ソーシャルレンディングにおけるファンドの選び方と注意点4つ

ソーシャルレンディングにおけるファンドの選び方と注意点4つ

ソーシャルレンディング投資家の中田健介です。今回は私がどのような観点でファンドを選んでいるのかをお伝えしたいと思います。

投資対象事業者・ファンドの選び方

2年ほど前まではソーシャルレンディング事業者はmaneo,AQUSH,SBIソーシャルレンディング、クラウドバンクの4社しかなく、また募集されるファンドの数もそれほど多くなかったため、どのファンドに投資しようか悩むということはあまりありませんでした。

しかし、今や事業者の数は15社以上に増え、またそれぞれの事業者が日々新たなファンドを募集しています。それぞれ条件も投資対象も異なる多くのファンドの中からどのように投資対象のファンドを選んだらよいのか、迷う方も多いと思います。

そこで、今日は私が投資対象の事業者、ファンドを選ぶ際に気を付けているポイントについてお話ししたいと思います。

1. サービス事業者の実績および運営

まずサービス事業者をどう選ぶか、という点についてですが、私が一番重視しているのは貸出・分配の実績および運営がしっかりしているか、という点です。
私はソーシャルレンディングのブログを書いているため、新たなサービスが開始したらすぐに口座を開設してまず1回は投資をすることにしていますが、それはあくまでお試しとしてです。

新たなサービスに対してはまず10万円ほどの金額で試しに投資してみて、貸出や分配が想定通り行われるのかがある程度確認できてから少しずつ投資金額を増やしていく、という形をとっています。

また、運営面では入金や出金がすぐに反映されるか、質問に対する回答が返ってくるか、といった点もチェックします。そのあたりは実際に投資してみないとわからない点です。

(ブログを書いたりすることのない)一般の投資家の方であればあえてすべての事業者で口座開設する必要はありません。各サービス事業者のサービス開始時期と貸出・分配金額をチェックされるとよいでしょう。サービス開始から1年以上経過しており、貸出・分配の実績がある程度(10億円が1つの目安です)あれば、まずは投資を検討されてはいかがでしょうか。

2. 利回り

ポイント2以降はファンド選択のポイントです。私は「より利回りの高いファンドを選ぶ」ようにしています。

単純かつ当たり前のようですが、私はこの方針で投資し続けてきたことで過去平均7%以上の利回り実績をあげることができました。

高利回りファンドの例(ガイアファンディング)
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高利回りファンドの例(トラストレンディング)
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※トラストレンディングを運営するエーアイトラスト株式会社に対し、2018年12月14日付けで行政処分が行われました。詳しくはこちらをご覧ください。

3. 投資対象を分散する

ただし、投資対象を分散することは常に心がけています。

特に、1つの「事業者」および1つの「借り手」に対して資金が集中しすぎることが無いようにしています。

個人的には、1つの事業者に投資する金額は500万円まで、1つの借り手に対して投資する金額は50万円まで、と決めています。(この500万円、あるいは50万円という金額は私の資産の規模を踏まえた金額なので特に一般的な意味はありません。上限は各投資家のリスク許容度によって変わってくると思います。)

言うまでもなく、1つの「事業者」に対して資金が集中しすぎないようにするのは「事業者リスク」への対策で、1つの「借り手」に対して資金が集中しすぎないようにするのは「デフォルトリスク」への対策です。

どんなに利回りが高く好条件のファンドがあっても、その1つに資金のほとんどを投じてしまうという行為は、いかにデフォルト(または事業者の破綻)がほとんど発生していない現状でも、やはり危険だと考えています。

ここで、「借り手」と言っているのは、同一事業者内でファンドを分散する、という意味だけではありません。同一事業者内の別のファンドでも実は同一の借り手が含まれている、ということがよくあるので、現在自分が投資中のファンドと、これから投資しようとするファンドの間で借り手が重複していることがないか、ということもチェックする必要があります。

借り手企業の社名は公表されませんが、多くの事業者では、借り手企業が識別できるようアルファベットなどの記号で表示されています。その記号を見て重複していないかどうか判断できます。
例えば、maneoで募集された以下の2つのファンドは、ファンド名も募集時期も異なりますが、同一の借り手(AN社)が含まれています。

maneo_kanri

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これらのファンドはいずれも運用利回りはよいのですが、私は上のファンドにすでに投資中だったため、下のファンドへの投資は見送りました。

ただ1つ問題なのは、こうした借り手の識別ができない事業者もあるということです。各借り手が記号で識別できるようになっておらず、どのファンドとどのファンドの借り手が同一なのか判別できないのです。こうした事業者の場合は、やむを得ず借り手の業種や所在地などからある程度の判別をするようにしています。

借り手の識別が可能な事業者とできない事業者
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4. 投資期間は短くおよび返済方式は元利均等返済で

投資期間と返済方式にもある程度注意しています。

基本的には、投資期間はより短いほうが、返済方式は元金一括返済よりも元利均等返済の方がリスクが低く望ましいと考えられます。利回りなど他の条件とのトレードオフになりますが、できる限り投資期間がより短く、元利均等返済のファンドを選ぶようにしています。

例えば投資期間2年以上、元金一括返済、といったファンドに投資するのはかなり躊躇します。よほど他の条件がよくない限り投資しないでしょう。ただ、投資期間については、3か月などあまりに短くてもパフォーマンスが落ちるため、6カ月~12カ月位が最も安心できます。

■最後に

以上、私が投資の際に気を付けている4つのポイントについて述べました。

ただ、今更ですが、現状では投資先を選択する際にそれほど神経質になる必要はないのかも知れません。何といっても、今のところ破綻した各サービス事業者はありませんし、またデフォルトや返済遅延はいずれの事業者でもほとんど発生していないためです。少なくとも株式投資や不動産投資など他の投資に比べれば、「投資先を選ぶ際に注意すべき点」というのは断然少ないと言えるでしょう。

その意味でも、ソーシャルレンディングは「投資初心者向け」で「誰でもできる」投資であると言えます。

それでも最低限、ポイント3で述べた「投資対象の分散」は心がけるべきでしょう。現状では事業者の破綻やデフォルトがほとんど発生していないとはいえ、今後もそれが続くという保証はないのですから。