意外と大変!?ソーシャルレンディングの案件管理と口座管理

意外と大変!?ソーシャルレンディングの案件管理と口座管理

ソーシャルレンディング投資を初めて5年になるファイアフェレットです。今日はタイトル通り、ソーシャルレンディングでそれなりの額で投資をして、複数のソーシャルレンディング運営会社で口座を開設するとその案件と口座の管理が大変という話をしたいと思います。
 このことについて意に介する人はそれほどいないかもしれません。しかし将来的には問題になる可能性が私はあると考えています。今のうちに警鐘を鳴らせれば幸いと考えています。

投資開始5年目に入り、ますます、投資案件数が増加

ソーシャルレンディング投資において運用は基本運用会社にお任ですから、非常に楽です。しかし

自分がソーシャルレンディング投資において、いざどのくらいのリスクをとっているのか?

とか

まとまった額の現金が将来必要なので、償還時期を正確に知っておきたい

と思うと、その手間は大変なものとなります。

図1 ソーシャルレンディング投資金額と運用案件数(年末時、2016年は8月末)
date2

これは私がソーシャルレンディング投資を初めてからの運用金額と、投資案件数を表にしたものです。棒グラフ(左軸)が運用金額を、線グラフ(右軸)が運用案件数を表しています。2014年から2016年にかけて運用金額の伸びは緩やかなものですが、運用案件数は急勾配を描いて伸びています。

図2 ソーシャルレンディング運用案件数(年末時、2016年は8月末)
date2

案件数だけを横グラフにして会社ごとに色別にわけると上の図となります。案件数だけではなく、利用しているサービス運営会社の数も2014年から大きく増加しています。なお、AQUSHは特賞な投資方法を採用しているため案件数が指数関数的に増えるので、他のサービスと一緒に論じることが困難です。何件に投資しても1件と数えていることをお断わりします(図1も同じです)。

なぜ案件数はこんなに急増したのか?

2014年から投資案件数と利用サービス数が増えた理由は大きく分けて以下の3つです。

1.魅力的な商品を購入するために新しいサービスで投資口座を開いた
2.信用リスク分散のために新しいサービスで投資口座を開いた
3.少額分散投資を心がけるようになった

1.魅力的な商品を購入するために新しいサービスで投資口座を開いた

ソーシャルレンディングは株式、通貨(FX)のようにどこ運営の会社で行おうが基本は同じというわけには参りません。各社それぞれの特徴があり、基本その会社が提供する案件にそこで投資口座を開かないと投資できません。
 運営会社は私が投資を始めた2011年には3社しかありませんでしたが、2013年から増え始め、それぞれの特色を活かした魅力的な商品を取り揃えられました。それらに投資するために口座数はどんどん増えていきました。

2.信用リスク分散のために新しいサービスで投資口座を開いた

投資口座を新たに開いた理由は新商品を購入するためだけではありません。信用リスクの分散のためでもあります。一つの投資会社にお金を集中させるとその会社に問題が生じた際にそのリスクを大きくかぶることになります。リスクは分散できますが、案件どころか口座の管理も大変になってきました。

3. 少額分散投資を心がけるようになった

 この3番目の理由が投資案件数増加の最大の理由です。かつての私は複数の案件に同時に出資できるときは、最も利率の高い案件だけに資金を集中して投資していました。素直に言えばリスクを度外視して欲張っていたのです。
 しかし投資金額が増えるに従って安定的なインカムゲインが得られるようになると、必要以上に欲張る必要はないと考えられるようになりました。またリターン(利率)とリスクの高さは基本的に比例する関係です。高利率の案件だけに投資して、それがデフォルトしてしまったら元も子もありません。今私は投資する際は、なるべく沢山の案件に分けるようにしています。またその投資先は同じ貸付先にならないようにも気を配っています。

投資案件が管理できていないと、どのような問題が生じるか?

