2020年4月20日、DANベンチャーキャピタル株式会社は、新型コロナ禍によって売上の減少が見込まれる企業を対象に、特別プログラムの提供を開始しました。売上が回復するまでの運転資金と、コロナ禍が落ち着いた後の事業発展に必要な資金を「株式投資型クラウドファンディング」で募るというものです。
株式投資型クラウドファンディングは、投資型クラウドファンディングの1つであり、2015年5月29日に施行された金融庁による関連法改正が、投資型クラウドファンディング業界の発展を強く後押ししたと言われています。
今回は、投資型クラウドファンディングの種類と金融庁による関連法改正の内容についてご説明します。
投資型クラウドファンディングとは
投資型クラウドファンディングは、投資をして金銭的リターンを受け取る金融商品の1つです。投資型クラウドファンディングは以下の3つに分類されます。
ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)
高金利でも資金調達を受けたい企業向けのサービスになります。企業が資金調達を受けたい場合、従来は銀行から借り入れることが一般的でしたが、企業が銀行から融資審査を受ける際に、創業年数が短いことや資本が少額であることが原因で、融資を受けられないケースがあります。ソーシャルレンディングを提供する事業会社は、そのような企業に対して返済できるかどうかをチェックし、個人または法人から受け取った投資金を貸し付けることで、貸付金利の一部を投資家に還元するサービスを提供しています。
ファンド(事業)投資型クラウドファンディング
ソーシャルレンディングは企業に対して投資するサービスですが、ファンド投資型クラウドファンディングは、特定の事業プロジェクトに対して投資を行います。プロジェクトの売上からリターンを受け取るモデルで、金銭以外の商品を受け取ることができるプロジェクトもあります。
株式投資型クラウドファンディング
ソーシャルレンディングやファンド型クラウドファンディングは、金銭を受け取るサービスですが、株式投資型クラウドファンディングは、未上場企業の株式を受け取ることができます。小規模であったり設立年数が短い企業でありながら、他の企業にはない技術力や事業構想をもっているなど、今後大きな成長が期待できる企業をサポートすることができます。
金融庁による関連法改正の目的
アメリカと違い日本ではベンチャー企業が躍進できないと言われています。この原因の1つは、ベンチャー企業が技術やアイデアを事業化する段階で、リスクマネー(短期売買を中心とした資産運用を行う投資家の資金)の供給を受け入れる仕組みがないことがあげられます。この様な資金調達を容易にする仕組みが投資型クラウドファンディングになります。本法改正は、投資型クラウドファンディングに参入する企業を増やすために施行されました。ここからは具体的な法改正の内容についてご紹介します。
①参入要件の緩和
事業者が株式投資型クラウドファンディングを行うためには、「第一種少額電子募集取扱業者」の登録が必要となります。従来は、登録の際に最低資本金として5,000万円必要でしたが、本法改正に伴い1,000万円まで引き下げられたことで、参入要件が大幅に緩和されました。
また、事業者がファンド投資型クラウドファンディングを行うためには、「第二種少額電子募集取扱業者」への登録が必要になります。従来は、登録の際に最低資本金として1,000万円が必要でしたが、こちらも本法改正後は500万円まで引き下げられ、参入要件が緩和されました。
これらの規制緩和により、より多くの投資型クラウドファンディング事業者が誕生し、取引が活発に行われることが期待できます。
②投資者保護のためのルール整備
投資者が、投資型クラウドファンディングを活用することで詐欺的な行為などに巻き込まれることが無いように、下記の2つのルールが整備されました。
・インターネットを通じた投資勧誘において詐欺的行為などが行われることを排除するための行為規制の導入
・詐欺的な行為に悪用されることが無いよう、クラウドファンディング業者に対して、「ネットを通じた適切な情報提供」や「ベンチャー企業の事業内容のチェック」の義務付け
上記により、投資者に適切な情報が提供され、詐欺などに悪用されるリスクを軽減することが期待できます。
まとめ
ベンチャー企業は、事業を立ち上げる際に必要な資金を集めることができず、事業が軌道に乗せられない「死の谷」という現象に陥ることがあります。このような問題に対処すべく投資型クラウドファンディングをより活用しやすくするために、金融庁の関連法改正は行われました。これをベンチャー企業に対する国からの後押しと捉え、投資型クラウドファンディングを皆様の活動の選択肢に入れていただければと思います。
参考リンク
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000007.000027509&g=prt
https://www.fsa.go.jp/common/diet/186/01/setsumei.pdf
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/soukai/siryou/20130605/01.pdf
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2014/0225_iken1.html
https://newsphere.jp/money/legal-amendment/
投資型クラウドファンディングと金融庁の関連法改正
