海外の主要な融資型クラウドファンディング

海外の主要な融資型クラウドファンディング

融資型クラウドファンディングとは

融資型クラウドファンディングとは、資産運用を行いたい投資家が、従来の金融機関では融資を受けられなかった企業や個人に融資するサービスです。

企業や個人は金利分を含めて融資型クラウドファンディング運営業者に返済します。投資家は、投資元本に加え利率から運営業者の手数料を差し引いた金額が利回りとして分配されます。投資家が受け取る金利は金融機関から借りるよりも高く設定されているのが一般的です。

クラウドファンディングには大きく分けて「購入型」「寄付型」「融資型」「投資型」といった4つの種類があります。国内で広く知られているのは購入型と寄付型です。一方で、まだあまり知られていない融資型ですが、市場規模は国内のクラウドファンディングの9割を占めています。融資型はイギリスで生まれ、ソーシャルレンディングや貸付型クラウドファンディングという呼び方をされることもあります。

また、融資型は投資型と混同されがちですが、出資者へのリターンとして返済金利の一部を分配するのが”融資型”、収益を分配するのが”投資型”となっています。具体的には融資型の場合は”金利”をリターンとし、投資型は”分配金”や”株式”をリターンとします。また、投資型では商品やサービスも特典として出資者に贈られることがあります。

欧米を中心に拡大してきたクラウドファンディングも、現在では、アジア・アフリカ・中東などの新興国を拠点としたものが増えてきています。そんな海外の融資型クラウドファンディングの中でも、特徴的なプラットフォームをご紹介していきます。

海外融資型クラウドファンディング事例

レンディングクラブ (Lending Club) アメリカ

lendingclub

https://www.lendingclub.com

レンディングクラブは2007年にアメリカのサンフランシスコで創業された世界最大のソーシャルレンディング事業者です。

多重債務を抱える消費者の借金を一本化し、なおかつ従来よりも金利を引き下げるサービスを提供しています。最初にオンラインでローンの申し込みを受付し、さまざまな角度から貸倒れが発生しないか、審査を実施します。クレジットリスク提供会社等のデータから、どれだけ借り手が返済できるか「信用力」を独自に算出し、ランク付けすることで審査しています。そのランクに応じて金利が設定される仕組みです。

一般的に、アメリカはクレジットカードローンは高いですが、レンディングクラブを利用することで借り手はそれよりも低い金利で借りることが出来る可能性が高いです。

2014年にはニューヨーク証券取引所に上場を果たしており、2020年2月にはインターネット銀行のラディウスの買収を発表しています。買収金額は1億8,500万米ドル。銀行買収によってサービス領域の拡大を狙っています。

ゾーパ (ZoPa) イギリス

ZOPA

https://www.zopa.com

ゾーパは2005年にイギリスで設立され、世界で初めて融資型クラウドファンディングのサービスを提供した企業と言われています。融資型のクラウドファンディングとしては、ヨーロッパでも最大規模のプラットフォームです。

ちなみに、ゾーパという名称は、「Zone of Possible Agreement:融資契約を取りもつ場所」を略したものです。

借り手には金利が低い融資を行いつつ、投資家には高い利回りを提供するビジネスモデルで出資先として人気があります。現在は銀行にとって脅威となるほど拡大しており、2005年の創業以来、累計で約18億ポンドの貸し出しを行い、7,500万ポンドの利子を提供してきた実績があります。

Yirendai (宜人貸) 中国

Yirendai

https://www.yirendai.com

Yirendaiは2012年に設立された中国企業です。同社は2015年12月に中国のフィンテック企業の中で初めてニューヨーク証券取引所に上場している点から中国のフィンテック業界にとって重要な意味を持つ企業となっています。同社の資料によると、オンライン完結型の融資型プラットフォームとしては中国一の規模とのこと。また、2020年までに年1,000億人民元(1,128億香港ドル)相当の融資支出を目標としています。

investree インドネシア

investree

 

https://investree.id

investreeは2015年に創業された中小企業向け融資プラットフォームを提供しているインドネシアを代表する融資型クラウドファンディング企業です。同社はテクノロジーとデータを活用し、個人や機関融資家と小規模事業者をつなぎ、事業資金融資獲得の場を提供することをミッションとしています。

Investreeは、2020年に三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)やSBIホールディングス等から2,350万米ドルを調達しています。今回調達した資金はフィリピンやタイなどの東南アジアでの拡大戦略に利用されると同社は発表しています。

 

まとめ

 

今回は海外の融資型クラウドファンディングをご紹介しました。

融資型クラウドファンディングを活用することで、これまで金融機関から融資を受けられなかった企業、個人でも、資金を低コストで借りることができます。

イギリスで始まり、欧米で広まった融資型クラウドファンディングですが、欧米だけでなく、アジアなどの新興国でも注目をさらに集めていくでしょう。