こんにちは。中田健介です。
ソーシャルレンディング投資家で、フィンテナでも記事を執筆されているSALLOW氏が12月に著書『1万円からはじめる投資 ソーシャルレンディング入門』を出版されます。
そこで今回は書籍の内容やソーシャルレンディング投資のポイントについてインタビューさせていただきました。
※インタビュー実施日:2018年11月10日
ーー年齢とご職業を教えてください
製造業の会社員で、生産技術を支援する部署で勤務しています。年齢は40代前半です。
ーー投資自体を始めたのはいつですか
28歳の頃です。
ある程度の資金が集まったので、預金から投資に切り替えることにしました。
始めたときには具体的な目標などはありませんでした。
ーー現在はどんな投資を手掛けていますか
ソーシャルレンディングの他、ロボアド、VT投信も手掛けています。過去には株式・外国債券なども10年ほどやっていました。
ーー現在の総資産額を教えていただけますか
9,000万円ほどで、投資資金のほとんどをソーシャルレンディングに投資しています。
ーーどのようにしてそれだけの資産を作ったのですか
長い間夫婦共働きだったので世帯収入が比較的多かった上に、一時期私の仕事が忙しく海外へ行きっぱなしだったため、趣味などにお金を使う暇がなく、結果的にお金が貯まりました。
また、民主党から自民党に政権交代した時にチャンスだと感じ、当時3,000万円ほどあった資産を全て株に振り向けました。
その後のアベノミクス、黒田バズーカで資産を倍近くに殖やすことができました。
ただその際、値動きのある投資には疲れてしまい、ソーシャルレンディングを始めました。
ーーどのように投資の勉強をされたのですか
基本的には少額を投資して、勉強しないとダメな状況に自分を追い込んでから勉強しています。
おかげで色々なダメージは受けました。(ライブドアショック、FXロスカット、リーマンショックなど)
ーー早期リタイアを目指しているそうですが、その理由を教えてください
身も蓋もない言い方ですが、「仕事をするより、しない方が好き」だからです。
仕事自体が嫌いというわけではないので、自分の好きなように仕事を進められる間は仕事を続けると思います。
ただ、何かのきっかけ(転勤や赴任を命じられたり、仕事内容が大きく変わったりなど)で辞める可能性は考えています。
また、リタイア資金の目標額は1億円としています。リタイア後に具体的にやりたいことはまだ考えていません。
ーー早期リタイアについてご家族はどう考えているのですか
家族は特に反対はしていません。ちなみに、妻はすでに退職しています。
ーーソーシャルレンディング投資を始めたのはいつ頃ですか
2012年12月でした。
もともとSBI証券に口座を開設しており、そこからSBIソーシャルレンディングに関するダイレクトメールを受け取り、興味を持ったのがきっかけです。
SBIグループならある程度信頼できるだろうし、また株と違って値動きがないところが面白いと感じました。
その頃募集されていた商品は利回り3%ほどでしたが、当時それだけの利回りの投資商品は他になかったので、十分魅力を感じました。
ーーこれまで投資したソーシャルレンディングサービスは?
20サービス以上で投資しているので、ほとんど全てです。
現状で200件、通算なら1,000件ほどのファンドに投資しています。
ーー投資額が大きなサービスはどこですか
maneo、SBIソーシャルレンディング、LCレンディング、オーナーズブック、クラウドバンクの5つが中心で、これらに5,000万円以上投資しています。
上場しているか、外部資本が入っており、経営の監視がされているかといった点を重視しています。
また、海外投資のクラウドクレジット、公共事業への投資ができるトラストレンディングなどもユニークだと思います。
ーーファンドを選ぶ際はどんなところに気を付けていますか
まず、担保や保証といった条件は当然見ています。
しかしながら、匿名化されている以上、借り手を直接見て判断することはできません。
ですから、「事業者や貸付先と投資家の利害が一致するか」という点が一番の判断基準だと思っています。
例えばポケットファンディングのように、事業者自身も一部出資していることは、信頼しやすいです。
ただ、現状ではそうしたファンドは多くはないので、今後増えてくれるとよいと思います。
ーーソーシャルレンディング投資の魅力は?
まず、値動きがなく、望ましい利回りが期待できるインカムゲイン投資である点が挙げられます。
次に、間接的ではありますが、個人が「金貸し」のような仕組みを利用できる点があります。
「金貸し」は古今東西金銭を得る方法として有効でした。
お話の中などでは悪役にされることも多いですが、それだけ儲かるということでもあります。これまで個人がお金を貸す方法というのは、ほとんどありませんでした。
国債や社債はありましたが、より頻繁であるという点でソーシャルレンディングは画期的です。
また、損得を投資家同士で取り合うような投資ではないので、自分の投資手法を公開してもデメリットがありません。他の投資家の真似をすれば、誰でも同じように利益が期待できるという意味で、再現性があります。
ーーソーシャルレンディングのデメリットや懸念はありますか
現在のところ、規模が小さい事業者が多いので、銀行や証券会社と比べて倒産のリスクが高い点が挙げられます。
次に、ファンドによっては投資家と貸付先の間で利益相反が起きるリスクもあります。
また、投資対象が匿名化されており、直接貸付先などを確認できないこともリスクです。ただこの点については、今後改善される見通しもあるので、期待しています。
ーーブログを始めたきっかけは何だったのですか
株などと違って投資家同士の競争がないので、手法を公開しても不利益を被ることがありません。
公開したほうが、他の投資家とも情報共有ができてメリットがあると考えました。現在は1日に1~2記事くらいのペースで更新しています。
ーー今回著書を出版されるとのことですが、どういった内容でしょうか
著書の構成は以下の通りです。
- ソーシャルレンディングの魅力
- 事業者の選び方(厳選した7つの事業者)
- 口座開設方法
- 案件の選び方:この章では担保の見方についても説明しています。また、担保の分散の重要性についても書いています。
- 投資スケジュール・状況などの体験談:私自身のポートフォリオや、実際に投資したファンドの例を挙げています。
- お金の増やし方についての基本的な考え方:ソーシャルレンディングに限らず、投資全般に関する考え方について述べています。収入を増やし、支出を減らして、余裕資金を増やす、その資金を複利効果を活かして増やしていく、ということを繰り返せば、だれでも資産は作れる、といった内容です。
ーー出版の経緯は
今年の2月頃に、ブログを見た担当者の方から連絡がありました。
現状、ソーシャルレンディングに関する本はほとんどないので、そうした本を出したいということでした。
これはソーシャルレンディング自体の知名度が上がってきたということだと思います。
私としてはソーシャルレンディングは年間1,000億円の市場規模があるにも関わらず、書籍がほとんど出ていないので、書籍を出したいと考えました。
ーーどういった読者にお勧めしたいですか
ソーシャルレンディングの魅力や特徴を教科書的に記述しているので、ソーシャルレンディングって何?、という初心者にお勧めしたいです。
書籍では特定の事業者を持ち上げることなく、客観的な事実・意見だけを書いています。この本を読めば誰でもソーシャルレンディング投資が始められるでしょう。
先ほども言った通り、投資手法やノウハウを公開しても私に損はないため、余すところなく書いています。
また、私は8,000万円ほどをソーシャルレンディングに投資していますが、これだけの規模を投資している人はあまりいないでしょう。
投資における私の考え方も書いているので、その部分は経験者の方にも是非読んでほしいと思います。
【2018年12月19日発売開始】
・『1万円からはじめる投資 ソーシャルレンディング入門』