2020年4月20日、DANベンチャーキャピタル株式会社は、新型コロナ禍によって売上の減少が見込まれる企業を対象に、特別プログラムの提供を開始しました。売上が回復するまでの運転資金と、コロナ禍が落ち着いた後の事業発展に必要な資金を「株式投資型クラウドファンディング」で募るというものです。
株式投資型クラウドファンディングは、投資型クラウドファンディングの1つであり、2015年5月29日に施行された金融庁による関連法改正が、投資型クラウドファンディング業界の発展を強く後押ししたと言われています。
今回は、投資型クラウドファンディングの種類と金融庁による関連法改正の内容についてご説明します。
目次
投資型クラウドファンディングとは
投資型クラウドファンディングは、投資をして金銭的リターンを受け取る金融商品の1つです。投資型クラウドファンディングは以下の3つに分類されます。
ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)
高金利でも資金調達を受けたい企業向けのサービスになります。企業が資金調達を受けたい場合、従来は銀行から借り入れることが一般的でしたが、企業が銀行から融資審査を受ける際に、創業年数が短いことや資本が少額であることが原因で、融資を受けられないケースがあります。ソーシャルレンディングを提供する事業会社は、そのような企業に対して返済できるかどうかをチェックし、個人または法人から受け取った投資金を貸し付けることで、貸付金利の一部を投資家に還元するサービスを提供しています。
ファンド(事業)投資型クラウドファンディング
ソーシャルレンディングは企業に対して投資するサービスですが、ファンド投資型クラウドファンディングは、特定の事業プロジェクトに対して投資を行います。プロジェクトの売上からリターンを受け取るモデルで、金銭以外の商品を受け取ることができるプロジェクトもあります。
株式投資型クラウドファンディング
ソーシャルレンディングやファンド型クラウドファンディングは、金銭を受け取るサービスですが、株式投資型クラウドファンディングは、未上場企業の株式を受け取ることができます。小規模であったり設立年数が短い企業でありながら、他の企業にはない技術力や事業構想をもっているなど、今後大きな成長が期待できる企業をサポートすることができます。
金融庁による関連法改正の目的
アメリカと違い日本ではベンチャー企業が躍進できないと言われています。この原因の1つは、ベンチャー企業が技術やアイデアを事業化する段階で、リスクマネー(短期売買を中心とした資産運用を行う投資家の資金)の供給を受け入れる仕組みがないことがあげられます。この様な資金調達を容易にする仕組みが投資型クラウドファンディングになります。本法改正は、投資型クラウドファンディングに参入する企業を増やすために施行されました。ここからは具体的な法改正の内容についてご紹介します。
①参入要件の緩和
事業者が株式投資型クラウドファンディングを行うためには、「第一種少額電子募集取扱業者」の登録が必要となります。従来は、登録の際に最低資本金として5,000万円必要でしたが、本法改正に伴い1,000万円まで引き下げられたことで、参入要件が大幅に緩和されました。
また、事業者がファンド投資型クラウドファンディングを行うためには、「第二種少額電子募集取扱業者」への登録が必要になります。従来は、登録の際に最低資本金として1,000万円が必要でしたが、こちらも本法改正後は500万円まで引き下げられ、参入要件が緩和されました。
これらの規制緩和により、より多くの投資型クラウドファンディング事業者が誕生し、取引が活発に行われることが期待できます。
②投資者保護のためのルール整備
投資者が、投資型クラウドファンディングを活用することで詐欺的な行為などに巻き込まれることが無いように、下記の2つのルールが整備されました。
・インターネットを通じた投資勧誘において詐欺的行為などが行われることを排除するための行為規制の導入
・詐欺的な行為に悪用されることが無いよう、クラウドファンディング業者に対して、「ネットを通じた適切な情報提供」や「ベンチャー企業の事業内容のチェック」の義務付け
上記により、投資者に適切な情報が提供され、詐欺などに悪用されるリスクを軽減することが期待できます。
まとめ
ベンチャー企業は、事業を立ち上げる際に必要な資金を集めることができず、事業が軌道に乗せられない「死の谷」という現象に陥ることがあります。このような問題に対処すべく投資型クラウドファンディングをより活用しやすくするために、金融庁の関連法改正は行われました。これをベンチャー企業に対する国からの後押しと捉え、投資型クラウドファンディングを皆様の活動の選択肢に入れていただければと思います。
参考リンク
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000007.000027509&g=prt
https://www.fsa.go.jp/common/diet/186/01/setsumei.pdf
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/soukai/siryou/20130605/01.pdf
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2014/0225_iken1.html
https://newsphere.jp/money/legal-amendment/