースです。

どの会社がいいのか、そしてどのファンドがいいのかは別途しっかり検討して投資先を決めるべきですが、初心者はこのあたりから検討をはじめるのもいいかもしれません。

まとめ

途中解約ができず流動性が低いと思われているソーシャルレンディングでもやり方次第で流動性をある程度高めることができるとお分かりいただけたのではないでしょうか。

とりあえず定期預金にしている資金がある、または定期預金の金利はどうせ大したことがないからと普通預金口座に入れたままになっている余剰資金があるという人は、この機会に売り時を考えなくてもいいソーシャルレンディングでラダリングをしてみるのもいいかもしれません。

1)2017年4月現在