
2016年12月1日。新たなクラウドファンディングサービスが産声をあげました。不動産に特化した投資型クラウドファンディング・マーケットプレイス、クラウドリアルティです。
β版リリースから約1か月。第一弾のファンドは目標額を上回り満額成立。今後の動きが気になるところですが、まだ、その全貌は明らかになっていません。
そこで、今回はクラウドリアルティを率いる鬼頭社長にこれまでの経歴、参入のきっかけ、今後の展望などについてインタビューしました。
金融、不動産との出会い
——これまでのキャリアを教えてください。
大学、大学院と建築を学びました。在学中にグローブという不動産ファンドでインターンを行ったことがきっかけで不動産ファイナンスの世界に関わりを持ちました。インターンという立場でしたが、リゾート施設の買収や沖縄の不動産開発の証券化などに携わりました。
その後、新卒でボストン・コンサルティング・グループに入社。3年半ほど在籍したのち、メリルリンチ日本証券に転職しました。メリルリンチ日本証券では、投資銀行部と不動産投資銀行部に在籍しており、不動産投資銀行部では、現物不動産のオークションや証券化、投資銀行部ではJ-REITのファイナンスやM&Aを担当しました。
——今回、クラウドファンディングに参入しようと考えたきっかけを教えてください。
不動産に関わる前は建築をやっていたこともあり、数字だけの無味乾燥なものではなく、不動産が持つ様々な役割やコンテクスト、例えば景観やコミュニティの形成など、にも目を向けた手触り感のある不動産ファイナンスをやりたいと思っていました。
前職では、J-REITのファイナンスを手掛けていましたが、J-REITは色々と制限があり小回りが利きません。例えば、開発案件やリノベーション案件、地方のBクラス以下の案件などは基本的に取り扱わないのです。
J-REITだけでは、日本の不動産のエクイティファイナンスに関するインフラは足りておらず、実際にGDP対比で見ても先進諸国と比べて不動産の証券化市場の形成は遅れています。それを補完できるような仕組みをクラウドファンディングベースで創りたいと思ったのがクラウドリアルティ創業のきっかけです。
——どのようなメンバーで構成されているのですか?
メンバーは金融、コンサル出身者が多いです。前職や取引先、知人の紹介がきっかけで参画に至っています。
社内にエンジニアも在籍しており、基本システムは内製しています。コンプライアンス担当には、外資系証券会社等の金融機関でデリバティブの設計やセールス、コンプライアンス等を担当していた経験豊富な者が就いております。
引き続き積極的に海外展開していくことを見越して、日本とニューヨーク州の弁護士資格を持っているメンバーも在籍しています。少数ではありますが、個性豊かで優秀なメンバーが集まっていると思います。
エクイティ型、セカンダリマーケットにも挑戦
-—サービスの特徴を教えてください。
クラウドファンディングの仕組みを活用し、国内外の不動産関連プロジェクトの起案者や投資家に対して、それぞれ資金調達や出資の機会を提供します。
これまで資金を集めるための選択肢が少なかった小規模な不動産やリノベーション・開発が伴うプロジェクトに資金調達の機会を提供しつつ、最低出資額を引き下げることで、多くの方が少額から分散投資できるようにしています。
ファンドの想定利回りは、ベンチマークとなる国債の金利やJ-REITの分配利回りの動向にも依りますが、基本5%以上を想定しています。
-—競合他者との違いがありましたら教えてください。
当初はボンド型の商品も展開していますが、基本はエクイティ型の商品を提供していきたいと考えています。現在のソーシャルレンディングは上限金利の範囲でしか投資家にリターンを分配することはできませんが、エクイティ型であれば、上手くイグジット(不動産の売却など)できれば、その取引で発生したアップサイドも投資家に分配することができるようになります。
海外商品も積極的に取り扱っていく予定です。進出済みの欧州に加え、アメリカやアジアなどの海外不動産も検討しています。現在はライセンスの関係で難しいのですが、将来的には海外の不動産関連の有価証券もファンドで扱えるようにしていきたいと考えています。
また、登録ユーザー間で投資中ファンドの売買ができるセカンダリマーケットも創りたいと考えています。現在のソーシャルレンディングは、セカンダリマーケットが存在せず、一度投資すると運用期間中は資金がロックされてしまいます。そのため、運用期間の長いファンドは敬遠されてしまう傾向にあります。
しかし、セカンダリマーケットを創ることで流動性を高めることができれば、より長期の案件にも投資しやすくなります。それにより、資金需要者側にももっとバラエティーに富んだ資金調達手法を設計、ご提供できるようになります。
—-案件の開拓、審査はどのように行っているのですか?
現在は、人を通じてご紹介いただくことが多いです。基本的には不動産に関連した案件が中心です。リスクリターンのバランスはもちろんのこと、対象となる不動産そのものの魅力を重要視しています。
案件の審査については、不動産取り扱いにおいて経験豊富なプロフェッショナルが慎重に行っています。現場の審査を通過した案件を、最終的にコンプライアンス担当、投資委員会がチェックし、問題ないと判断されて初めてプロジェクト開始となります。
日本のまちづくりや建築の世界にいい流れをつくりたい
—-今後の展望について教えていただけますでしょうか?
金融の観点からいうと、グローバル・クロスボーダーで不動産を証券化して、世界中で自由に流通できるようにしていきたいと考えています。
既存のキャピタルマーケットでクロスボーダーの資金調達を行おうとすると、アメリカSECルールの域外適用や欧州AIFMD規制などによって、膨大なコストが発生してしまいます。
一方でクラウドファンディングであれば、クロスボーダーな法体系が現状存在しないため、発行体の調達コストを抑えることで、結果的に投資採算性の高い案件を国内外の投資家に提供することができるのではと考えています。
不動産の観点からいうと、クラウドファンディングの仕組みを通じて日本のまちづくりや建築の世界にいい流れをつくりたいと考えています。日本は今後、人口減少により遊休資産が増えていく傾向にありますが、遊休資産の活用に対して既存の金融機関からの融資がつきにくいというのが現状です。
クラウドファンディングをベースとしたエクイティファイナンスを活用することで、資金循環をより円滑にし、遊休資産を効果的に活用できるようにすることで、不動産市場、ひいては日本経済をより活性化していきたいと思います。
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