こんにちは。中田健介です。
ソーシャルレンディングサービスの不動産関連のファンドでは、内容説明の中で「稼働率」という言葉がよく使われます。
「稼働率」という言葉は不動産業界で使用される用語ですが、一般の投資家の方にはあまり馴染みがないかも知れません。
今回はこの「稼働率」という言葉について解説します。
不動産の稼働率とは
稼働率とは、収益不動産に関する用語で、その不動産にどれだけ入居者・テナントが入っており、賃料が得られているかを示す数値です。「入居率」とほぼ同じ意味です。
例えば、全10室の収益マンションで、8室に入居者がおり、2室が空室であったとしたら、その時点での稼働率は80%ということになります。
なぜ稼働率が大切なのか
不動産関連の投資において稼働率はなぜ重要なのでしょうか。不動産の収益率は(賃料収入-経費など)÷物件価格で表されます。
いくら高い収益を生み出せる可能性のある不動産であったとしても、空室状態で賃料が入ってこなければ、賃料収入を経費が上回ってしまい、収支が赤字になってしまう可能性があるからです。
稼働率を確認する際の注意点
稼働率を確認する上では注意点もあります。例えば全10室で1億円の収益マンションがあったとします。このマンションの収益率が「10%」と表示されていたとしたら、このマンションから得られる年間賃料収入はいくらでしょうか。
当然、「1,000万円」と考えるのが普通だと思います。しかし、不動産投資サイトなどでは、収益率が「全室満室となった場合の想定利回り」で表示されているケースもあります。つまり、実際には全10室のうち8室しか入居者がおらず、年間賃料収入が800万円しかなかったとしても、「収益率10%」と記載されているケースもあるということです。
不動産の収益率を計算する際には、実際の稼働率を反映したものなのか確認する必要があります。※税引き後なども考慮
稼働率を計算する期間に注意
稼働率の表示の仕方には、ある時点での稼働率と、一定期間での稼働率の2つがあります。ある時点での稼働率を計算する方法については先に述べた通りですが、一定期間での稼働率を計算するには、各時点での稼働率を平均する必要があります。
例えば、1月~3月の稼働率が以下の通りであったとします。
この場合、1月~3月の稼働率は(80%+70%+60%)÷3か月=70%となります。
不動産サイトなどで、物件の稼働率が表示されている場合は、それがある一時点の稼働率を表しているのか、一定期間の稼働率を表しているのかに注意が必要です。
サイトによっては、稼働率を高く見せるため、年間で最も高かった時点の稼働率を敢えて表示している場合もあるようです。
稼働率の目安
不動産関連の投資を行うに際しては、当然物件の稼働率は高いほうが良いと言えます。
ただ、入居者が退去した場合、次の入居者が入居するまでにどうしても数週間から数カ月のタイムラグは生じてしまいますので、稼働率100%というのも現実的にはなかなかあり得ません。
不動産の稼働率の目安はどの程度なのでしょうか。これは、時期や場所などにより異なるので一概には言えません。
参考までに、首都圏、関西圏、その他、全国の平均入居率をご紹介します。※1(2017年上期)
■入居率(%)
|
全体 |
委託管理 |
サブリース |
首都圏 |
95.7 |
95.4 |
96.2 |
関西圏 |
93.8 |
93.8 |
94.6 |
その他 |
91.9 |
91.9 |
93.0 |
全国 |
93.8 |
93.4 |
96.0 |
上記の表の中の、全国平均93.8%という数値は一つの目安となるかと思います。また、やはり稼働率は、首都圏では、それ以外の地域と比べて若干高い傾向があるようです。
ただし、上記の表は、あくまで住宅だけであり、オフィスや店舗などの稼働率などはまた異なることには注意が必要です。
ソーシャルレンディングの不動産案件に見る稼働率の記載例
不動産関連のソーシャルレンディングサービスでは、投資対象の物件の稼働率を表示しているものもあります。
例えば、オーナーズブックで過去に募集されていた、「品川区オフィス第1号ファンド第2回」では稼働率約71%と記載されています。※2
また、プレリートファンドで過去に募集されていた、「【最大期待利回り11%】ヘルスケア・プレリートファンド132号「チャーム奈良三郷」」では稼働率100%と記載されています。※3
投資の際にはこうした情報も参考となるでしょう。
おわりに
今回ご紹介した「稼働率」という言葉は、不動産投資においては当たり前に使われています。
不動産を投資対象とするソーシャルレンディングは多く、その説明の中でも使用されることが多いため、この機会に意味を理解していただければ今後の投資の際の参考になるかと思います。
※1:大和ハウス工業株式会社、賃貸住宅の入居率と平均居住期間について
※2:品川区オフィス第1号ファンド第2回
