こんにちは 中田健介です。
突然ですが、皆さんは次の2つの選択肢のうち、1つを選ぶとしたらどちらを選ぶでしょうか?
A:今10,000円もらえる
B:1年後に10,000円もらえる
この選択であれば、ほとんどの人がAを選択するでしょう。
では、以下の2つであればどうでしょうか。
A:今10,000円もらえる
B:1年後に10,500円もらえる
この場合、Aを選ぶかBを選ぶかは人によって分かれるでしょう。
このように現在の利益と将来の利益を比較するときに、役に立つ考え方が「割引現在価値」です。
割引現在価値とは
割引現在価値とは、将来の価値を現在の価値で表すといくらになるか、という考え方です。
先の例のように、異なる時点の価値を単純に比較することはできませんが、将来的な価値を現在の価値に直すことで比較できるようになります。
割引現在価値の求め方
では割引現在価値はどのように求めたらよいのでしょうか。
将来(n年後)の価値の割引現在価値は、次の式で求めることができます。

上記の式に出てくる「割引率」とは何でしょうか。
割引率とは、将来の価値を現在の価値に換算するときに、どの程度割り引いて考えるか、という割合です。
割引率には特に決まった値があるわけではなく、その人の将来に対する見通しにより、好きに決めてよい値と言えます。
一般的には、銀行預金金利などが用いられます。
先の例に出した「B:1年後に10,500円もらえる」の割引現在価値を求めてみましょう。
割引率として銀行預金金利(ここでは仮に1%とします)を用いるとすると、割引現在価値は以下の式の通りとなります。

計算結果は10,396円となります。
この結果は、逆に言うと今10,396円を銀行に預金すると1年後には10,500円になるということを意味します。
すなわち、現在の10,396円と1年後の10,500円は同じ価値であるということです。
この結果を踏まえて、先の選択肢は以下のように書き換えることができます。
A:今10,000円もらえる
B:今10,396円もらえる
この選択肢であれば、だれでも迷うことなくBを選択するでしょう。
割引率としてソーシャルレンディング投資の利回りを適用した場合
先ほどは割引率として銀行預金金利(1%)を使用しましたが、ソーシャルレンディング投資を手掛けている人であれば、割引率としてソーシャルレンディング投資の利回りを使用しても良いでしょう。
ソーシャルレンディングの平均年利回りは8%程度です。※1
この場合、「B:1年後に10,500円もらえる」の割引現在価値は9,722円となり、「A:今10,000円もらえる」の方が得だということになります。
このように、前提となる割引率を変えれば選択結果も変わってきます。
この結果は、今10,000円もらってそれを1年間ソーシャルレンディングに投資した方がBよりも得だということを意味しています。(貸し倒れなどのリスクを考慮せず)
割引現在価値の応用
この割引現在価値の考え方は、様々な場面で応用できます。
なお、以降割引率は全てソーシャルレンディングの平均年利回り8%で計算します。
投資商品を購入するとき
例えば、毎年100万円の賃料収入が将来20年にわたって得られる投資用マンションがあるとします。
そのマンションが20年後には取り壊されて価値は0円になってしまうとすると、この投資用マンションはいくら以下であれば購入すべきでしょうか。
この場合、将来にわたって得られる賃料収入の割引現在価値の合計よりも安い金額であれば購入したほうが良いことになります。
具体的には、以下のような計算式となります。

計算した結果、割引現在価値は9,818,147円となります。
この金額以下であればこの投資用マンションを買ったほうが得ということになります。
支払方法を選択するとき
割引現在価値の考え方は、支払い方法を選択するときにも使えます。
過去に私が建設予定の海外不動産を購入した際の支払い方法として、以下の2つの選択肢がありました。
A:完成時点(4年後の予定)で、物件価格の100%を支払う
B:購入時点で物件価格の80%を支払う
どちらが得か、一見しただけではなかなか判断しづらいのではないでしょうか。
4年後の価格の割引現在価値も、同じように求めることができます。