これだけ案件が増えるとほとんど管理できていません。せいぜいどの運営会社でいくらの額を運用しているかを漠然と掴んでいるだけです。

今は目立ったデフォルトも起きていませんし、完全な余裕資金で投資しているので特に困っていないといえばそのとおりです。しかしデフォルトがポツポツ起きるようになったら、また、ソーシャルレンディングの投資金額をその他の用途にお金を移さなければいけないようになったら、どのような問題が生じるかを考えてみました。以下の3つとなります。

1.自身がどの程度のリスクを取っているかがわからない
2.資金繰りが難しい
3.再投資に手がまわりにくい

1.自身がどの程度のリスクを取っているかがわからない

 これが最大の問題でしょう。例えば複数の金融機関で株式、投信、外国為替(FX)を取引していても、今は家計簿アプリに対応している所も多いので、PCさえあれば管理は楽です。その他の資産管理ソフトを使う方法もあるでしょう。
 しかし現状ソーシャルレンディングで家計簿アプリに対応している会社は少ないというのが現実です。ですから管理は自分でエクセルなどを用いて行うしかありません。
 正直、とても手間です。償還されたらそれを削除して、再投資したらそれを追加する必要があります。またもっと厳密に管理しようとしたら、その運用期間、リターン、投資先なども入力しなければいけません。現状では家計簿アプリに対応しているサービスでもそこまで詳しい表示はされません。案件名と投資金額だけというのが現状です。私のように多数の案件を抱えている場合、とてもではありませんが、隅々まで目が届きません。現在のようにデフォルトが起きてない状態ではモチベーションも上がらないとういのが正直なところです。
 

2.資金繰りが難しい

 
ソーシャルレンディングのデメリットの一つが、商品の流動性が低いことです。一度投資したらその商品が償還されるまで現金には替えられません。融資先の企業が返済を滞らせれば、長い期間償還されないという事態もありえます。人生の節目にまとまった資金を用意する場合には各案件の償還時期は把握して置きたいものです。しかし案件数が増えれば増えるほど、その管理は大変になります。
 株や投信でしたら流動性が高いことに加え、PCを使えば管理は楽なのでこの問題は小さなものでしょう。しかし現状ソーシャルレンディングの投資商品は「流動性が低い」+「管理が大変」という、資金繰りにおける問題を抱えているのです。
 気づいたら好条件の長期案件ばかりに投資しており、必要なお金が用意できないようでは目も当てられません。

3.再投資に手がまわりにくい

 少ないサービスに投資しているのでしたら、基本1サービスの償還日は月に1度ですのでそれほど気にはならないでしょう。しかし私のように14も口座を開くと、3~4日に1日はいずれのサービスの償還日ということになります。償還日には利息だけではなく、多額の元本も返されることがあります。併せて好条件の案件の募集開始が行われることもあるのでしっかり管理しておきたいところです。しかし現状とても把握しきれないというのが正直なところです。多額のお金が償還されていながら気づかずに、好条件の案件を逃してしまった経験は数え切れません。償還日は予告されていますし、メールでもお知らせは送られますが、対応しきれるものではありません。

当局の規制と運営会社の案件管理画面も管理を難しくさせている。

当局の規制により、融資先が匿名化され、複数化されていることも管理を難しくさせています。

融資先が匿名でA社、B社という表記を用いていることが多いので、違う運用会社で表記がダブったり似通ったりします。1つの案件に投資すると最低2つの会社が融資先なので手間は2倍になります。

各運営会社が用意している案件管理画面も現状見やすいとはいえないものがあります。各社ごとに表示形式のバラバラであり、いざ統一して整理しようとすると意外に難しく感じます。

将来的には当局の上記の規制が緩和され、情報が開示され、単独の案件に投資できるようにできれば、また運用会社も表示形式を揃えてくれれば良いのですが、当面は実現しそうにもありません。

デフォルトが当たり前のように起きるようになったら・・・

同じ運営会社でソーシャルレンディング投資をしていると、同じ会社に融資する案件がくり返し提出されます。信用リスク分散のために融資する会社は分散させたいところです。しかし実際には過去の案件を詳細に管理できていないので、その作業は結構手間となります。

現在においてはディフォルトも起きていないのでこの問題自体を意識している人もいないかと思います。私のように多数の口座を開いている人も現状それほどいないかもしれません。しかしディフォルト0神話はいずれ破れるでしょう。ひとつの運営会社で年に数件はディフォルトが起きるという事態が当たり前のようになるかもしれません。運営会社に何らかの問題が生じる場合もあるでしょう。

そうすれば私が今回指摘した、案件と口座管理はより重要性があると多数の投資家に認知されると思います。正直今のところ私は解決方法が見つからないというのが正直なところです。

当局、運営会社が手を取り、本格的な問題が顕在化する前に対策に乗りだしてもらえないかと期待しています。