こんにちは、「としぶろぐ~いつもの日常に豊かさを~」というブログの管理人をしている、としと申します。
ソーシャルレンディング事業者によっては、投資家の投資金をプールしておくことができる預託金口座を設けている事業者もあれば、預託金口座を設けずに投資家の銀行口座から直接投資金を振り込んだり、投資家の銀行口座へ直接分配金・償還金を振り込むといった事業者もあります。
特に預託金口座を設けている事業者の場合、入金、あるいは分配・償還された資金をそのまま預託金口座にほったらかしにしておくことが可能です。
この記事を読んでいる読者の方にも投資金を預託金口座にほったらかしにしている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
ただし、お金を口座に眠ったままにさせておくことは効率的な資産形成のためにはあまり望ましいものではなく、お金に働いてもらう機会を損失していることになります。
今回は、よくありがちなソーシャルレンディング事業者の口座に投資金をほったらかしにしていることがどれだけ機会損失になっているかを解説し、投資を継続していくことの大切さを改めてお伝えできればと思います。
ソーシャルレンディング事業者の口座に投資金をほったらかしにしているとなぜダメなのか?
この記事を読んでいる皆さんの中には、ソーシャルレンディングを知っている方もいれば知らない方もいると思いますし、資産運用それ自体をまさに始めようとしている方もいるかと思います。
どの資産運用でも共通して言えることですが、効率的に資産を形成していくためには、投資金を継続的に投資に回すこと、さらには分配金・償還金も投資に回すこと、の2点が重要と考えます。
特に2点目の分配金も再投資に回して、投資元本を徐々に大きくしていくことで分配金を増やしていくという疑似的な複利効果が期待できます。
そして、この複利効果を利用することが効率的な資産形成につながっていきます。
しかしながら、投資家の投資金をソーシャルレンディング事業者の口座に振り込んでほったらかしにしている場合には、そもそもお金を投資に回せていないため資産を増やしていくことができません。
また、投資金を投資に回しているものの、分配金を再投資していない場合には、もともとの投資元本から得られる単利効果のみで資産を増やすこととなり、より効率的に資産を形成していくことはできません。
もともとの投資金はもちろんのこと、得られた分配金も再投資し、投資に回していくことが効率的な資産形成につながると言えます。
【複利効果の詳細はこちら】
・ソーシャルレンディングで複利効果を高める方法?効果を最大化する方法とは
機会損失シミュレーション
それでは、ソーシャルレンディング事業者の口座に投資金をほったらかしにしている場合、一体どの程度の機会損失となるのでしょうか。
ここでは、以下の3つのケースを想定して、投資家のリターンにどのくらい差が出るのかをシミュレーションして考察してみたいと思います。
- 1.ソーシャルレンディング事業者の口座に投資金をほったらかしにしている場合(ほったらかしケース)
- 2.分配金を再投資せず、投資元本(償還金)のみ投資する場合(元本再投資ケース)
- 3.投資元本だけでなく分配金も再投資する場合(分配金再投資ケース)
また、シミュレーションを行うにあたって、以下を前提条件としています。
- 投資元本を10万円とする。
- ソーシャルレンディングの投資案件については、投資家利回り5%(税引後)、毎月分配とする。
- 投資金の投資決定後、運用開始までの期間は無視することとする(投資決定後ファンドが直ちに運用され、毎月分配を維持するものとする)。再投資においても同様とする。
- ほったらかしケースでは、投資元本をソーシャルレンディング事業者の口座に振り込んだ後投資されず、ほったらかしにされていることを想定する。
- 元本再投資ケースでは、償還された投資元本のみ再投資することとし、得られた分配金については再投資しないこととする。
- 分配金再投資ケースでは、償還された投資元本だけでなく、毎月分配された分配金についても再投資することとする。
- 案件の貸し倒れ、分配遅延、償還遅延などによる損失はないものとする。
- 分配金については1円単位で再投資されるものとする。
- 投資期間は最大20年間とする。
この前提条件のもとで計算された各ケースの投資家資金の推移および投資家リターンは以下の通りとなります。
年次 | ほったらかしケース | 元本再投資ケース | 分配金再投資ケース | |||
---|---|---|---|---|---|---|
投資家資金(円) | 投資家リターン(%) | 投資家資金(円) | 投資家リターン(%) | 投資家資金(円) | 投資家リターン(%) | |
0 | 100,000 | 0.0 | 100,000 | 0.0 | 100,000 | 0.0 |
5 | 100,000 | 0.0 | 125,000 | 25.0 | 128,336 | 28.3 |
10 | 100,000 | 0.0 | 150,000 | 50.0 | 164,701 | 64.7 |
20 | 100,000 | 0.0 | 200,000 | 100.0 | 271,264 | 171.3 |
シミュレーションの結果、元本再投資ケースとほったらかしケースでは、5年間で25%、10年間で50%、20年間では100%のリターンの差が出ることが分かりました。
また、分配金再投資ケースとほったらかしケースでは5年間で28.3%、10年間で64.7%、20年間で171.3%のリターンの差が出ることが分かりました。
この結果から、ソーシャルレンディング事業者の口座に投資金をほったらかしにしておくことがいかに大きな機会損失となるかがご理解いただけるかと思います。
