
2018年12月7日、トラストレンディングを運営するエーアイトラスト株式会社(以下、エーアイトラスト社)がファンド取得勧誘に関して、虚偽の表示をしたとして、証券取引等監視委員会は行政処分を行うよう金融庁に勧告する方針であることが明らかとなった。
以下、本件について、証券取引等監視委員会の発表を元に解説する。
金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、虚偽の表示をする行為に該当するとされたのは以下の内容。
債権担保付ローンファンドについて
エーアイトラスト社は、2018年5月から6月にかけて、「債権担保付ローンファンド(139号~146号、155号~158号)」(以下、本債権ファンド)の募集を行い、投資家から約6億円の出資を受けていた。
※なお、本債権ファンドで、当該出資金の貸付先(本債権ファンド借入人)が関与するプロジェクトは、原発事故被災地の水資源の安全向上を目的として実施される除染事業とされている。
ただし本債権ファンドの募集ページでは、本債権ファンド借入人が関与するプロジェクトのスキーム図に復興庁や環境省などの名称を用い、あたかも官公庁が関与して行う事業の支援業務を行う目的で、本債権ファンドで集められた資金が貸し付けられるかのような表示をしていた。
しかしながら、該当官公庁などが関与して行う事業は存在しておらず、本債権ファンド借入人に対しては、本債権ファンドの取得勧誘時の表示内容どおりの貸付けは当初から行われていない。
上記のように、本債権ファンドの取得勧誘に関して、虚偽の表示を行ったと認められる。
動産担保付ローンファンドについて
同社は2018年7月から8月にかけて、「動産担保付ローンファンド(163号、165号~168号、170号~174号)」(以下、本動産ファンド)の募集を行い、投資家から約6億円の出資を受けていた。
※なお、本動産ファンドで、当該出資金の貸付先(以下、本動産ファンド借入人)は、長距離無線通信に係る商用サービス開始に先立つ実証実験の準備を進めているとしている。
ただし本動産ファンドの該当募集ページでは、本動産ファンド借入人が関与するプロジェクトのスキーム図に当該大手企業との業務提携などが予定されている旨を記載するなど、あたかも本動産ファンド借入人において、実証実験終了後に、当該大手企業との業務提携などが予定され、これにより得られた収益を原資として返済が行われるかのような表示をしていた。
しかしながら、当該大手企業との業務提携の予定は存在しておらず、本動産ファンド借入人に対しては、当初から当該大手企業との業務提携や、当該業務提携に係る事業による収益が返済原資となることなどを前提とした貸付けは行われていない。
上記のように、当動産ファンドの取得勧誘に関して、虚偽の表示を行ったと認められる。
エーアイトラスト社の発表
エーアイトラスト社はウェブサイトにて、早急に関係者へのヒアリング、事業の実態確認及び進捗等の調査を行うとし、業務運営体制を強化し、再発防止に取り組んでいくとしている。
こちらの件については、進展があり次第、フィンテナにて取り上げていく予定。