上記より、4年後の価格の割引現在価値は、物件価格の約74%となります。
すなわち、Bの80%を支払うよりもAが得であると判断できます。
おわりに
このように、割引現在価値の考え方を理解することで、現在と将来の時点での利益や支出を評価し、比較することができます。
投資商品の購入・売却など様々な場面で応用することができ、一見しただけでは難しい選択の際にも的確な判断を下せるようになることでしょう。
言葉自体初めて聞いたという方もいるかもしれませんが、覚えておいて決して損はない考え方だと思います。
※1:フィンテナ調べ、2018年9月時点
ソーシャルレンディング投資にも役立つ「割引現在価値」とは?
こんにちは 中田健介です。
突然ですが、皆さんは次の2つの選択肢のうち、1つを選ぶとしたらどちらを選ぶでしょうか?
A:今10,000円もらえる
B:1年後に10,000円もらえる
この選択であれば、ほとんどの人がAを選択するでしょう。
では、以下の2つであればどうでしょうか。
A:今10,000円もらえる
B:1年後に10,500円もらえる
この場合、Aを選ぶかBを選ぶかは人によって分かれるでしょう。
このように現在の利益と将来の利益を比較するときに、役に立つ考え方が「割引現在価値」です。
目次
割引現在価値とは
割引現在価値とは、将来の価値を現在の価値で表すといくらになるか、という考え方です。
先の例のように、異なる時点の価値を単純に比較することはできませんが、将来的な価値を現在の価値に直すことで比較できるようになります。
割引現在価値の求め方
では割引現在価値はどのように求めたらよいのでしょうか。
将来(n年後)の価値の割引現在価値は、次の式で求めることができます。
上記の式に出てくる「割引率」とは何でしょうか。
割引率とは、将来の価値を現在の価値に換算するときに、どの程度割り引いて考えるか、という割合です。
割引率には特に決まった値があるわけではなく、その人の将来に対する見通しにより、好きに決めてよい値と言えます。
一般的には、銀行預金金利などが用いられます。
先の例に出した「B:1年後に10,500円もらえる」の割引現在価値を求めてみましょう。
割引率として銀行預金金利(ここでは仮に1%とします)を用いるとすると、割引現在価値は以下の式の通りとなります。
計算結果は10,396円となります。
この結果は、逆に言うと今10,396円を銀行に預金すると1年後には10,500円になるということを意味します。
すなわち、現在の10,396円と1年後の10,500円は同じ価値であるということです。
この結果を踏まえて、先の選択肢は以下のように書き換えることができます。
A:今10,000円もらえる
B:今10,396円もらえる
この選択肢であれば、だれでも迷うことなくBを選択するでしょう。
割引率としてソーシャルレンディング投資の利回りを適用した場合
先ほどは割引率として銀行預金金利(1%)を使用しましたが、ソーシャルレンディング投資を手掛けている人であれば、割引率としてソーシャルレンディング投資の利回りを使用しても良いでしょう。
ソーシャルレンディングの平均年利回りは8%程度です。※1
この場合、「B:1年後に10,500円もらえる」の割引現在価値は9,722円となり、「A:今10,000円もらえる」の方が得だということになります。
このように、前提となる割引率を変えれば選択結果も変わってきます。
この結果は、今10,000円もらってそれを1年間ソーシャルレンディングに投資した方がBよりも得だということを意味しています。(貸し倒れなどのリスクを考慮せず)
割引現在価値の応用
この割引現在価値の考え方は、様々な場面で応用できます。
なお、以降割引率は全てソーシャルレンディングの平均年利回り8%で計算します。
投資商品を購入するとき
例えば、毎年100万円の賃料収入が将来20年にわたって得られる投資用マンションがあるとします。
そのマンションが20年後には取り壊されて価値は0円になってしまうとすると、この投資用マンションはいくら以下であれば購入すべきでしょうか。
この場合、将来にわたって得られる賃料収入の割引現在価値の合計よりも安い金額であれば購入したほうが良いことになります。
具体的には、以下のような計算式となります。
計算した結果、割引現在価値は9,818,147円となります。
この金額以下であればこの投資用マンションを買ったほうが得ということになります。
支払方法を選択するとき
割引現在価値の考え方は、支払い方法を選択するときにも使えます。
過去に私が建設予定の海外不動産を購入した際の支払い方法として、以下の2つの選択肢がありました。
A:完成時点(4年後の予定)で、物件価格の100%を支払う
B:購入時点で物件価格の80%を支払う
どちらが得か、一見しただけではなかなか判断しづらいのではないでしょうか。
4年後の価格の割引現在価値も、同じように求めることができます。
上記より、4年後の価格の割引現在価値は、物件価格の約74%となります。
すなわち、Bの80%を支払うよりもAが得であると判断できます。
おわりに
このように、割引現在価値の考え方を理解することで、現在と将来の時点での利益や支出を評価し、比較することができます。
投資商品の購入・売却など様々な場面で応用することができ、一見しただけでは難しい選択の際にも的確な判断を下せるようになることでしょう。
言葉自体初めて聞いたという方もいるかもしれませんが、覚えておいて決して損はない考え方だと思います。
※1:フィンテナ調べ、2018年9月時点