さらには、元本再投資ケースと分配金再投資ケースとの差異について見れば、5年間で3.3%、10年間で14.7%、20年間で71.3%の差がついており、効率的な資産形成のためには投資元本だけでなく分配金についても再投資していくことが望ましいと言えるでしょう。
機会損失が起こりうる典型パターン
ここで、機会損失が起こりうるパターンとしてはどのようなものが考えられるでしょうか。
以下、私の実体験も交えながらいくつか挙げてみたいと思います。
募集案件が人気で投資(再投資)ができないパターン
これは人気のあるソーシャルレンディング事業者で投資をする場合に起こりうるパターンと言えます。
特にオーナーズブックやSBIソーシャルレンディングなどの上場企業やそのグループ企業などで募集される案件が人気が出る傾向にあります。(2018年11月時点)
私の実体験で言いますと、過去にオーナーズブックの募集案件に投資しようとしたのですが、募集開始後数分で募集金額が埋まってしまうほど人気案件であり、気づいた時にはもうすでに満額達成しており、投資ができなかったということが何回かありました。
ソーシャルレンディング事業者からの分配・償還のお知らせに気が付かず再投資し忘れるパターン
例えばソーシャルレンディング事業者のマイページにログインして、メールボックスを確認したときにはじめて分配・償還があったことが分かる場合(投資家の個人メールアドレスには分配・償還の連絡が行われない場合)などに起こりうると言えます。
ソーシャルレンディング事業者からの分配・償還のアナウンスを確認し、後で投資しようと思うものの結局再投資し忘れるパターン
例えば平日勤務の会社員の場合、昼休みに分配・償還のアナウンスを確認し、後で再投資しようとメールを閉じたものの、結局そのまま再投資することを忘れてしまった場合などが考えられます。
これらの他にもいくつか事例があるかと思いますが、主なパターンはこのようなものだと思います。
継続的に投資を行なっていくためには、これらのパターンに対して対策を立てる必要があると言えます。
機会損失を防ぐための対策とは
機会損失が起こりうる典型的なパターンをいくつか挙げてみましたが、それでは機会損失を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。
以下にその対策をまとめてみました。
人気のある特定のソーシャルレンディング事業者だけを利用しない
ソーシャルレンディング事業者は数社というわけではなく、全部で20社以上存在します。(2018年11月時点)
人気のあるソーシャルレンディング事業者だけが優れた事業者と言うわけではなく、その他にも優れた事業者はあると思います。そのようなソーシャルレンディング事業者の案件にも投資を行うことで投資を継続的に行うことができます。また、複数のソーシャルレンディング事業者に分散投資を行うことで、ソーシャルレンディングの投資リスクの低減にもつながります。
人気のある特定のファンドだけに投資をしない
人気のある高利回り案件だけに絞って投資するのではなく、常時募集されているような比較的低利回り案件にも投資をしていくことで、継続的に投資を行なっていくことが可能となります。また、複数のファンドに分散投資を行うことで、ソーシャルレンディング事業者の分散と同様に、ソーシャルレンディング投資のリスクの低減にもつながります。
分配・償還のアナウンスを確認したら即再投資手続きを行う
分配・償還のアナウンスメールを受け取って確認した後は、すぐに再投資の手続きを検討したほうが良いでしょう。
その方が再投資の手続きを後回しにすることで、結局手続きを行うことを忘れてしまうことによる機会損失を防ぐことができます。
アナウンスメールに目印を付けておく/未読のままにしておく
分配・償還のアナウンスメールを確認した後、そのメールに目印を付けたり、そのメールを未読のままにしておくことで、後で時間に余裕のある時にそのメールを再確認して再投資の手続きを行う確率を高めることが可能です。
予定表/カレンダーのアラーム機能を利用して分配日、償還日に通知設定をしておく
ソーシャルレンディング事業者はファンドからの分配日、償還日を各事業者のサイトで明示していますので、その分配日、償還日に通知が行われるように予定表/カレンダーのアラーム機能を利用するというのも1つの対策として有効です。
ただし、決められた償還日以外に元本の一部償還があった場合には、例えば上述したような目印を付けたり、メールを未読のままにしておくといったことが有効です。
家計簿アプリにソーシャルレンディング事業者の口座を同期させておく
私も家計簿アプリを利用しているのですが、家計簿アプリにソーシャルレンディング事業者の口座を同期させておくと、その家計簿アプリ内で分配・償還が行われたことがすぐに分かるようになっています。
そのため、例えばソーシャルレンディング事業者のマイページにログインして、メールボックスを確認して、はじめて分配・償還があったことが分かる場合(投資家の個人メールアドレスには分配・償還の連絡が行われない場合など)には、家計簿アプリを利用することが有効です。
まとめ
これまで述べてきたように、ソーシャルレンディング事業者の口座に投資金をほったらかしにしておくと、継続的に投資を行なった場合に比べて大きな機会損失を被ることになります。
機会損失を防ぎ、効率的に資産を増やしていくためには、継続的に投資を行なっていく必要があります。
また、投資元本だけでなく分配金も再投資することで、擬似的な複利効果によりさらに効率的に資産を増やしていくことに繋がるでしょう。
ただし、投資を継続しようと思っていても、人間ですので忘れてしまうことだってありますし、再投資の手続きが手間だと思うこともあるでしょう。
そんな時には、当記事でご紹介した一例が参考になれば幸いですし、投資家の皆さんがそれぞれ色々な工夫をして、自分なりのやり方で無理なく投資を継続することで、資産を増やしていければ良いと考えています。