※3:【最大期待利回り11%】ヘルスケア・プレリートファンド132号「チャーム奈良三郷」
不動産の稼働率とは?ソーシャルレンディングにも役立つ考え方
こんにちは。中田健介です。
ソーシャルレンディングサービスの不動産関連のファンドでは、内容説明の中で「稼働率」という言葉がよく使われます。
「稼働率」という言葉は不動産業界で使用される用語ですが、一般の投資家の方にはあまり馴染みがないかも知れません。
今回はこの「稼働率」という言葉について解説します。
目次
不動産の稼働率とは
稼働率とは、収益不動産に関する用語で、その不動産にどれだけ入居者・テナントが入っており、賃料が得られているかを示す数値です。「入居率」とほぼ同じ意味です。
例えば、全10室の収益マンションで、8室に入居者がおり、2室が空室であったとしたら、その時点での稼働率は80%ということになります。
なぜ稼働率が大切なのか
不動産関連の投資において稼働率はなぜ重要なのでしょうか。不動産の収益率は(賃料収入-経費など)÷物件価格で表されます。
いくら高い収益を生み出せる可能性のある不動産であったとしても、空室状態で賃料が入ってこなければ、賃料収入を経費が上回ってしまい、収支が赤字になってしまう可能性があるからです。
稼働率を確認する際の注意点
稼働率を確認する上では注意点もあります。例えば全10室で1億円の収益マンションがあったとします。このマンションの収益率が「10%」と表示されていたとしたら、このマンションから得られる年間賃料収入はいくらでしょうか。
当然、「1,000万円」と考えるのが普通だと思います。しかし、不動産投資サイトなどでは、収益率が「全室満室となった場合の想定利回り」で表示されているケースもあります。つまり、実際には全10室のうち8室しか入居者がおらず、年間賃料収入が800万円しかなかったとしても、「収益率10%」と記載されているケースもあるということです。
不動産の収益率を計算する際には、実際の稼働率を反映したものなのか確認する必要があります。※税引き後なども考慮
稼働率を計算する期間に注意
稼働率の表示の仕方には、ある時点での稼働率と、一定期間での稼働率の2つがあります。ある時点での稼働率を計算する方法については先に述べた通りですが、一定期間での稼働率を計算するには、各時点での稼働率を平均する必要があります。
例えば、1月~3月の稼働率が以下の通りであったとします。
この場合、1月~3月の稼働率は(80%+70%+60%)÷3か月=70%となります。
不動産サイトなどで、物件の稼働率が表示されている場合は、それがある一時点の稼働率を表しているのか、一定期間の稼働率を表しているのかに注意が必要です。
サイトによっては、稼働率を高く見せるため、年間で最も高かった時点の稼働率を敢えて表示している場合もあるようです。
稼働率の目安
不動産関連の投資を行うに際しては、当然物件の稼働率は高いほうが良いと言えます。
ただ、入居者が退去した場合、次の入居者が入居するまでにどうしても数週間から数カ月のタイムラグは生じてしまいますので、稼働率100%というのも現実的にはなかなかあり得ません。
不動産の稼働率の目安はどの程度なのでしょうか。これは、時期や場所などにより異なるので一概には言えません。
参考までに、首都圏、関西圏、その他、全国の平均入居率をご紹介します。※1(2017年上期)
■入居率(%)
上記の表の中の、全国平均93.8%という数値は一つの目安となるかと思います。また、やはり稼働率は、首都圏では、それ以外の地域と比べて若干高い傾向があるようです。
ただし、上記の表は、あくまで住宅だけであり、オフィスや店舗などの稼働率などはまた異なることには注意が必要です。
ソーシャルレンディングの不動産案件に見る稼働率の記載例
不動産関連のソーシャルレンディングサービスでは、投資対象の物件の稼働率を表示しているものもあります。
例えば、オーナーズブックで過去に募集されていた、「品川区オフィス第1号ファンド第2回」では稼働率約71%と記載されています。※2
また、プレリートファンドで過去に募集されていた、「【最大期待利回り11%】ヘルスケア・プレリートファンド132号「チャーム奈良三郷」」では稼働率100%と記載されています。※3
投資の際にはこうした情報も参考となるでしょう。
おわりに
今回ご紹介した「稼働率」という言葉は、不動産投資においては当たり前に使われています。
不動産を投資対象とするソーシャルレンディングは多く、その説明の中でも使用されることが多いため、この機会に意味を理解していただければ今後の投資の際の参考になるかと思います。
※1:大和ハウス工業株式会社、賃貸住宅の入居率と平均居住期間について
※2:品川区オフィス第1号ファンド第2回
※3:【最大期待利回り11%】ヘルスケア・プレリートファンド132号「チャーム奈良三郷」