融資型クラウドファンディングと購入型クラウドファンディングの違いまとめ

融資型クラウドファンディングと購入型クラウドファンディングの違いまとめ

矢野経済研究所が取りまとめた「2018年版 国内クラウドファンディングの市場動向」によると、2017年度の国内クラウドファンディング市場規模は新規プロジェクト支援ベースで前年度比127.5%増の1,700億円に達しました。2012年の市場規模が71億円だったことを考えると、凄まじい成長ぶりと言えるでしょう。同レポートの中では、今後も国内クラウドファンディングの市場はますます拡大すると言われています。
参考:2018年版 国内クラウドファンディングの市場動向 | 矢野経済研究所

今回は国内で利用できるクラウドファンディングサービスの中でも特に市場規模の大きい融資型(貸付型)と購入型について、その違いと共にご紹介いたします。

「クラウドファンディングで事業の支援をしてみたいが、どのようなサービスが自分に向いているのか良いのかわからない」とお悩みのみなさまのご参考になれば幸いです。

融資型クラウドファンディングについて

融資型の最大の特徴は、その名の通り、企業へ融資が行える点にあります。支援者/投資家は支援によって金銭的なリターン(投資元本+利率からクラウドファンディング運営業者の手数料を差し引いた金額)を受け取ることができます。先ほどご紹介した矢野経済研究所が発表したレポートの中の、「2017年度の国内クラウドファンディングにおける類型別構成比」 (国内のクラウドファンディングサービスを、年間の新規プロジェクトの支援額の構成比でまとめたデータ) では、この融資型が90.6%を占めています。このことから融資型は、国内で最も大きな市場を形成するクラウドファンディングサービスであると言えます。

メリット:資産運用の選択肢になりうる

先ほど述べたとおり、融資型はリターンがお金ですので、資産運用の選択肢になり得ます。
リターンは毎月あらかじめ定められた利息が基になっていますので、株式やFXのように値動きの心配がなく、管理の手間が少ないのが特徴です。その他、プロジェクトには1万円から気軽に投資ができるものや、10%程度の高い利回りが設定されているものがあるのも魅力です。

デメリット:元本割れや貸し倒れのリスクがある

元本割れとは、債券や投資信託などの価格が、当初投資した金額を下回った状態を指す言葉で、貸し倒れとは、支援先の倒産などの理由で、投資元本が回収できなくなってしまった状態を指します。融資型では、融資という性質上、支援先の企業が業績不振に陥ったり、倒産してしまうと、投資した資金の回収が難しくなってしまう場合があります。

こうしたリスクを低減するために、融資型を活用した資産運用でも一般的な資産運用と同様に、分散投資を行うことをお勧めします。分散投資とはその名の通り、投資先を一本化せず分散させることを指します。

融資型クラウドファンディングで支援できるプロジェクト例

融資型で支援できるプロジェクトは、社会的意義の高いものも多く存在するため、「資産運用をしつつ社会も良くしていきたい」と考える支援者/投資家にお勧めできると言えます。

例えば、クラウドクレジットの「メキシコ女性起業家支援ファンド」では、支援によってメキシコにおける女性の経済的地位向上に寄与することができます。集められた資金は、女性起業家向け貸付事業の発展に活用されます。第1号ファンドが発売されてから1年で2億円を調達しています。当ファンドを立ち上げたSOFIPA社の1件あたり貸付の平均金額が2万円なので、調達した資金全てを貸付に当てれば2万社の企業に資金を届けられることになります。この数字は、メキシコで女性がオーナーを務める零細企業の約5%に相当します。社会的インパクトは十分と言えるでしょう。

購入型クラウドファンディングについて

購入型の最大の特徴は、リターンとしてモノ・サービスを受け取れる点にあります。新しい商品やサービスを開発しようとする個人または法人が、資金を集めるためにプロジェクトを立ち上げ、支援者/投資家を募集します。支援者/投資家は投資によって、気に入ったプロジェクトへの支援ができます。

矢野経済研究所が発表した「2017年度の国内クラウドファンディングにおける類型別構成比」では、この購入型が5.9%を占めており、国内では融資型についで2番目に大きな市場を形成しているクラウドファンディングサービスとなっています。

メリット:プロジェクトを通してしか得られないモノ・サービスが手に入る

投資したプロジェクトが事業化した場合には、支援者/投資家はモノ・サービスをリターンとして受け取ることができます。これらは多くの場合、そのプロジェクトを通してしか得られない限定品であったり、世の中にまだ流通していないあたらしい商品であったりします。

デメリット:投資したプロジェクトが失敗、もしくは実行されない可能性がある

投資したプロジェクトが目標資金調達額を達成したからといって、事業として成功するとは限りません。資金調達の後にプロジェクトが失敗、頓挫した場合には、リターンは期待できません。

このようなリスクを回避するために、購入型クラウドファンディングに掲載されているプロジェクトの内容やプロジェクトの起案者の情報(例えば、過去にプロジェクトを事業化させた実績があるかなど)をしっかりと確認してからのご利用をお勧めします。

購入型クラウドファンディングで支援できるプロジェクト例

CAMPFIRE串カツ田中が立ち上げたファンドは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け立ち上げられました。

最大の特徴の1つは、リターンの面白さにあります。
1,000,000円の支援をした方に向け、なんと社長・副社長の接待付き・店舗貸し切りのスペシャルディナーコースが提供されるそうです。
先に購入型のメリットで挙げた通りの、プロジェクトならではの特別なリターンであると言えるでしょう。

この他にも購入型には様々なサービス・ファンドが存在し、リターンも多岐に渡ります。自分の好みにあったプロジェクトを探す楽しみは、購入型の醍醐味です。

まとめ

今回は融資型と購入型のクラウドファンディングについて、それぞれの違いに触れながらご紹介しました。