3月18日、金融庁よりソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)の匿名化解除に関する公式見解が公表された。
この公式見解は、3月11日付で照会者ら(非公開、融資型クラウドファンディング事業を展開する事業者)が提出した法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)に対する回答となる。※1
この手続きにおける照会書によれば、貸金業法第2条第1項及び同法第11条第1項に関しての照会を行なっており、照会者らは以下の見解を提示していた。
融資型クラウドファンディング事業における投資家の行為は、貸金業法第2条第1項に定める「金銭の貸付け」、すなわち「貸金業」には該当しないものと考える。
その見解の根拠として、借り手を法人と限定し、以下の措置をすることで、匿名化複数化の措置を実施することなく、融資型クラウドファンディング事業が行えると示した。
- 投資からの出資契約の形式を匿名組合契約に限定
- 本貸付契約の内容
- 本出資契約の内容
- 本ウェブサイト上での十分な説明
- 照会者らの社内規則などの整備
この照会を受け、金融庁の回答は以下の通りとなった。
照会のあった具体的事実について、照会書に記載された借り手が法人である融資型クラウドファンディングの投資家の行為については、貸金業法第2条第1項に規定する金銭の貸付けには該当せず、当該投資家は、同項に規定する貸金業者に該当しないものと考える。
この公表で、ソーシャルレンディングにおいては一定の要件のもと、融資先の企業名や所在地を投資家に対して開示することができるようになる。
これまでのソーシャルレンディングで融資先情報を開示することは、貸金業法における「借り手の保護」の要請に基づく当局の指導があったため、十分な情報を開示することはできなかった。
【これまでの匿名化・複数化についての詳細はこちら】
【融資先匿名化を取り巻く議論】ソーシャルレンディングが抱える制度的課題とは
この公表はソーシャルレンディング業界が健全化され、より発展していくための大きな一歩になるといえるだろう。
各ソーシャルレンディング事業者の今後の対応方針や案件の情報量にどのような変化がなされるかは引き続き注視して伝えていく。
※1:平成31年3月18日 金融庁における法令適用事前確認手続(回答書)
※2:平成31年3月11日 金融庁における法令適用事前確認手続(照会書)