最近よく聞く「eKYC」とは?従来の本人確認との違いを分かり易く解説

最近よく聞く「eKYC」とは?従来の本人確認との違いを分かり易く解説

ソーシャルレンディングやFintech界隈で、最近「eKYC」という言葉を聞くことはないでしょうか?メルペイやLINE Payなどのキャッシュレス決済サービスで、5月から新たな本人確認方法として、このeKYCを導入しました。今回はeKYCとは何か、我々利用者にとってどのようなメリットがあるのかを解説していきます。

eKYCとは

eKYCは「electronic Know Your Customer」の略称です。

銀行口座の開設や不動産契約などにおいて必要な本人確認(Know Your Customer)をオンライン上(electronic)で行う仕組みのことを言います。

口座解説や不動産契約などを行うためには、犯罪収益移転防止法により定められた、本人確認を実施することが義務付けられています。今までもオンライン上で本人確認書類をアップロードするという申請までは行えましたが、その後、「記載された住所が正しいか」を申請された住所に対し、転送不要郵便等で確認を行うことが求められていました。

当然ながら郵便物が届くまでには最低でも1日〜3日程度を要するため、手軽に申込み、ソーシャルレンディング等で投資を行おうとしても、申込から数日は投資が行えませんでした。

犯罪収益移転防止法の改正

ソーシャルレンディングの普及に伴い、2018年11月に金融庁より法律施行規則の一部改正命令で公開され、2020年4月に施行されたのが、オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法です。これにより、葉書等の郵便物による住所確認の代わりとして、スマートフォンなどのカメラで本人確認書類と自分の写真を撮影し送信することで本人確認が行えるようになりました。

今回の改正では「オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法の追加」として、以下の4つが記載されています。

1.本人確認書類の画像+本人の容貌の画像送信

2.ICチップ情報+顧客の容貌の画像送信

3.銀行等への照会

4.顧客名義口座への少額振込

オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法の追加

引用:金融庁「オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法の追加」より

URL:https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20181130/01.pdf

eKYCのメリット

事業者にとっては郵送コストや発送オペレーションにかかる人的コストをカットすることができ、その分を投資家に還元するなどが期待できるようになります。

利用者側では、書類をコピーして郵送したり、窓口に足を運んだりといった物理的な手間が減り、郵便物の到着等を待たずに本人確認が行えるようになり、本人確認の手続きから実際のサービス開始まで、数日〜数週間かかっていたところ、eKYCでは即日サービスの利用を開始することもできるようになります。

最近ではマイナンバーカードに登録された本人情報を活用したeKYC技術も登場し、より一層利便性とセキュリティを高めています。

参考:xID(https://xid.inc/)

eKYCのデメリット

現在のところeKYCを取り入れているのは一部のキャッシュレス決済等に限られています。

その背景として、eKYCを行うためには専用のアプリケーション等を開発、または利用する必要があり、その導入開発費用がボトルネックになっていると想定されます。

しかし、ソーシャルレンディングにおいても大半のユーザーがスマートフォンを利用した取引を行う今、eKYCが今後はスタンダードになっていくでしょう。