
こんにちは。中田健介です。
皆さんは投資で損をしてしまった経験がありますか?
私は何度も投資で損をしています。2009年のリーマンショックでは資産の半分近くを失いましたし、ソーシャルレンディングでも、一部事業者の多くのファンドでデフォルト(貸し倒れ)が確定して約260万円の損失を被りました。
投資で損をすると何とも言えず嫌な気分がするものです。その感情をどのように整理し、精神的に立ち直っていけばよいのでしょうか。
なかなか難しいことですが、いくつかヒントになる考え方をご紹介できればと思います。
目次
投資で損をするとどのような感情が沸き起こるか
投資で大きな損をすると、誰でもまず強いショックを受けます。
せっかく何年も苦労して築いた資金を一瞬で失ってしまう気持ちは、実際に体験した人にしか解らないと思います。
次に様々な感情が沸き起こります。
- 喪失感
- 悲しみ
- (事業者・投資を勧めた人などへの)怒り
- 投資しなければ良かったという後悔の念
- 誤った判断をしてしまったことに対する自責の念
- 周囲の人に対して恥ずかしいと思う気持ち
- これからどうなってしまうのかという不安
- 無力感
これらの様々な感情に支配され、夜も眠れないような精神状態となってしまうこともあります。
しかし、パニックに陥り、軽率な行動をしてしまうことは避けなければなりません。
こうした感情にとらわれている時、人間は冷静な判断力を失っています。そんなときに、動揺して慌てて決断・行動するのは避けるべきでしょう。
現状を客観的に把握する
こうした精神状態から抜け出し、早く冷静さを取り戻すためにはどうしたらよいでしょうか。
まずすべきことは、現状を整理し、客観的に把握することです。そのためには、以下の手法が有効かも知れません。
人に話す
もし、友人など話を聞いてくれる人がいれば、現状を整理する手助けとなるでしょう。
ただし、家族などあまりに身近な人だと損失によるショックを共有してしまうので、ある程度関係の離れた人のほうが良いかもしれません。
現状を紙に書いてみる
現状を紙に書き出してみることで、客観的に把握することができます。
- あなたは今回の損失により具体的にいくら失ったのでしょうか。また、最大いくらまで損失が膨らむ可能性があるのでしょうか。
- それは年収の何年分でしょうか。それを取り戻すのにどのくらいの時間がかかるのでしょうか。
- いくら資産は残っているのでしょうか。
考えられる最悪の事態を想像する
今回の損失により、起こりうる最悪の事態とはどのようなものでしょうか。それを想像してみてください。これもできれば紙に書いてみるとよいでしょう。
- 借金が返せなくなり、破産することでしょうか。
- 家や車を手放さなければならないことでしょうか。
- 明日からの生活費にも困ることでしょうか。
余裕資金で投資していれば、いくら損失を出したとしても、仕事を失ったり命を失うようなことにはならないと考えられます。
友人が同じ目に遭っていたらと考える
自分の状況を他人に移すことで客観的に眺めることができます。
もし友人が同じ目に遭っていたら、どんなアドバイスをするでしょうか。
長い時間軸から俯瞰する
時間を俯瞰することでも冷静さ・客観性を保つことができます。
過去に同じような経験をしたことはありますか。あったとしたら、その時はどのような行動をとりましたか。
日本で高額納税者だった斎藤一人さんは、よく講演で「ちょうど1年前の悩みを今思い出せる人は手を挙げてください」と問いかけるそうです。
すると、手が挙がるのはほんのわずかにすぎないのです。
もし、隣に1年後のあなたがいたら、今のあなたに何と声をかけるでしょうか。10年後のあなたならどうでしょうか。
著名投資家も損をしている
ジョージ・ソロスやドナルド・トランプといった著名投資家も投資での大きな損失を経験しています。
書籍『百人百色の投資法 投資家100人が教えてくれたトレードアイデア集』は、多くの投資家から投資についての考え方をインタビューしてまとめたものですが、これを読むと、どの投資家も必ず大きな損失を経験していることがわかります。※1
また、大きな損失を出してしまった時にどのようにメンタルをリカバリーするかについても何人かの投資家が語っています。
「実際に大きめの損切をしたときには、数時間くらいの長めのインターバルをとって、何か食べたり、お茶したり、風呂に入ったり、読書したり、寝たり、散歩したりと、相場から離れて気分転換する時間を作ります。相場に関係ないことをしていると、割と穏やかになれるのです。」(株式投資家Tyun氏)
「損を出してしまった時には、総合的にモノを考えるようにします。どういうことかというと、「今日損しても、月単位で見て、年単位で見て儲かっていればいいじゃないか」というようなことです。全部が全部、勝てるわけではないですからね。まあ、6勝4敗でいいじゃないかというふうに考えるようにしています。そのレベルなら、焦ることもないですから。」(株式投資家BBアドベンチャー氏)
こうした例も参考になるでしょう。
ソーシャルレンディング投資で損をしてしまったら
ソーシャルレンディングにおける損失には、以下の特徴があります。
損を取り戻すのに時間がかかる
ソーシャルレンディングでデフォルトが起きると、最悪の場合、そのファンドへの投資金額を全て失うことも考えられるので、1回で数十万円~数百万円の損失を被る可能性もあります。
ソーシャルレンディングの利回りは平均8%程度なので、そうした大きな損失を取り戻すには何カ月あるいは何年もかかることもあります。※2(2018年9月時点)
返済遅延が続くケースがある
返済遅延が発生し、その状態が何年も続くこともあります。
株式などであれば損切りすることもできますが、ソーシャルレンディングの場合は、返済遅延となっても原則として途中で解約することはできなません。
返済遅延が続く場合は、最終的に返済されるかされないかに関わらず、いつまでも宙ぶらりんな気持ちのままとなります。
【返済遅延の詳細はこちら】
返済遅延とは?発生により起こることと影響を抑える方法
デフォルトが確定した場合、できることはほとんどない
株式やFXなどでは価格が下がっていく中で含み損を抱えても、売却するまでは損失が確定しないため、持ち続けて価格が回復するのを待つこともできます。
しかしソーシャルレンディングでは、デフォルトが発生すればその時点で損失は確定してしまうので、できることは基本的にはありません。
事業者側に明らかな虚偽や過失があった場合は、何らかの法的手段に訴えて返金を求めることを検討してもよいかも知れませんが、そうでない場合は、失ったお金を取り戻すことはできません。
いつまでもショックを引きずるよりも、早めに気持ちを切り替えて次に向かう方が建設的だと言えます。
終わりに
投資に限らず、大きな失敗をした直後はそのショックにとらわれて、視野が狭くなりがちです。まずはその状態から脱出することを目指しましょう。
もしあなたが現在そうした状態にあるとしたら、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
※1:「百人百色の投資法 投資家100人が教えてくれたトレードアイデア集 Vol.1」、JACK著、パンローリング社
※2:フィンテナ調べ
その他:「図解 マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣」、古川武士著、ディスカバー・トゥエンティワン社